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絶対に食べるべき!かつ、超穴場も含む“ベタじゃない!”福岡市内の豚骨ラーメン5選。福岡を観光、仕事で訪れた人はしっかりと“博多らしさ”を感じ、地元民にとっては豚骨ラーメンの奥深さを最認識する新鮮な麺々を、ラーメンライター上村敏行さんにセレクトしてもらいました。福岡の有名店はひと通り食べ尽くしたという方。ぜひ読んでみてください。
田隈「ふくちゃんラーメン」の人気ぶりは広く知られるところですが、現店主・榊伸一郎さんには2人の姉もいて、長女・美子さんは「ふくちゃんラーメン英美」(宗像市)、そして次女・伸江さんは「江ちゃんラーメン」を経営。ともに“ちゃん系”の一角として昨今存在感が増しています。ちなみにちゃん系とは、「ふくちゃんラーメン」を起点にする店の総称です。「冨ちゃん」(飯倉)、「なおちゃん」(糸島市)、「しゅうちゃん」(大分中津市)も含め、熱心な豚骨ラーメンファンは愛着を込めて、こう呼んでいるのです。
“ちゃん系”は、豚頭のみを使い「コク」と「キレ」と呼ぶ、炊き時間、濃度の異なるスープをブレンドする手法。刻一刻と変化する釜内の状況を見極めながら合わせる“感覚”“経験”が重要な製法ゆえ、作り手それぞれで個性があり、また違った味わいが楽しめるのが魅力です。
私が「江ちゃんラーメン」に通い詰める理由は、ほんのりとした甘さと塩気のバランスがすばらしく、濃厚な中でフレッシュ感も立つ芳醇なスープに惚れ抜いているから。
「身震いするほどうまい」
決して大袈裟でなく、豚骨ラーメンの最高峰だと思っています。
さらには、伸江さん(写真右)の人柄が好きですね。
なんというか彼女、男気があるんです。
サバサバした性格で歯に衣着せぬ物言い。
厨房から漂う“THE職人”のオーラ。百道時代の故・順伸さんを知る往年のファン、そして伸江さんに寄り添い、店を手伝う母(写真左)も「お父さん(順伸さん)を彷彿とさせる」と目を細めています。
熟練の女性ラーメン職人がカウンター越しに数名の客と間近に向き合い、年齢や顔色などを見ながらさりげなく脂、塩分の調整をして出してくれる。
ぜひ麺の硬さも伸江さんにおかませして“普通”で頼んでください。
完璧!な豚骨ラーメンに感動するはずです。
「クッキーも美味しい」――
ラーメン店の紹介としては異色で、“?”となるでしょうが、井尻の穴場「、、(てんてん)ラーメン」の魅力と、ユニークな屋号の由来を紹介するには外せないワードゆえ冒頭に。同店を知る方は、深く頷いてくれると思います。
博多っ子は結局、こんなラーメンに帰ってくる。そう称したい飽きのこないスープ、そして店主の気さくな人柄。すべてにおいて“優しい”プッシュ店「、、ラーメン」は2000年に開業しました。店主の石橋祥宏さん、一美さん夫婦はそれまで洋菓子店に勤務していて、祥宏さんが47歳の時にラーメン店へと転身。
「簡単に言うと、好きが高じて。独立して店を出すならば、幼少から食べ込んでいる大好きな豚骨ラーメンで勝負したいと密かに思っていました。40代後半での転職となり、パティシエとして活躍していた妻を説得するのは大変でしたが」と振り返る石橋さん。
石橋さんは開業を決めてから、親交のあった「名島亭」「九紋龍」の大将にラーメン作りのアドバイスをもらったりしながら、独学で仕上げていきました。
私自身、2000年当時の両店の味は覚えていますが(太宰府の超名店「九紋龍」は既に閉店)、
「、、(てんてん)」のラーメンはまた別ものだと思っています。
奥のスープ室には巨大な回転釜が据えられ、本釜(営業用釜)は熱伝導のいい羽釜。
そして麺上げには平網を使っています。
道具と基本的な製法は古のスタイルを踏襲しながら、チャーシューの煮汁が元となる醤油ダレの甘さと塩気の塩梅。丼に張る量などを独自に研究し、進化させてきました。
スープの素材は豚のゲンコツ(関節の形が拳に似ていることから名がついた部位)オンリー。
通常のラーメンにチャーシューが3枚入り、さらに替え玉にも刻みチャーシューが添えられているのも嬉しい限りです。
「屋号の由来を聞かれると、“スープ一滴、一滴を大切に作りたい”と少しカッコつけて答えることが多いのですが実は、もとは私のアダ名からなんです。前職の洋菓子店時代は店長をしていたので、当時幼かった子供が“店長、店長!”と呼んでいて、 次第に“テンテン”と呼ぶのが定着していたので。暖簾は特徴的に読点にしてみました。平仮名の“い”にも見えるので、開業当初は“いラーメン”って呼ばれることも多かったですね」。
石橋さんが笑いながら教えてくれた。
石橋さんの奥様は、パティシエの経験を生かし、ラーメン店を開業してから数年後には
お菓子作りを再開。店の一角を焼き菓子コーナーにしてしまいました。
私もラーメンを食べにいったら、息子へのみやげに毎回購入しています。
先の写真でも紹介した通り、奥さん手作りのアイシングクッキーは装飾も細やかで
完成度バリ高いです。味わいはラーメンと同じくひたすら優しい……。
「最近、愛すべき“臭い”豚骨ラーメンってないよね」。地元・馬出(まいだし)で鉄板焼きの居酒屋を営んでいた倉田承司さんが常連と交わした会話が発端。「じゃあ、俺が作っちゃる」と豪語した倉田さんは厨房を改造してラーメン作りに没頭。2019年、豚骨ラーメン専門店「駒や」として舵を切ることとなりました。ラーメン修業歴ゼロの倉田さんが、幼少時に親しんだ昭和のラーメンの味と香りの記憶を頼りに再現したもので、その製法は現在の一般的な豚骨ラーメンとは異なるもの。「昔は火力もそげん強なかったやろうし、骨も大量には使えんかったはず」と、弱火も駆使しながら、決して多くはない豚骨の旨味を効率よく詰める、通称“博多シャバ系”スープに辿り着きました。比較的スープがサラリとしている“シャバ系”は、全国のラーメン業界でも聞く言葉ですが、福岡においては“懐古趣味をくすぐる昭和の豚骨ラーメン”という意味合いも多大に含んで使われていると実感しています。
「よく豚骨ラーメン店のダクトから匂いが漏れていることあるじゃないですか。僕的にはあの匂いすらもったいないと思っていて、炊き出したら鍋蓋はほとんど開けません」と倉田さん。
寸胴の中で豚骨が擦れ合う音で状態を判断し、火力を微調整。“骨でダシを引く”イメージで、
じっくりとボロボロに、細かな骨粉になるまで煮込むため、豚骨ラーメン作りの主要な工程、新旧の豚骨を入れ替える“骨替え”も行いません。
看板のない通称「裏コマ」の場所に2021年9月オープンした「駒や 箱崎店」。店長の田井公平さん(写真右)は倉田さん(写真左)のラーメンに魅了された一人です。
「駒や 箱崎店」は、ワンタンメンと焼き飯に特化した店。
「製法の基本は馬出本店と同じですが、作り手や時間帯の違いで、スープの味わいが変わるのは当たり前。それこそが各店で炊き込む豚骨ラーメンの魅力です。馬出と箱崎、また違った博多シャバ系を楽しんでほしいですね」(田井さん)
豚骨から染み出た上澄みの脂を仕上げにふりかけてパンチアップ。
ちなみに、ワンタンも馬出、箱崎店それぞれで手包みしています。
田井さんいわく、「箱崎店の方が、より肉肉しい具。皮にめいいっぱい詰めています」とのこと。
「駒や 箱崎店」は現在、夜営業のみ。早朝6:00〜11:00は「うどん箱太郎」が間借り営業しているユニークな形態にも注目してください。
東区馬出にある「馬出中央商店街」。ほとんどの店のシャッターが閉まり、人通りもまばら。観光客はもちろん、福岡市民でも知る人は少ないでしょう。しかしながら、この路上遺産的な商店街が昨今、豚骨ラーメンファンから熱視線を浴びる場所となりました。きっかけとなったのが、先の【1/2】で紹介した「駒や」のオープン。そして、その1年後の2020年「ぶんりゅう」が約25年ぶりにこの地へ戻ってきたこと。もともとこの商店街では、1952年創業の老舗「博龍軒」、屋台から始まった夜専「一楽」がひっそりと営業していました。そこに前述の2店が加わり、ごく狭い一角にラーメン屋4店。しかもすべてが豚骨ラーメンという激戦エリアへと変貌したのです。作り手の皆がこの界隈で育つなど地域にゆかりがある、いわば豚骨ラーメンパーク。味も間違いないヴィンテージ豚骨が楽しめます。
この「馬出中央商店街」の中で、王道の長浜ラーメンを食べるなら「ぶんりゅう」。
大将の渡辺友隆さんは現在66歳。20代でガンソ(元祖長浜屋)で職人のキャリアをスタートさせ、27歳の時に独立開業。長浜ラーメン歴は40年以上にもなる方です。平ザルを巧みに操り、手首のスナップでクルリ、クルリと麺を舞わせる大将の麺上げ技術にも注目してください。
スープの材料は、豚のゲンコツ、皮、背脂。フレッシュさにこだわる“取りきり”手法で、血合いやアクを丁寧に取り除き、さらに細かい網で3段階にわたり丁寧に漉しています。臭みがなくとことんピュアなスープの飲み口はライト。自家製細麺のパツンとした心地よい歯切れもいいですね。チャーシューはしっかりとした塩気が効き、デフォルトのラーメンでも博多ネギがたっぷりと入り“ネギだく”で出てくるのも個人的に好きなポイント。
ちなみに「ぶんりゅう」も、先の「駒や」もそうですが、スープを飲むレンゲは客からの要望がないと出していません。これは「丼ごと鼻に近づけてスープを飲むからこそ香りが花開く」。という店主のこだわりから。
ぜひ、両手で丼を持ってズズッと飲んでください。
波々のスープゆえ、たまにスープが手についてヌルヌルに。滑らないようおそるおそる。
それも昭和の博多ラーメンの醍醐味です。
最後に紹介したいのは「博多玉」。ラーメン1杯550円。
早い、うまい、安い!! 博多ラーメンの優良店はたくさんありますが、中
でも個人的に激推しする店。
屋号の“玉”は、まず“替え玉”を連想するでしょうが、それはそれで正解。自家製麺に
絶対的な自信を持ち「マストで替え玉まで楽しんで」との思いが込められています。
そして、実は店主・児玉皓さんの一字でもあります。店を指す意味でも、気さく
な店主自身も、大橋界隈では“ダマ”の愛称で通っています。
ダマさんは、1983年福岡市出身。15歳の時アルバイトからラーメン店に入り、これまで豚骨一本で腕を磨いてきました。「ただただ昔ながらの豚骨ラーメンが好きだから」。2014年に自身の店「博多玉」を開業した時も、しっかりとTHE博多豚骨を軸に据えて。より理想とする細麺を作るため、製麺機を導入してのスタートとなりました。
スープにギトギト感は全くなく、最初の印象はあっさり優しい。食べ進めるごとに深い旨味が押し寄せ、また一口とついつい飲み干してしまう、じわりじわりとくるタイプです。
そして、やはり自家製麺が秀逸です。
しなやかなコシの細ストレート。コク、コクと顎の骨に振動が伝わるような麺の芯を適度に残した心地よい歯応え。
このうまさ、コスパで、辛子高菜もお代わり自由(しかも、小さなトングではなく、さえ箸でワシャっと掴める)ってんだから申し分ないですね。
「博多玉」のラーメンは奇をてらわない博多豚骨ですが、サイドメニューやドリンクは
ダマさんの遊び心を出したメニューをそろえています。
例えば、テキーラ各種をラインナップしているのもラーメン店では珍しい。
麺酒場としても使えるので、大橋界隈でちょい飲みの機会があればぜひ。
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