ホームで行列を生んだ話題のラーメン店が駅チカで再始動 〜後編〜

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最終更新日

ライター山田祐一郎

カメラマン山田祐一郎

明鏡志水塩アイキャッチ

博多駅

明鏡志水(めいきょうしすい)

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和食の経験が魅せる、透明感溢れる一杯

ようやくその時がやって来た。開業早々に、ふらりと「明鏡志水」へ食べに行ってみた。着いてみると、予想通り行列ができている。その数、ざっと見たところ20人くらい。もうあんな後悔は繰り返したくない。すぐさま最後尾に並んだ。ふと見ると、「ここからの待ち時間 40〜60分」と書かれた貼り紙がある。1時間以内か、全然待てるな。

明鏡志水待ち時間

すると、ちょうどお昼時が終わったタイミングでもあったので、続々とお客が外に出ていく。40分掛かったか、掛からなかったかというくらいで店内に入れた。並んでいる時にオーダーを確認してくれるので、席に着いてからの料理の提供は驚くほど早い。物腰やわらかな女将を務める妻・三鈴さんの接客が抜群で、満席の店内ではあるが、雑然としておらず、ゆっくり食事を楽しめる雰囲気が漂っていた。

明鏡志水外観

オーダーしたのは名物の冷やしラーメン「明鏡志水LUXE」。あえてトッピングを載せず、シンプルにスープと麺を堪能するこの店の代名詞「明鏡志水PURE」。この「LUXE」は、そんな「PURE」に鶏チャーシュー、さらにはアグー豚のチャーシュー、半熟煮玉子、海苔を盛りつけた贅沢仕様の一杯だ。

明鏡志水LUXE

冷たいスープを口に含むと、出汁のおいしさ、そして香味油のゆたかなコクが口いっぱいに広がる。出汁は昆布や節類数種などで引く。和食の料理人である秋吉さんの真骨頂ともいえる、上品で奥行きのある旨味が舌を楽しませてくれる。そして鶏油、ごま油などを織り交ぜた香味油によってラーメンらしいパンチをもたらすが、そこにくどさはなく、最後の一滴まで飲み干しても、疲れない。
麺は特注の中太ストレート。ほのかにウェーブを感じるので、茹でる前に少し手揉みしているのかもしれない。この麺がツルツルかつシコシコで、テクスチャにしっかりと表情がある。冷水でしっかり締めてあり、それほど太い形状ではないが、特にコシが引き立っていた。麺のボリュームもしっかりあり、一杯で心も、胃袋も、完全に満足させるパワーがあった。

明鏡志水塩

すっかり魅了されたぼくは、日を改めて「特製 塩」も食べに行った。「LUXE」同様、「たおやか」という言葉が似合う、まさに美人麺。その透き通ったスープを土台とした美しい面持ちに、思わず、ごくりと喉が鳴る。
スープは実に軽やか。決して旨味やコクが軽いのではなく、ちゃんと出汁をビンビンに感じるのに、無添加、無化調を謳うだけあり、後味がものすごく良い。秋吉さん曰く、スープは丸鶏をミンチにして出汁を引き、さらに和の食材で引いた出汁を掛け合わせているそうで、西洋料理のコンソメの手法を取り入れたという。和食のみならず、海外経験も豊富な秋吉さんならではのアプローチだ。麺は共通のようで、温かいスープで食べるとしなやかな食感となる。「LUXE」と同じく、心の底からホッとし、なんだか全身に力がみなぎるように感じた。

秋吉さんにとってラーメンとは

「ラーメンもそうですが、私自身が料理をする上で、『心と体を癒す食』というテーマを掲げています。福岡の飯塚出身で、昔から豚骨ラーメンに慣れ親しんできました。その中で、豚骨ラーメンは塩分、脂分をしっかり備えた食べ物で、ある意味、ジャンキーな存在だと思います。だからこそ多くの人を魅了しているのかもしれませんが、私がラーメンを作るなら、そうではなく、毎日食べても飽きないような、あっさりしつつも満足できる味を目指したい」と秋吉さんは言葉に力を込めた。素材選びにおいては地元の福岡をはじめ、九州の生産者たちが育てた食材を軸に据えている。地産地消の美味が、ここにはある。

パリ出店の話は頓挫していないが、まだまだコロナ禍の終わりが見えない中、もうしばらくはラーメンづくりに集中することになりそうな秋吉さん。ラーメンづくりをどのように捉えているのか。

「作れば作るほど、自由さを感じていますね。和食の世界だと、例えばちょっと西洋料理のエッセンスを加えると『ちょっとやりすぎでは?』という声をいただくのですが、それが全くない。ある意味、何をやっても許されるような、自由さ、懐の深さがありますよね。だから想像が楽しい。冷たいラーメン『明鏡志水』も、ラーメンだから、必ずしも温かいスープじゃないといけないということはないのでは、という考えから着想したものですから。今後は日本酒などのお酒を取り入れてみたり、スッポンを材料に使ってみたり、さらにこのラーメンという料理の可能性を楽しみ尽くしたいですね」。秋吉さんはそう笑顔で答えてくれた。

明鏡志水調理

三鈴さんは「今まで以上に、女性の方々に足を運んでいただきたいですね。ラーメンというと男性的なイメージが強いと思いますが、当店では、席の間隔にゆとりがあり、ゆっくりとお食事を楽しんでいただけるような雰囲気になるよう心掛けています。ラーメンだから急いで食べないといけないということはありません。ぜひ寛いでいってほしいですね」と続けた。
福岡のラーメンシーンに一石を投じる「明鏡志水」の開業。ラーメン好きの裾野が広がりそうな気配がムンムンと伝わってくる。

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店舗名

明鏡志水(店舗写真

ジャンル

  • 居酒屋
  • ラーメン

住所

〒812-0012 福岡県福岡市博多区博多駅中央街1−1

電話番号

092-710-6377

営業時間

10:00~OS21:30

定休日

なし

席数

  • カウンター7席
  • テーブル36席

個室

なし

メニュー

淡麗 塩・醤油850円、特製味噌1,200円、特製鶏白湯1,300円、トリュフ鶏白湯3,000円、鰹昆布水つけ麺 塩・醤油 1,100円、明鏡志水 PURE950円、明鏡志水 LUXE1,600円
15:00以降/グラスワイン1,000円〜、生ビール600円、鶏もも塩唐あげ600円、金柑ブルーチーズ(2個)800円、自家製からすみ大根(2切)1,500円

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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