家ではちょっとやらないお店ならではのあったか鍋5選【4】

うまさと値頃感に拍手。うどん酒場生まれの鴨すきうどん

公開日

最終更新日

ライター葉山巧

カメラマン葉山巧

うどん栄

春吉

うどん栄【閉店】

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鴨鍋が食べたくなったとき、きっと大抵の人は蕎麦屋を目指すと思います。しかし先日「あ、うどん居酒屋もアリだな」という不意打ち的な出会いがありました。しかも味良しコスパ良しで、これは早いとこ世に知らしめる必要がありそう! というわけで、今回は「うどん栄」の人気鍋をリポートします。

うどん栄

ホテルニューオータニ博多の裏手にある「」は、昼はうどん専門店、夜はうどんと天ぷらを柱に据えた居酒屋です。以前は創作和食の「食堂えぶりお」「ニューえぶりお」でしたが、昨年10月に装いを一新。店主の太田栄治さんに尋ねると「元々うどんと天ぷらが大好きで、いずれこの業態でやるつもりだったんです」と転身の理由を教えてくれました。
独学で何年も試行錯誤を重ね、「ニューえぶりお」時代から少しずつメニューに加えてきたうどんと天ぷらが、いよいよ主役に躍りでたのです。

うどん栄

二枚看板だけに、どちらもメニューは多種多彩です。とりあえず何か天ぷらをと迷っていたら、「今日はこれがおすすめ」と太田さんが助け舟。それが熊本直送の「赤ナスの天ぷら」で、ステーキサイズの迫力と、完熟果肉のような口溶けに二度驚きました。みずみずしい食感の中に、濃厚な旬が凝縮されている感じ。パリッと軽やかな薄衣も個人的に好みです。
また海鮮系天ぷらのタネも、柳橋の新鮮な近海ものばかりとか。「どれも刺身でイケますよ」。気づけば予定外の盛り合わせまで頼んでいたのでした(結果大正解!)。

うどん栄

ほどよく胃が温まった頃、「栄のカモすきうどん」が運ばれてきました(1人前2,000円/写真は2人前。12~3月以外は前日までに要予約)。
まず目を引くのは、やはり存在感抜群の鴨肉です。つややかでむっちりした肉質は“只者じゃない”感に満ち、予想以上にボリューミー。ほのかに漂う美味しい予感は、太田さんの言葉で確信に変わりました。「これはフォアグラ用に飼育されたフランス産の鴨肉ですね。すごく脂が乗った上質な食材なんです」

うどん栄

またもや浮き立つ心(≒食欲)をなだめつつ、玉ねぎ、豆腐、マイタケを、羅臼昆布や糸島産醤油などで仕立てたすき焼き出汁に投じます。やがて甘い香りが立ちこめて、玉ねぎの色がうっすら変われば、それが「鴨の出番」のサインです。

うどん栄

「火を通し過ぎないのがコツ」という助言に従って、10秒ほどしゃぶしゃぶした鴨のうまさときたらありません。“ふかふか”と“もちもち”が混在する肉質は噛むことの快楽に満ち、クセがほぼ皆無の風味には洗練された野趣を感じます。続けて生卵に浸すと出汁のまろやかさが増幅し、さらなる甘い幸福が脳内を疾走するのでした。
春菊とクレソンも、あわせて軽くしゃぶしゃぶして綺麗に完食。12月からは玉ねぎが旬の下仁田ネギに変更され、これまた違った魅惑を与えそうです。

うどん栄

さて、鍋が空になっても最後のお楽しみ──そう、締めのうどんが残っています。「」のうどんは福岡でも珍しい平打ち麺。太麺ときしめんの中間ほどの太さで、もっちりした歯応えとともにユニークな個性を放っています。

「以前は細麺を打っていましたが、小麦粉の研究を通してこの形にたどり着きました」と太田さん。「僕が使っている讃岐と筑後のブレンド粉なら、この平打ち麺がベストだなって」
コツコツ積み上げた努力は、やがて長時間の煮込みに耐えうる強靭なうどんに結実。「鍋にも使いたかったので、実はそれを狙っていたんです」。そんなこだわりを注いだうどんは、この鍋の中でどんな輝きを見せるのでしょう。

まずは鍋を沸騰させ、鴨の脂とスープを乳化させた後にうどんを投入します。もう一度沸騰したところで、太田さんが「どうぞ召しあがって下さい」と一言。
飴色に染まったうどんをすすった瞬間、鴨の時とは別種の至福がドドッと押し寄せました。唇に触れるうどんの絹のような滑らかさ。そして鴨の脂と出汁を限界まで吸った、濃厚な甘みの渦に思わずうっとり。よもや、これほど鴨のうまさと張り合えるうどんだったとは!
このクオリティと満足感で1人前2,000円。これ、かなりの掘り出し物かもしれませんよ。

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店舗名

うどん栄【閉店】(店舗写真

ジャンル

  • 天ぷら
  • 居酒屋
  • うどん

住所

福岡市中央区春吉1-6-13

電話番号

092-762-0001

営業時間

11:00~OS14:30/17:00~OS21:00(日曜は通し営業)

定休日

火曜

席数

  • カウンター14席
  • テーブル10席

個室

2〜6名

メニュー

季節の野菜天5種盛り500円、天ぷら+うどん定食880円〜、自家製季節の丸天350円、栄のモツすき1,350円(11〜3月限定)

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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