豆腐の新たな可能性に驚く、酒に合う創作メニューに舌鼓

佐賀県・鹿島で産声を上げた創業60年の豆腐店「三原食品」による居酒屋「三原豆腐店」。2012年に西中洲に誕生し、今や福岡の飲食を語る上で欠かせない人気店の一軒ですね。気の利いた豆腐料理を食べたくなり、足を向けてみました。

「三原豆腐店」の豆腐は「岩田屋」や「ボンラパス」などでも販売していますが、できたての豆腐料理を味わえるのは西中洲にあるこちらだけ。豆腐を知り尽くす、豆腐屋だからこそできるアイデアに満ちた創作料理は、シンプルでありながらお酒が進んでしまうものばかり。豆腐のように真っ白な外観が目印で、店内にはカウンターとテーブル席があります。また、同じ建物の２階には、酒場スタイルの「三原の二階」もあります。

まずはこれを食べないと始まらない、「まぼろしの厚揚げ」（600円）をいただきました。ころんとした可愛らしいフォルムに胸キュンです。揚げたてなので、外はカリッと香ばしく、中はしっとりなめらかな食感。後から豆の香りが鼻を抜けて、澄んだ甘みを感じます。厚揚げのために作られたという、椎茸の出汁を生かした醤油を垂らすと、豆腐の旨味がさらに引き立ち、思わず頬が緩んでしまいます。

佐賀の大豆・フクユタカや北海道の大豆を使い丁寧に作られる「三原豆腐店」の豆腐。「味の決め手は地元、鹿島の水なんです」と教えてくれたのは店長の中島正貴さん。酒どころである鹿島の「鍋島」などの名酒を育む多良岳の伏流水が、豆腐作りにもなくてはならない存在なんだとか。料理を作るときや店内で提供される水にも、この鹿島の水が使われているそうです。

次に注文したのは「湯葉巻きネギトロ」（1,500円）。薄いけれどムチッとした弾力のある湯葉に包まれた、高等ネギのパンチのある香味とシャキシャキとした山芋、そしてねっとりとしたネギトロ……。濃厚な甘みの黄身醤油をつけて味わうと、お酒が欲しくなる一品です。

また「麻婆豆腐」（1,200円）も外せません。絹豆腐をパックから出してあえて水切りせずにそのまま使用するのがポイントです。その方ができたての豆腐の美味しさをダイレクトに感じられるそうです。自家製のラー油を使った、麻婆のほどよい辛味の後から奥ゆかしい豆腐の甘みがふわりと広がります。何より豆腐のみずみずしいちゅるんとした喉越しがたまらないんです。

今回、特に楽しみにしていたのが「豆乳だしと糸島豚のネギしゃぶ鍋」（１人前1,600円※注文は2人前〜）。木の器に盛られた豚肉の下には、細切りしたネギがたっぷり隠れています。そのままお箸でワシっと掴んで豆乳の鍋にダイブさせて、軽くしゃぶしゃぶして口に放り込むと、大豆の旨味を凝縮させた豆乳スープが染み渡るよう！　ネギの食感が軽やかで、どんどん箸が進んでしまいます。「しゃぶしゃぶ」といっても、ポン酢などにつけていただくのではなく、豆乳ベースの出汁でそのまま味わうスタイルです。鍋の底に隠れている、温泉豆腐のとろとろに崩れそうな食感もやみつきになりますよ。最後は豚肉とネギの旨味が溶け込んだ鍋に、「うどん」（600円）、「ぞうすい」（600円）、「トリュフリゾット」（700円）などのシメを投入して、豆乳スープを心ゆくまで堪能しましょう。

全国的な人気を博す豆腐の生チョコレートや、近くの「ハレノガーデン」にはソイラテや豆乳スイーツを提供するカフェ「TOFFEE park」も展開し、豆腐や豆乳の新たな可能性を発信し続ける「三原豆腐店」。その動向からこれからも目が離せません。