パティシエとバリスタ、二人の個性が調和するくつろぎのカフェ

新しい話題に事欠ない福岡市内のなかでも、大濠公園周辺は特に気になるお店がどんどん増えている注目のエリア。今回は、周辺散策の新たな目的地になりそうなカフェ「yolch（ヨルチ）」を訪れました。

大濠公園から徒歩10分弱で到着するかわいい外観のお店。2025年4月にグランドオープンしたばかりです。場所はかもめ広場のほど近く、台湾料理「亜洲界世」の2軒隣というとピンとくる人が多いかもしれません。

扉を開くと、テーマカラーのアッシュグレーにアクセントカラーのグリーンを配した空間が広がります。すっきりとしたシンプルな内装に、木のカウンターやテーブルが温かみを添えた店内は、ゆっくりコーヒーやスイーツを楽しむのに最適な落ち着いた雰囲気です。

バリスタのユリさん（右）とパティシエのアイリさん（左）は、コーヒーはもちろん、スイーツのおいしさでも知られる「REC COFFEE」で働いていた時に出会い、同い年ということもあり意気投合。それぞれが思い描く将来の話をしているうちに目指すものが近いことを感じ、一緒にお店を開くことになったそうです。「コーヒーには甘いものが、甘いものにはコーヒーが欠かせません。二人の得意なことを活かし、どちらもしっかりと楽しんでもらえるカフェにしたいと思っています」と話すお二人。ユリさんは理論派、アイリさんは感覚派と性格のタイプも違うようで、お店のロゴはそんな個性を表しているのだとか。「yolch」という店名は、人生は一度きりという英語のスラング「YOLO（You only live once）」と、「choose（選択）」、「chill（くつろぐ）」を組み合わせて考えたそうです。

そんなお二人が営むカフェなので、「yolch」では甘いものとコーヒーの両方が主役。両方とも大好きな私にとってまさに理想的なカフェです。

甘いもののメインメニューはお皿に盛ったデザートプレート。パティシエのアイリさんは洋菓子店で働いた経験もあり、カフェで働いていた時はパフェイベントも行っていたのだとか。「デザートプレートはお皿に盛ったパフェをイメージしています。南インドカレーのようにそれぞれのスイーツをそのままでも、組み合わせても楽しんでいただけるように作っています」とアイリさん。南インドカレーのようにという表現がユニークで、想像しやすいですね。

デザートプレートのうち季節限定商品は時期によって内容や価格が変わり、いまは「季節のプレート 柑橘」（1,490円）を注文できます。柑橘のタルト、煎茶のアイスクリーム、アーモンドメレンゲ、柑橘のマリネ、みかんのグラニテ、サワークリームのパンナコッタなど自家製の9種類のパーツからなり、見た目も華やかです。一つ一つの独立したおいしさを確かめたあとは、甘酸っぱく爽やかな風味の柑橘に香ばしいアーモンドメレンゲを合わせよう、次はコクのあるパンナコッタを…と一口ずつどんな風に食べるかを考えるのも楽しい。「季節のプレート」は、6月上旬にメロンに切り替わる予定です。

ユリさんは会社員を経て、コーヒーの道へ。「REC COFFEE」で技術を磨くうちに、エイジングの具合やお湯の温度、抽出時間などで繊細に味が変わるコーヒーの奥深さにひかれていったといいます。また、カフェに集う人々との会話を楽しむ時間もバリスタの醍醐味と感じ、より自分のカフェを持ちたいという気持ちが高まったのだそう。そんなユリさんが選んだコーヒー豆は生産者から直接買い付けを行う糸島のロースタリー「COFFEE UNIDOS」のもの。お店で相談や飲み比べをしながら使用する豆やバランスを考えたオリジナルの「ヨルチブレンド」をドリップ、エスプレッソ両方に使用しているそうです。「ヨルチブレンド ドリップ アイス」（550円）は、豆本来の個性を味わいつつ、コーヒーらしいコクも感じるバランスのいい一杯でした。

こちらは「ヨルチプレート」（1,090円）とカフェラテ（600円）。濃厚なテリーヌショコラとミルクアイスクリームやアーモンドクランブルなどを合わせて味わう定番のデザートプレートです。カスカラティというコーヒー豆を覆う果肉を乾燥させたものを使ったジュレが添えられているのも、コーヒーと一緒に楽しむデザートならではですね。

コーヒー豆や焼菓子の販売スペースも。巾着入りの焼菓子3個セット入りもかわいいですね。ドリンクもテイクアウト可能なので、大濠公園やかもめ広場でくつろぐ時のお供にいかがでしょうか。

「『yolch』は『寄る地』という風にもとらえられますよね。いろんな方にとって居心地のいい空間になり、自然に足が向くホームのような場所になれば」とユリさんとアイリさん。おいしい甘いものとコーヒー、そしてお二人の笑顔が待つカフェはたくさんの人の“いつもの場所”になりそうです。