横浜家系とはまた違う “博多流”豚骨醤油ラーメンが熱い

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ライター上村敏行

カメラマン上村敏行

麺屋 伍利羅ラーメン

大岳、千代

博多豚骨醤油ラーメン 麺屋 伍利羅、博多豚骨醤油ラーメン 初代ZERO式

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今回の主役は「豚骨醤油ラーメン」。中でも、福岡で進化し昨今再び注目を集めている「“博多流”豚骨醤油」について最新の2軒「麺屋 伍利羅」(大岳)、「初代ZERO式」(千代)と共に紹介します。

まず、「豚骨醤油」は、言わすもがな豚骨ラーメンの種類の一つです。
ラーメンには、例えば博多、久留米、熊本ラーメンなど地名を冠したカテゴライズもありますが「豚骨醤油」は、素材や作り方、スープの状態にフォーカスした類の呼び名であり、「豚骨魚介」と共に以前から福岡でもよく聞かれていました。最近では「クリア豚骨」「泡系豚骨」「シャバ系豚骨」などの言葉も生まれていますが、それら“豚骨の細分化”の走り的な存在といえるでしょう。もともと「豚骨醤油」は、横浜家系ラーメンを指すことが多かった関東発のジャンルであり、福岡では中洲にあった「とうや」、そこに端をなす「入船食堂」「海豚や」が活躍し始めた2009年あたりから、よく耳にするようになったと記憶しています。
そして僕自身、この頃からラーメン好きによく質問されていたのが「『豚骨』と『豚骨醤油』ってどう違うと? だって普通の豚骨ラーメンも醤油を使ってるじゃん」ということです。
確かに、そういう意味ではほとんどの豚骨ラーメンが豚骨醤油でしょう。しかし、ジャンルとしての「豚骨」と「豚骨醤油」は別ものです。第一には、博多ラーメンなどクラシックな豚骨ラーメンのタレには薄口醤油を使うことが多いですが、豚骨醤油は濃口が主流で、丼に張る量も若干多いです。ゆえに色合いはより茶褐色。そして、大判の海苔、うずらの玉子など家系ライクなものを中心に具材はさまざまですが、「鶏油」をマストで使っているところがほとんど。麺も中太でゆるやかなウェーブの麺を合わせることも多い印象です。

恭や ラーメン

麺処 恭や

さて、前述した「海豚や」以降の福岡での「豚骨醤油」の沿革に話を戻しますと、その後「麺処 恭や」(上写真)、「博多無邪気」の登場や、「壱壱家」「内田家」、直近では「王道家」といった横浜家系の台頭。それら横浜家系ブームは現在、全九州エリアへと伝播しています。ちなみに、実は「家系」と「横浜家系」にも明確な違いがあるのですが、こちらはまた別の機会に記します。
そのような経緯で「豚骨醤油」が改めて注目されているわけですが、味の要の醤油を甘めの福岡のものにし、麺も地元の製麺所に特注するなど、福岡色をより織り交ぜたものが「“博多流”豚骨醤油」です。
それでは“博多流”豚骨醤油のNEWな2軒を紹介しましょう。

博多豚骨醤油ラーメン 麺屋 伍利羅(大岳)

香椎方面から海の中道、志賀島へと向かう途中、県道59号を進んでいると「ゴリラ注意!」と書かれたのぼりが見えてきます。そこから脇道に入った奥で営業しているのが「麺屋 伍利羅」。この店は香椎に出していたラーメンのキッチンカーが前身。志賀島出身の店主・近藤博之さんの作る豚骨醤油ラーメンが評判を呼び、昨年11月満を辞して路面店を開業しました。

麺屋 伍利羅外観

「豚骨醤油ラーメン」(780円)は豚骨を煮込んだ肉系ダシに、福岡県産醤油をベースにしたタレ、黄金の鶏油を合わせた茶褐色スープ。このタイプの豚骨醤油の中では比較的さっぱりとしていて、飲み干しやすい塩気と濃度に仕上げられています。

麺屋 伍利羅ラーメン

さらにプッシュポイントは、「同じ豚骨醤油でも多彩なバリエーションを用意していること」。特に「豚骨醤油ジェノバラーメン」(990円)は名作ですね。

伍利羅豚骨醤油ジェノバラーメン

醤油ダレを効かせた豚骨醤油スープに、自家製ジェノバソースを溶け込ませた淡いグリーンのビジュアル。バジルのほろ苦いさっぱり感、チーズのまろやかさ、豚骨の重厚感、コク深さが上品に融合していてうまいですね。ジェノバソースと豚骨スープの組み合わせは「ラーメン海鳴」にも好例がありますが、それとはまた違った魅力があります。残ったスープは、注文後にバーナーで炙りを入れる「リゾットセット」(+350円)で楽しむのがおすすめですよ。

博多豚骨醤油ラーメン 初代ZERO式(千代)

こちらは千代に昨年10月オープン。屋号に掲げる通り「博多豚骨醤油ラーメン」専門店です。呼び戻し手法で取る高濃度スープが持ち味。豚の背骨をメインに頭以外の全身の骨を炊き込んだ煮込み時間、濃さの異なる2つのスープをブレンドして作っています。豚骨醤油の定番である鶏油のほかに豚の背脂も程よく加えてあるので、よりパンチの効いた味わいです。

初代ZERO式ラーメン

醤油ダレには九州産の濃口醤油を採用しているのですが、「力強い豚骨スープに負けないよう、しっかりと濃厚で、甘さも立った醤油を使っています。一般的な博多ラーメンより醤油を多く張るので、スープが冷めないよう調味料の醤油や脂の温度管理も重要」と店主の田中拓馬さんは話します。

初代ZERO式麺

麺は、福岡県産の小麦“ラー麦”麺を得意とする製麺所「博多製麺処」に特注する中太の縮れ麺。加水率を高めに設定しているため、ツルシコ感が際立ってて個人的に大好きです。メニューは「白豚骨醤油ラーメン」(700円)が定番で、マー油入りの「黒豚骨醤油ラーメン」、辛味系「赤豚骨醤油ラーメン」(各800円)も用意されています。

紹介した2軒のほか、薬院と井尻に店を構える「らーめん酒場 八十一」も昨今登場した新しい“博多流”豚骨醤油ラーメンの店です。横浜家系とはまた異なる豚骨醤油ラーメンを堪能してください。

店舗名

博多豚骨醤油ラーメン 麺屋 伍利羅(店舗写真

ジャンル

  • ラーメン

住所

福岡市東区大岳4-7-6

電話番号

070-8540-9609

営業時間

11:00〜23:00

定休日

なし

席数

  • カウンター5席
  • 座敷16席
  • テラス4席

メニュー

豚骨醤油ラーメン780円、ピリ葱豚骨醤油ラーメン880円、力・豚骨醤油ラーメン880円、豚骨醤油ジェノバラーメン990円、油そば900円

喫煙について

禁煙

店舗名

博多豚骨醤油ラーメン 初代ZERO式(店舗写真

ジャンル

  • ラーメン

住所

福岡市博多区千代3-46-2

電話番号

080-4313-0049

営業時間

11:00〜OS14:30/17:00〜OS20:30

定休日

日曜

席数

  • カウンター10席
  • テーブル10席

メニュー

白豚骨醤油ラーメン700円、黒豚骨醤油ラーメン800円、赤豚骨醤油ラーメン800円、特式豚骨醤油ラーメン1,000円

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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