ヌードルライターおすすめ、博多のうどん【3】

やわらか麺文化の博多で愛される、讃岐系うどんの注目店5選

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ライター山田祐一郎

カメラマン山田祐一郎

こまるうどん

山田祐一郎

1978年、福岡県生まれ。2012年8月、「KIJI (キジ)」を設立。日本で唯一(本人調べ)のヌードルライターという肩書きで活動を開始する。同年にwebサイトも立ち上げ、日々食した麺の記録をWEBマガジン「その一杯が食べたくて。」として連載。著書に福岡初・福岡発のうどんカルチャーブック「うどんのはなし 福岡」、福岡市内を中心におすすめの麺を幅広く紹介した「ヌードルライター 秘蔵の一杯 福岡」(聞平堂 )。モットーは「一日一麺」。2019年から父の代から続く製麺業を継ぎ、製麺所「山田製麺」の代表に。ヌードルライターとしての活動と並行し、麺づくりにも取り組む。

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前回、前々回と、過去2度に渡って博多うどんのお店を紹介してきました。今回は博多っ子に愛され、この福岡の地で育まれ、地域に根付いている讃岐系のうどん店に着目。やわらかい麺に慣れ親しんだ博多っ子をも魅了する実力店ばかりです。博多のうどん文化に奥行きを与える5軒をご紹介します。

博多さぬきうどん 西通り大名店

まず知ってほしいのが、大名のど真ん中にある「博多さぬきうどん 西通り大名店」の存在。この店こそ、福岡における讃岐系のパイオニアです。その創業は1965年までさかのぼります。当時、店主の秋山さんはまだ20歳そこそこの青年でした。もちろん博多生まれということで、やわらかい麺のうどんが当たり前という感覚だったそうですが、香川で働いていた兄からの「同じうどんでも讃岐うどんはまるで違う。とびきり美味しい」という言葉に惹かれ、香川の地を訪れ、愕然。初体験の讃岐うどんは、秋山さんを感動させ、人生を変えました。「その時、食べたのがざるうどん。もう言葉にならんでしたね。ただただすごい。言語化できないほどの衝撃を受けました」。こうして、このうどんを博多の人々にも食べてほしいという思いを胸に、香川に滞在し、うどんづくりを学んできました。
最初に店を構えたのは春吉。ただ、開店当初は全く受け入れてもらえなかったという。「コシのあるうどんなんて博多になかったから、未知のうどんだったんです。茹で上がってないとか、色々言われましたよ」と、まさに賛否両論でした。それでもコツコツと本場・讃岐の味を作り続け、次第にファンも増えていきます。その後、1967年に、まだ現在のようにショップが林立していなかった大名へと移転しました。

博多さぬきうどん西通りのざるうどん

うどんづくりは創業時から機械を一切使わない純手打ち。その麺は手切りによるやや不規則な麺線に味わいがあり、噛めばしっかりとしたコシを感じることができます。ぼく自身、本場の讃岐で何度もうどんを食べてきましたが、この店の麺は、まさに現地のそれです。一方でつゆのほうは、本場のようないりこ主体の出汁ではなく、昆布や節類も使って引いた博多っ子の趣向に合わせた味付けになっています。

博多さぬき西通りのごぼう天うどん

讃岐のうどんを目指し、それでいて博多の人々にも愛されるこの店のうどん。コシが際立つ「ざるうどん」といった冷たいうどんばかりでなく、温かいつゆのうどんも推し、博多ならではのごぼう天も置く。自分の味をただただ追求するだけでなく、寄り添える部分は博多にも寄り添うという秋山さんだからこそ、今もこうして店が在り続けるんだろうなと思うわけです。

つきよし

続いて紹介したいのが、博多区須崎の路地裏に店を構える「つきよし」。この店こそ、店主・井上よしひこさんが開拓した、うどんとちょい飲みの両方が楽しめる「うどん酒場」です。
店内に入ると、そこは井上さんの舞台。カウンターの上にはその壁を埋め尽くすようにおしながきが貼り巡らせてあります。その日の鮮魚を惜しみなく盛り付けた刺身を筆頭に、揚げ物、炒め物、天ぷらなど、内容は実に多種多彩。これらの幅広いメニューを片腕のスタッフと2人で次々と仕上げていくのだから、本当にショーを見ている感覚になります。

つきよし壁面メニュー

そんな「つきよし」で、忘れてはならないのが、シメのうどんです。どんなにそそるメニューばかりであろうとも、うどん一杯分の余力はぜひ残しておいてください。元々、飲食業とは無関係のサラリーマンだった井上さん。大衆酒場好きが高じて、脱サラして鮮魚店で働くことになりました。そんな中、運命の出合いが訪れます。「とあるきっかけで香川に行って讃岐うどんを学ぶ機会をいただいたんです。自分で打ったうどんが本当に美味しくって。すっかりうどんに魅せられました」。現在もうどん作りは、香川で学んだ純手打ちスタイル。ただ、そのレシピは試行錯誤の中で、変化していったそうです。「製麺は全て手で行うので感覚が勝負。その日の温度や湿度を文字通り肌で感じつつ、うどんを作っています。手作業だと手間は掛かるんですが、自分の理想のうどんになるので、そこは変えられませんね」と井上さんは笑顔で教えてくれました。

つきよしごぼう天うどん

個人的なイチオシはむっちりとした麺のコシが生きた「かまたまうどん」。ブラックペッパーをかけることで、和風のカルボナーラのような味わいが楽しめます。卵の濃厚なコクが後を引く一杯。これを食べずには帰れません。

つきよしかまたま

うどん こまる

本格讃岐うどんが博多で食べられるということで、次に紹介したいのが、平尾の路地裏に店を構える「うどん こまる」です。
開業は2017年。それまで店主は福岡において讃岐うどんブームの火付け役となった「讃岐うどん大使 福岡麺通団」(※現在は店名を「さぬきうどん らいべん」に変更して営業中)で働いていた経験の持ち主です。

うどん こまる

初めて「こまる」へ食べに行ったとき、「地域に根付いた街のうどん屋を目指しているんです」と話してくれた店主。讃岐うどんの本場の香川県では、本当に道を歩けばうどん店に当たるというくらい店が多く、それでも成り立っています。もちろんうどん好きの県民性もあると思いますが、それ以上に、チェーン店とは違い、どの店にも店主が厨房に立ち、うどんを作るという、店そのものに人間っぽさがあるところだとぼくは思っています。だからこそ、地域に根付く。店主はきっと、店と地域が近い、あたたかい関係性を築きたいんだろうと思いました。

うどんこまるのぶっかけ

店内はカウンター6席とテーブル2つの全14席。いわゆる“小バコ”店で、どの席にお客が座っても店主の目が行き届きます。メニューには本場讃岐と同じく、かけ、ぶっかけ、しょうゆ、ざる、釜揚げが揃い、かけやぶっかけは温と冷から選ぶことができます。あとはこれらの基本のうどんにお好みで天ぷらなどのトッピング、ご飯ものを組み合わせるスタイルです。

うどんこまるのかけうどん

うどんはやや細めながらもコシをしっかり堪能できます。うどんに使う小麦粉も香川にある多くの讃岐うどん店で使用されるものを現地からわざわざ取り寄せる力の入れようです。かけうどん、冷やかけうどんといったつゆのあるうどんは、香川でポピュラーなイリコだしの風味を存分に楽しむことができますよ。

恵味(えみ)うどん

1969年創業の「恵味うどん」も、讃岐うどんにルーツを持ち、なおかつ福岡の地で愛され続けているお店の一つ。店主・一ノ宮さんはこの店の二代目にあたります。元々、薬院で一ノ宮さんの伯母がこの店を営んでいました。そんな中、いずれこのうどん店を継ぐことになる一ノ宮さんは高校を卒業後、単身香川県へ。そこでうどんづくりを一から学びました。
修業先から戻ってきた一ノ宮さんはさっそく、習得した讃岐うどんの技術で打ったうどんを提供しました。ところが、お客からは受け入れてもらえません。その理由の一つが博多に馴染みがなかったうどんの強いコシ。そしてもう一つは茹でたての麺を提供するために掛かる長めの茹で時間でした。茹で置きの麺が主流だった博多のうどんにおいて、時間のかかる茹でたての麺は不評だったのです。

恵味うどんの麺

これらの問題をクリアするために一ノ宮さんが作り上げたのが、現在のうどんの形状でもある、やや細く、平べったいうどんの麺です。わずかな時間で茹で上がり、なおかつ讃岐らしいコシも備える。それらが両立した麺はまさに“恵味うどん”流の讃岐うどんです。

恵味うどんのよりどりうどん

鶏肉が入ったつけ汁に麺をくぐらせて食べる看板メニュー「とりおろしうどん」を筆頭に、具沢山のぶっかけうどん「よりどりうどん」、そして博多うどんにおける王道スタイルのごぼう天うどんを取り揃えるなど、幅広いラインナップのメニューが嬉しい限り。軽く飲みながらうどんで締める居酒屋使いも好評です。

手打ちうどん 円清

最後に紹介したいのが、地下鉄赤坂駅から徒歩5分ほどの場所にある「手打ちうどん 円清」。ここで提供されているうどんも、実は香川にルーツがあるんです。
店主の岩坂隆玄さんは元々、埼玉でうどんの店を営んでいました。ただ、そこに至るまでには紆余曲折があったのです。「本当はラーメン店を開業しようと思っていたんですよ」と言う岩坂さん。ラーメンの修業をしていた際に、「麺の勉強になるだろう」と考え、香川に讃岐うどんを食べに出掛けました。「2日間で14軒の讃岐うどん店を巡ってきました。そこですっかりうどんに魅せられて、修業先のラーメン屋の大将に『うどん屋になります』とお詫びして、そこから改めて香川のお店でうどんの修業を積みました」というから人生は何が起こるか分かりません。その後、埼玉でうどん店を開業。お店はたちまち評判となりましたが、縁があって福岡の地へ。2018年にこの「円清」を開業しました。

ここでのうどんは、 “つけうどん”というつけ汁に麺をくぐらせて味わうのが基本のスタイルです。うどんの製法は香川で学んだ手打ち。冷たい麺の「ざる」と温かい麺の「釜揚げ」があり、前者は讃岐うどんさながらの麺の力強いコシと滑らかな口当たりが堪能でき、後者は冷水で締めないことで生まれる麺のしなやかなコシが十二分に満喫できます。

円清のざるうどん

炒めた豚肉や玉ねぎが入ったつけ汁は、香川や長崎など3種の煮干しからとった天然出汁がベースです。節類や昆布を使わないストレートな味の表現ながら、合わさる豚肉や野菜からのエキスが溶け込み、とても深みのある味わいです。豪快に麺をくぐらせ、存分に啜ってください。
なお、店主のラーメン修業の賜物で、不定期に手打ち麺によるラーメンも提供中。福岡では稀有な手打ちラーメン。こちらも一食の価値あり、ですよ。

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店舗名

博多さぬきうどん 西通り大名店

ジャンル

  • うどん

住所

福岡市中央区大名1-12-3

電話番号

092-714-0994

営業時間

11:00~17:00頃 ※売り切れ次第閉店

定休日

日・月曜

席数

  • カウンター15席

個室

なし

メニュー

ごぼううどん600円、釜揚げうどん620円、ざるうどん620円、ざるごぼう入り650円、かしわおにぎり180円、いなり180円

店舗名

つきよし

ジャンル

  • 居酒屋
  • うどん

住所

福岡市博多区須崎町5-7

電話番号

092-282-4030

営業時間

18:00~OS23:30頃(土曜は~OS22:30頃)

定休日

日曜、祝日

席数

  • カウンター12席
  • テーブル4席
  • 小上がり4席

個室

なし

メニュー

ごぼ天うどん600円、エビ天うどん700円、肉うどん700円、肉キムチ800円、かまあげうどん600円、かまたまうどん600円、焼きポテサラ400円、刺身の盛り合わせ550円、めかぶのふわっと焼き450円、山芋シソ焼き500円

店舗名

うどん こまる

ジャンル

  • うどん

住所

福岡市中央区平尾1-12-19

電話番号

092-531-2918

営業時間

11:30〜15:00/17:00〜20:00

定休日

日曜、月曜

席数

  • カウンター6席
  • テーブル8席

個室

なし

メニュー

かけうどん510円、ぶっかけうどん570円、ざるうどん570円、かまあげうどん570円、かまたまうどん550円、こまるぶっかけ1050円、天ぷら盛り300円〜

店舗名

恵味(えみ)うどん

ジャンル

  • うどん

住所

福岡市中央区六本松4-3-2 インエイト102

電話番号

092-753-8018

営業時間

11:00~OS14:30頃/17:00~OS20:30頃 ※麺がなくなり次第閉店

定休日

日曜、祝日

席数

  • テーブル8席
  • 小上がり10席

メニュー

元祖とりおろしうどん880円、よりどりうどん950円、天ぷらうどん950円、ごぼう天うどん700円、あげちくうどん700円、かしわめし180円

店舗名

手打ちうどん 円清

ジャンル

  • ラーメン
  • うどん

住所

〒810-0073 福岡県福岡市中央区舞鶴2丁目7−1ライオンズマンション舞鶴第3-1F

電話番号

092-721-4929

営業時間

11:30〜14:30/18:00〜20:30

定休日

月曜

席数

  • カウンター4席
  • テーブル8席

個室

なし

メニュー

釜揚げうどん550円、ざるうどん550円、肉汁釜揚げうどん720円、肉汁ざるうどん720円、肉汁おろし釜揚げうどん770円、肉汁おろしざるうどん770円、炙り肉うどん850円

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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