グランドメゾン presents 「ハレの日レストラン」【第9回】

高砂の人気店で、“寿司愛”に満ちた握りに破顔一笑

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最終更新日

ライター葉山巧

カメラマン平川雄一朗

たつ庄

高砂

たつ庄

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店名に「庄」を冠した寿司屋は店主が「河庄」出身である──とは福岡グルメにおける有名な逸話の一つ。ここ「たつ庄」も、その系譜にある実力派の寿司店です。生真面目な仕事を通して、かの名店が築いた誇りとブランドを守り続けています。

たつ庄

店主の立石修二さんは、「河庄」での18年に及ぶ修練を終えた2008年に独立。以来、県内外の寿司好きの心を射止めてきました。満ち足りたひとときの価格は、昼が「おすしコース」11,000円と「お刺身コース」22,000円、夜は「おまかせコース」33,000円とのこと。2022年最初の寿司体験はここにしようと、穏やかな空気が包む高砂を訪ねました。

たつ庄

撮影/葉山巧

外観同様、店内も好ましいシンプルさ。カウンターとつけ台にはほぼ段差がなく、ゆったりした開放感を生んでいます。立石さんの朗らかさもリラックスを誘い、緊張感は雲散霧消。ささいな仕草から「この仕事が楽しくて仕方ない」という“寿司愛”が伝わる生粋の職人です。

幼少期の夢を叶え、料理人となった立石さんの向上心はいまだ衰えを知りません。暇を見つけては研究や試行を繰り返し、「昨日よりも今日が美味しい」に取り組みます。「失敗が新たな発見に繋がるのも料理の面白さ。基本を押さえつつ、日々進化していきたいですね。『庄』を受け継ぐ店ですが、私は『河庄』よりさらに上を目指してます(笑)」

たつ庄

その集大成である夜のおまかせは、前半に刺身・吸い物・からすみ・焼物、後半に寿司10貫・卵・デザートのラインアップで提供。
まず印象的なのが、2週間かけて仕込んだ自家製のからすみです。サクッとした食感の中に凛々しい塩味をはらむ名物で、まろやかな余韻が秀逸! 右に添えた富山産の白海老とともに、酒好きな僕の魂に火をつける憎い一品でした。

たつ庄

この日の焼物は、天然白甘鯛の若狭焼。五島で捕れた2kg超えの極上素材です。若狭地(酒・醤油などで作る出汁)の塩梅の良さはもちろん、たっぷり乗った脂のうまさも感動もの。周囲にオゼイユを添え、その脂をさっぱり食べさせる目配りも気が利いています。

たつ庄
たつ庄

後半の寿司は八戸のマグロでスタート。2週間寝かせて理想的なとろみを醸成した中トロでした。赤酢と塩だけを用い、ほどよく酸を立たせたシャリとの相性も申し分なく、気づけばカウンターの客全員に満面の笑みが……。これぞ寿司屋でしか見られぬ幸せな一瞬でしょう。
食べ終えた後も香ばしさが残るハガツオの出来もお見事。塩叩きした後に一度冷凍し、解凍したネタをフライパンの中で燻したものだとか。「直接藁にくべないのは、ホンガツオほど脂が乗らないハガツオには最適の方法だからです」と立石さん。見た目にこそ現れませんが、こうした細やかな技や知識を散りばめることで、「たつ庄」の握りは確かな高みに向かうのです。

たつ庄
たつ庄

このコハダもそんな技が凝縮した名品。コハダは3日寝かせて皮目や骨を柔らかくし、2時間水に晒して血抜きをした後に軽く酢締め。さらに柑橘で締めることで、臭みのない上品な味を生むのだとか。「少しでも美味しくなるなら」と、どんな手間も厭わない立石さんの情熱を感じる握りです。
また軽く塩揉みした豊前産の赤貝は、良質な繊維質の集合体。口中でサクッ!と快音を奏でる歯触りが、最高クラスの鮮度を物語っています。

たつ庄

いずれも感嘆やまぬ寿司揃いですが、その風味をより際立たせるのがこの立派なワサビです。伊豆天城産の7年もので、三つ星店でも入手できない「超」の付く希少品だそう。「ワサビをアテに呑みたい!」とさえ思った高級な辛味は、自慢の魚介にも劣らない「たつ庄」の立役者です。

たつ庄

たっぷり空気を含んだような、対馬産穴子のトロフワ感も忘れ難いものでした。柔らかい甘さのツメも印象的で、ここの特徴である「優しい寿司」を体現する一貫だと思います。
大将の滑らかな所作から生まれる握りは、どれも口に入れやすい流線型。絶品のシャリとネタとがほろっと解け、いつの間にか口から消える軽やかな味わいです。「それが私の理想の寿司ですね」と微笑む立石さん。そのために数ccの水にこだわって米を炊き、魚種ごとに時間を変えながら塩水で下処理をし……といった地道な(そして極めてプロフェッショナルな)仕事に打ち込みます。ふと壁に目をやると、父親に書いてもらったという「一意専心」の額装が。その4文字を背負い、溌剌とつけ場に臨む立石さんの姿はどこか眩しく見えました。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名

たつ庄(店舗写真

ジャンル

  • 寿司

住所

福岡市中央区高砂1-19-28 エスポワール渡辺通南1F

電話番号

092-522-3390(前日までに要予約)

営業時間

11:30~OS12:30/18:00~OS19:00

定休日

日祝日

席数

  • カウンター8席

個室

なし

メニュー

昼の寿司コース11,000円、お刺身コース22,000円、夜のおまかせコース33,000円

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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