週末は昼飲みOK。人気餃子店の味が楽しめる酒場でリラックス！

自転車で前を通るたび、ずっと気になってました。どこか昭和レトロが薫る、中央区黒門の「餃子ストア」のことが。年季の入ったアパート１階の窓を覗くと、中にはいつも楽しげな客たちの姿。その光景と店名から察するに、どうやら餃子が主役の大衆酒場のようです。

明治通りの「唐人町西」信号を六本松方面に折れ、提灯と豚のオブジェが目印の店を訪れました。空は明るく、時計を針はまだ昼12時。来るのがちょっと早すぎ？──というわけじゃなく、実はこの酒場、土・日・祝はランチ営業を行っているのです。久々の昼飲みで、ついついこちらもテンション上昇！

そのドアの向こうには、期待どおりの光景が広がっていました。全景を撮影できないほど手狭な小バコですが、古い木材の質感や、微笑ましい手書きのビラなどが生む温かみが魅惑的。古民家風の僕好みな素朴さは、疲れた心に響く一服の清涼剤です。

そんな小バコならではの熱気も楽しい店ですが、１階の奥には低い壁で仕切られたテーブル席、２階には最大10名収容の個室もありました。
さてメニューを開くと、餃子はもちろん一品料理もなかなかのバリエーション。締めの麺や飯物、自家製デザートまでしっかり期待できそうです。

それではいよいよ餃子を実食。まずは定番「美豚焼き餃子」（６個462円）で、長さ約８cmと結構な重量感。餡の具材は糸島産「竹原さんちの美豚」、キャベツ、玉ねぎ、ニラで、ニンニクは入っていません。
粗めに挽いた豚肉は歯応えが良く、環境・血統にこだわる銘柄豚だけにえぐみもゼロ。餡の中の甘みも美味しさを引き立てており、その正体は甘く煮込んだ美豚のアキレスでした。「甘さと塩味のバランスがちょうどいいので、最初は酢醤油ではなく天然塩で召しあがって下さいね」と店長の福留直樹さんが言い添えます。

次の餃子はピリッと辛い「麻辣水餃子」（６個638円）。ラー油や自家製の辛味を混ぜたポン酢ベースのタレでいただきます。山椒の効いた本格派の辛さですが、これも餡の“アキレス効果”でほんのり甘い余韻が良い感じ。

焼き餃子より丸みがあり、茹でる時に皮が開かないよう工夫された包み方がユニーク。普通の水餃子も頼みましたが、辛党の僕にはこっちが好みでした。餃子はほかに「月替わり」があり、トマト餃子や鶏餃子などのオリジナルが出るのだそう。

しかしここの餃子、前にもどこかで食べたような……？　すると「本店は西区の『姪浜 門際飯荘』なんです」と福留さん。なるほど！　さすが西の人気店、うまさに芯の通った貫禄があるわけです。

口をさっぱりさせたくなり、次に頼んだのは糸島野菜を多用したサラダ。定番人気は「美豚しゃぶロース糸島サラダ」(979円）ですが、今回は２〜５月の季節限定「持田農園直送！トマトサラダ」（913円）にしました。
フルーツのように甘いトマトに加え、シャーベット状の冷凍トマトを散らすのがポイント。クールでシャリッとした、家庭でも真似したい秀逸なトッピングです。

口の中をリセットをしたら、今度はガッツリ系の「骨付きスペアリブ 香草焼き」（869円）。自家調合のスパイスにリブを２日間漬け込み、エスニックな風味で焼きあげたボリューミーな一品です。「これは最近メニューに加えたもの。お客様を飽きさせないよう、常に新しい料理を考案しています」。
そんなサービス精神や遊び心は、月曜のみ男性限定で生ビール半額になる「おっさんの日」や、子どもが勝つとソフトドリンク無料の「ジャンケン」などにも窺えます。「餃子ストア」に漂う温かみの源は、このアナログな手作り感かもしれません。「どの街にもこんな店が一つあるといいなぁ」。そう思わせる憩いのひとときでした。