名店「田中田」が手がける、博多うどんの新店舗が今泉に！

うどんの聖地＝福岡に、またも頼もしき店が現れました。それが今年７月８日にオープンした「博多うどん 忠兵衛」です。「博多 田中田」「わっぱ定食堂」「魚忠」などを手がける株式会社タナカダイニングが経営元で、うどん開発協力が「二○加屋長介」というタッグにも興味津々。和食の名店と超人気うどん居酒屋のコラボは、福岡のうどん界にどんな一石を投じるのでしょう？

場所は今泉公園向かいのビル１階。玄関はやや奥まっていますが、大きな暖簾があるのですぐ見つかりました。「忠兵衛」のコンセプトは＜大人がゆったり楽しめるうどん店＞。シンプルかつ端正な外観にも、そんな想いがほんのり漂います。

和風モダンな内装も、同じく落ち着いたトーンでまとまっています。天井が高く、カウンター・テーブルとも席間に余裕があるのも、くつろいで過ごせるポイントでしょう。
「こんなうどん屋を出すのが、社長の長年の夢だったそうです」と言うのは店長の熊本達行さん。理想のうどんを作るため、「長介」の店主・玉置康雄さんに“指南役”を依頼しましたが、これは以前玉置さんが「田中田」系列の「わっぱ定食堂」で店長をしていたご縁から。玉置さんも「ご恩返しに」と二つ返事で快諾したそうですよ。

メニューを見ると、うどんだけで約40種という充実ぶり。セットメニューに丼もの、巻き寿司まであるラインナップです。
主役のうどん麺には九州産小麦を100％使用し、打ったあと８時間寝かせて熟成させます。暖簾にもあるように、こちらの麺の特徴は＜やわ、もち、つる＞。その自慢の歯触りは、うどん屋では珍しく圧力釜を使うことで生まれるとか。「茹で時間が３〜４分と短いため表面がツルッと仕上がり、水分もあまり逃げないのでモッチリ感が際立ちます。博多うどんらしい、優しい柔らかさを楽しんでほしいですね」と熊本さんが教えてくれました。

その醍醐味を、まずは「かしわごぼう天うどん」（890円）で確かめました。なるほど、表面を美しく磨いたようなうどんは、艶っぽい食感とともにスルッと胃に落ちてゆきます。博多うどんには珍しい平麺寄りの形状も、食感に独特の変化と個性を与えていました。
また、淡い味わいから上質な旨味が立ち昇る出汁も絶品。その品格ある余韻は、昆布・イリコ・鯖節・鯵節・鰹節・ウルメイワシで丹念に仕込むことで生まれるそうです。

続く「スペシャルとり天MIX」（890円）はあまりのボリュームに圧倒されました。ごぼう天・ナス素揚げ・ちくわ天・タマネギ天などをたっぷり乗せながら、1,000円以内を実現したコスパ感はアッパレ！　現在人気１位を独走中というのも頷けます。
それに、１杯目のごぼう天もそうでしたが、サクッと揚がった天ぷらのうまいこと。調理全般の精度の高さに、信頼の“田中田クオリティ”を感じる人も多いでしょう。15時からはおつまみメニューが増えるので、それをアテに「まず１杯」はいかが？

食べ応えの点では、この「カツカレーうどん」（1,280円）もインパクト二重丸の一杯でした。まぜそば風に絡めたルウは、辛さ控えめながらスパイスの存在感十分。片栗粉とうどん出汁を加えた、まろやかな味には一種の包容力さえ感じます。ミニご飯も付いて、カレー丼で締められるのも「２度美味しい」んですよね。
しかも、これまた具材のカツが見事です。厚さ約２cmの国産豚肉はていねいにスジ取りがしてあり食べやすく、ザクッ！と超クリスピーな衣にも噛む楽しさが溢れていました。

このように、料理に対する真摯な姿勢はさすが「田中田」仕込み。博多うどんの新たな旗手＝「忠兵衛」の今後の躍進が楽しみです。