週2日、23時〜深夜3時のみ営業。貝出汁ラーメンの味ともに“深すぎる”新店

公開日

ライター上村敏行

カメラマン上村敏行

こんきち家「特製ラーメン」

榎田

ラーメン こンきち家

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昨今、博多ラーメンもジャンルレスとなり食べ手の選べる幅が広がっているのは周知の事実。加えて、間借り営業や完全予約制、二毛作ラーメンなど、味わいだけでなく“営業スタイル”も多様化しているように感じます。
今年4月にオープンした「ラーメン こンきち家」は月・木曜の週2日、なんと“23時〜翌3時のみの超深夜営業”で、メニューは“貝出汁ラーメン”一本。中洲などの飲み屋街にあるなら、この深すぎる時間帯もまだ納得できますが、場所は榎田の工場が立ち並ぶ一角。夜はほとんど人がいない裏通りにあります。 営業時間、立地、メニューとも、なんと攻めた業態か! 早速、非日常の深夜ラーメンを体感してきました。

こんきち家外観(夜)
こんきち家看板

営業日の月曜、オープンと同時の23時を狙って訪問。福岡空港にも近く、大通りは夜も多く車が行き交う榎田エリアですが、一本入ったこの界隈はシーンと静かで街頭も少なめ。
その暗闇の中でぽわりと浮かび上がるログハウスが「ラーメンこンきち家」。隣に駐車場も備えています。

「ぐらんまま」外観(昼)

実はこの建物では昼間、20年以上の歴史がある食堂「ぐらんまま」が営業していて僕自身何度も利用したことがあります。オムライスやカツカレーなど“デカ盛り”の店として知られており、周辺で働くサラリーマンやトラックドライバーでランチタイムは大混雑。その昼の様子を知っているだけに、ガラリと変わった夜の怪しさが逆に心を躍らせてくれます。

こんきち家内観

入店すると、店内も淡い照明。テーブル席もありますが、夜のラーメンは店主1人での営業につき、カウンターのみを開放しているようです。メニューはデフォの「貝出汁ラーメン」(1,100円)と、具材がスペシャルになった「特製ラーメン」(1,500円)の二択。せっかくなので後者をオーダーしました。
漢字で「貝」と書かれたTシャツを着たこの店主。僕自身、昼営業の「ぐらんまま」でもお話ししたことのある方だったので、ラーメンを作ってもらいながら改めて“昼夜で異なる顔”について聞きました。お名前は古澤吉優さん。「こンきち家」の屋号の由来でもあります。
「『ぐらんまま』は、隣にあった土木工事会社の社食も兼ねた“盛りのいい”食堂として2001年にスタートし、先代の叔母から昨年継ぎました。僕自身思い出が詰まった店の灯を消したくなかったですから。事業継承から丸1年が立ち、食堂がスムーズに動き出したので何か新しいことを始めたいなと。そこで真っ先に思いついたのが大好きなラーメンです」と古澤さん。

こんきち家店主

出てきた「特製ラーメン」は注文後に包んでくれた海老ワンタンや鶏チャーシュー、煮卵、分厚いメンマ入り。別皿で有明海苔も添えられています。ハマグリ、アサリ、シジミ、牡蠣、ホタテなどのエキスを詰めた黄金色のスープは、貝がガツンと強く主張するわけではありませんが、丸みのある塩気と共に幾重にも旨味が広がる上品繊細系。仕上げの振り柚子の爽やかな香りも鼻に抜けます。動物系素材は「天草大王」の鶏油、鶏チャーシューのみで、スープは貝類と野菜ダシで仕上げてある正真正銘の非豚骨です。

こんきち家麺

また、この系統のラーメンは緩やかなウェーブの縮れ麺を合わせてあることが多いのですが、こちらはしっかりと太さのある「製麺屋 慶史」謹製のストレート麺。スープに溶かした有明海苔がねっとり絡んできます。

こんきち家「特製ラーメン」

シメの「お茶漬けセット」(400円)で最後の一滴まで堪能した後に、古澤さんにさらなる質問。「なぜ23時〜翌3時という深すぎる時間?」「そもそもなぜ貝出汁?」

「僕は運送会社も経営しています。もとより深夜の時間帯にオフィスで配送の手配などの業務をするのが日常でした。それなら、自身が調整しやすい月曜と木曜の23時〜翌3時に既存の『ぐらんまま』を活かして新しい商売ができるなと思ったんです。昼の営業が11時〜15時ですから、そのまま夜中バージョンの時間にあえてしてみました。また、貝出汁ラーメンに行き着いた理由としては、仕事で全国を飛び回る中で、関西で食べた同系のラーメンに感銘を受けたのがきっかけです。福岡では珍しい味わいだし、『ぐらんまま』の厨房設備を活用できることも大きかったですね。オープンまで店にこもって研究を重ねました」と古澤さんが教えてくれました。

23時〜翌3時の営業で貝出汁ラーメンとなると、やはり飲んだシメ、もしくは夜食に、という利用目的となりますが、場所は中心部から離れ、決してアクセスが良いわけではありません。その不便さや穴場感も含め、コアなラーメンファンが“語りたくなるディープスポット”となりえる印象を受けました。

貝出汁ラーメンは同店のほか、「麺屋 優光」(今泉)、「博多貝だしらぁめん 四季彩」(高砂)など、さらなる新店もありにわかに盛り上がっているジャンルです。非豚骨派はもちろん、普段豚骨一本の方にもぜひ試してもらいたいですね。

店舗名

ラーメン こンきち家(店舗写真

ジャンル

  • ラーメン

住所

福岡市博多区榎田2-1-7

電話番号

092-483-3265

営業時間

月・木曜の23:00〜OS翌2:30

定休日

火・水・金・土・日(日曜は不定期で営業の場合あり)

席数

  • カウンター6席

個室

なし

メニュー

貝出汁ラーメン1,100円、特製ラーメン(海老ワンタン、海苔入り)1,500円、麺大盛り200円、お茶漬けセット400円

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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