秘密の202号室。ペアリングワインで魔法をかける、アシェットデセール専門店

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最終更新日

ライター森絵里花

カメラマン森絵里花

薬院 Ni to Ni アシェットデセール

薬院

Ni to Ni

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「もうすぐ、近くにアシェットデセールの専門店ができるそうですよ」。
大好きな薬院のカフェ「 it( )te 」でそんな素敵な情報を聞いてしまったら、居ても立ってもいられません。フランス語でアシェットは皿、デセールはデザートを意味し、「アシェットデセール」とは出来たてをその場で味わうデザートプレートのこと。私、これに目がないんです。

薬院 Ni to Ni 入口
薬院 Ni to Ni 外観

5月31日にオープンしたお店の名前は「Ni to Ni」。「郵便番号は810-0022で、薬院2丁目2の2、薬院ビル202号にあるから」というのがその由来だそうですが、わかりやすい住所と名前に反して入口はちょっぴり隠れているのでご注意を。築50年という薬院ビルの1階にある看板を見逃さないよう階段を上り、薄紫色の扉を目指します。

薬院 Ni to Ni 店内

「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれたのは、シェフパティシエの三小田翔さん。カウンター5席、テーブル8席を据えた店内には甘い香りが漂い、レトロビルならではの柔らかな情趣に満ちています。三小田さんは「ホテル日航福岡」やフランス菓子店「ブルーフォンセ」でパティシエの修業を積み、「REC COFFEE」のスイーツも手掛けていた実力派。2022年ごろからは「bound」(西新)などのカフェバーで、パフェやアシェットデセールとお酒のペアリングイベントを定期的に開催してきました。

薬院 Ni to Ni ワイン

「Ni to Ni」では、そんな三小田さんが作るアシェットデセール1品とドリンク1杯を組み合わせた「ペアリングセット」(2,200円〜)を楽しむことができます。4、5種類を揃えるデセールの内容は季節によって変化し、合わせるドリンクはシャンパーニュやワイン、コーヒー、ハーブティーなど多彩に用意。ワインは「とどろき酒店」や大名の「oenocollage(エノコラージュ)」のソムリエと相談しながら、それぞれのデセールに合わせて相性が良いもの、ふさわしいものを選んでいるそうです。

薬院 Ni to Ni アシェットデセール

さぁ、早速ペアリングセットをいただきましょう。デセールはショコラテリーヌを主役にした「ガトーショコラ “Ni to Ni”」を。ドリンクには、ラズベリーのような果実味が広がる南仏・ラングドックの赤ワイン「PETIT SAUVAGE!(プティ ソヴァージュ)」(+300円)を選びました。
ショコラテリーヌには乳製品を一切使用せず、「PETIT SAUVAGE!」を乳化させて加えているそうなのですが……一口食べてびっくり。なんて綺麗な味わいなの〜! 芳醇な香りと酸味が滑らかにとろけ、濃厚なのに後口は軽やか。添えられたアマゾンカカオのアイスクリーム、ブラックペッパーやクローブがほのかに香る赤ワインのソース、至極軽やかに仕上げたメレンゲも巧みです。赤ワインとの相性は言うまでもなく極上で、うっとりとした余韻がいつまでも続きました。

薬院 Ni to Ni パフェ

ペアリングセットのデセールには三小田さんが得意とするパフェもあり、せっかくなのでこちらもいただくことに。この日のパフェは、アマレットを纏わせた鹿児島産のアールスメロンを贅沢に使った「アマレットとメロン フレッシュハーブのパフェ」(+900円)でした。グラスの中には特製のヨーグルトアイス、ライチのブランマンジェ、オーデコロンミントやコアントローが香る2種類のジュレ、ハーブのメレンゲなどが重ねられています。そのままでも十分に美味ですが、シャンパーニュ(+600円)やアルザスの白ワイン(+300円)を合わせると、ますますアロマティックに! フレッシュハーブの青い香りや果実の蜜っぽさ、ワインの花っぽさが輝きを増し、まるで魔法にかけられたかのように心地良さが幾重にも膨らんでいきます。

薬院 Ni to Ni 店主

実は3児のパパだという三小田さんは、自身の思いやこだわりをこう話します。
「自分の子供にも食べさせたいと思える、オーガニックをはじめとした体にやさしい素材を使ってお菓子作りがしたい。そう考えたのが独立を目指したきっかけです。ペアリングイベントやワインの勉強を進めていく中で、果物やハーブの生産者、バリスタ、菓子職人といったたくさんの食のプロに出会い、表現の幅や世界観はますます広がりました。『Ni to Ni』では、食に深く向き合う機会や体験価値を届けたいと考えています。目の前で仕上げるライブ感や出来たての香り、食感、ペアリングによって広がる味わいでお客様を驚かせたいですね。様々な方とコラボしたデセールイベントも定期的に開催していくので、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです」。

薬院 Ni to Ni 焼き菓子

八女市「田中製粉」から仕入れる石臼挽きの有機小麦粉、大牟田市「オーム乳業」の牛乳やピュアクリーム、嘉穂郡「ノガミファーム」から届くオーガニックフレッシュハーブなどなど。デセールや焼き菓子に使うこだわりの素材は、挙げればキリがないほどです。ペパーミントとジンジャーが香るマドレーヌといった、カウンターの端に並ぶ焼き菓子はテイクアウトもできますよ。

素材とドリンクを巧みに操り、香り、味わい、余韻にまで魔法をかけてくれる「Ni to Ni」のアシェットデセール。教えたいけど秘密にしたい、そんなお店がまた一つ増えました。週末や日中は混み合うこともあるため、インスタグラムのDMから予約をして出かけるのがおすすめです。ちなみにお店のロゴは息子さんの手描きだそうで、店内に飾られたイラストにもほっこりしました。

店舗名

Ni to Ni(店舗写真

ジャンル

  • スイーツ
  • バー
  • カフェ

住所

福岡市中央区薬院2-2-2 薬院ビル202号室

電話番号

なし

営業時間

13:00〜0S21:30(焼き菓子の販売は12:30〜)

定休日

月・火曜、ほか不定休あり

席数

  • カウンター5席
  • テーブル8席

個室

なし

メニュー

ペアリングセット(アシェットデセール1品+ドリンク1杯)2,200円〜、アマゾンカカオのシュトレン600円、チーズ3種と焼き菓子の盛り合わせ1,600円、マドレーヌ300円、グラスワイン900円〜

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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