通いたくなる居心地抜群の小バコ【9】

まるで魔法のよう。カウンターのみの小バコで堪能するイタリアンのフルコース

公開日

ライター木下貴子

カメラマン木下貴子

アメリアアイキャッチ

清川

cucina italiana Amelia(アメリア)

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裏路地にあり、ビル地下にあり、さらにカウンター10席のみの小バコ。前情報なく「アメリア」を初めて訪れる人は、誰もがかなり驚くことでしょう。まさかこんな小さな隠れ家的なお店で本格イタリアンのフルコースがいただけるなんて、想像に及びませんから。

アメリア内観

「アメリア」は、中洲のワインバー「ジェリーピーンズ」でシェフを10年間務めていた冨嶋将之さんが独立し、清川にて2017年に開業しました。おまかせコースを主軸にアラカルトやミッドナイトランチなども提供し午前4時まで営業していましたが、コロナ禍を経験したことにより「営業スタイルも料理の内容も、改めて見つめ直しました」と冨嶋シェフ。昨年の2023年から23時ごろまでの営業に変え、メニューもおまかせコースに絞られました。

もともと「ジェリービーンズ」で鍛えられた経験をもとにイタリアンをベースにオリジナル料理を探求していた冨嶋シェフ。そのうえで「お客様にもっと楽しんでもらえるよう、さらに踏み込んだ工夫が必要だと考えました」と月替わりでコースにテーマを設け、常に新しい料理を考案するよう自分に課しているようです。

コースは8,800円と11,000円の2種類あり、いずれもスターター3〜4品、前菜3品、パスタ、魚料理、肉料理、デザートのフルコースで提供されます。今日は8,800円の方を注文。8月ということで、テーマは「夏の海鮮フェア」でした。

アメリア冷前菜ウニのフラン

こちらは、冷前菜の「ウニのフラン」です。冨嶋シェフのスペシャリティで、一年を通してだいたいコースに組まれています(ウニでない時期もあり)。フランの上にビーフブイヨンのジュレを重ねてあり、ウニとビーフの旨味の二重奏。この一品だけで、お酒が軽く2杯は進みそうなほど濃密で深い味わいです。

アメリア温前菜カニのテリーヌ

こちらは温前菜の「ズワイガニのテリーヌのソテー」です。殻付きカニの身をほぐしてテリーヌに仕上げてソテーし、その上にボイルしたカニ身とエディブルフラワーが美しく盛られています。まるでブーケのような愛らしさで食べ崩すのがもったいないほどですが、食欲には勝てず冷めないうちにいただきます。
カリッと香ばしく焼き上げたテリーヌ、素材そのものを味わうカニ身、さらにカニの殻を使った風味豊かなアメリケーヌソース……今度はカニのおいしさの三重奏によって口福感が満たされます。このようなオリジナル性の高い料理をどのように考案しているのか尋ねてみると、「だいたい食材を見ていて思いつきます。この料理は市場でカニを見て、カニって焼くとおいしいよなって思ったのがきっかけでした」と冨嶋シェフ。

アメリア温野菜魚の竹炭パン粉

次に出てきたこちらも温前菜ですが……一体なんでしょう? 石ころのような物体に植物のようなものが絡まり、料理というよりもアート作品のように見えます。

アメリア温野菜魚の竹炭パン粉

その正体は「サワラとゴボウの竹炭パン粉焼き」でした。ゴボウのムースとサワラの身を竹炭パン粉で包んで焼き上げたもので、薄くスライスしたゴボウチップで飾られ、ゴボウのソースが添えられています。また、周りには焦がし魚粉も散りばめられていました。
サワラの身はふわっとして優しい味わい。そこに、ゴボウの強い風味と魚粉の香ばしさがいい塩梅で交わっていきます。面白いのが食材は多用せず、テクニックによって食材のもち味を何パターンも引き出しているところ。これも冨嶋シェフのスタイルと言えます。

アメリア パスタ

そして、こちらは「タコのラグー トマトパスタ」です。タコの風味が生きているとはいえ、かなり濃厚な旨味です。聞くと、白ワインもたっぷり入れたうえでソースをじっくり煮詰めているそう。「基本的に塩は極力使いません。食材にじっくり火を入れて凝縮し、そこから生まれる味を大切にしています」と冨嶋シェフ。

パスタの後にメインの魚、肉、デザートまで続き、かなりのボリュームになりますが、お腹の具合によって量を調整してくれるのでそこはご安心を。なんでも、最年長の常連さんで93歳の女性も、一皿の量は減らすものの毎回コースを完食されるそう。小バコならではの距離感と気遣いもありがたいところです。

なお、「アメリア」は基本的におまかせコースのお店ですが、20時以降は「深夜食堂」のように食べたい料理をリクエストするスタイルで、アラカルト注文もできます。ですが、コースでの驚きと感動の体験はやはり別格。テーマで七変化する料理を楽しみに、何度も通いたくなるはずです。ちなみに9月のテーマは「ヨーロッパのキノコフェア」とのこと。あぁ、もう早くも次なる誘惑が……。

店舗名

cucina italiana Amelia(アメリア)(店舗写真

ジャンル

  • イタリア料理

住所

福岡市中央区清川2-11-33中西ビルⅡ B1F

電話番号

092-531-7280(要事前予約)

営業時間

17:00〜23:00頃(予約状況により変動)

定休日

月曜

席数

  • カウンター10席

個室

なし

メニュー

おまかせコース8,800円・11,000円、ワイン3杯セット3,850円、ワイン5杯セット6,050円 ※20:00以降よりアラカルト対応可、メニューはお尋ねください

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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