「冷やし中華、始めました」。
これほど夏の到来を知らせる風物詩として、心を躍らせるノボリが他にあるでしょうか。
僕は冷やし中華が大好きで、それも赤・黄・緑の三色に彩られた、クラシックなスタイルに限ります。基本的に食べものに関しては、「〜でなくてはならない」「〜であるべき」という立場はとらないのですが、こと「冷やし中華」については、原理主義者です。中華麺にハム(またはチャーシュー)、錦糸卵、キュウリの三大具材をあしらい、甘酸っぱいタレをかけたものこそ「冷やし中華」(冷麺)であると。
僕が如何にして「冷やし中華」を愛するようになったかというと、学生の頃「全日本冷やし中華愛好会」(全冷中)を知ったのがきっかけでした。ジャズピアニストの山下洋輔、SF作家の筒井康隆、タモリといった当世一流の文化人たちが、大真面に「冷やし中華」について議論するパロディ精神に感化されたのです。
ところが、今や僕の愛する「冷やし中華」は、街場のラーメン屋や中華料理店、食堂から姿を消しつつある絶滅危惧メニューとなっています。この嘆かわしい状況を憂い、酷暑といわれる令和7年夏に食べるべき「冷やし中華」3選をご紹介します。
先代の味を守り続ける町中華の名店

平和の住宅街にある「中国飯店」は、まさに”町中華”の王道を往く店。創業50年を超える老舗の味を守る2代目店主・玉田剛さんが作る料理はどれも絶品で、しかもリーズナブル。高級店顔負けのクオリティの高さで、僕が全幅の信頼を寄せている店の一つです。

創業当時から夏の限定メニューとして提供している「冷麺」(979円)は、半世紀以上変わらない味。特筆すべきは、錦糸卵、キュウリとともに添えられている若鶏のモモ煮で、先代が「冷麺」の具材用に考案したレシピだそうです。「鶏だけでも食べたい」と常連客から評判になり、現在では単品メニュー(1,155円)に昇格しています。
添えられてくるレンゲで、鶏ガラをベースに甘酸っぱく味付けしたスープまで飲み干せば、なんとか猛暑を乗り越えられそうな気がします。
東京で修業した店主による珍しい塩冷やし中華

2023年12月のオープン以来、「塩ラーメン」を看板メニューにする”非トンコツ系ラーメン”店として、着実にファンを集めている「あんゆう亭」。最近は冷たいスープを張った「冷やしラーメン」を提供する店が多い中、「僕は冷やし中華の方が好きなんです」と、店主の安田雄一さん。嬉しいことに、昨年から夏季限定メニューとして「塩冷やし中華」(980円)を食べさせてくれます。

自家製の麺には、主に福岡県産100%の小麦粉「ミナミノチカラ」を使用。ラーメンより若干長く茹でた後にすぐさま冷水で締めることで、粉の風味を損なわずに弾力感のある歯応えを出しています。東京で修業した「塩ラーメン」の塩ダレをベースに、カボス果汁とキビ砂糖を加えたタレはサッパリまろやかな味わい。トッピングされた水菜とミョウガがさらに清涼感を強調し、暑い日にこそ食べたくなる一杯です。
居酒屋使いもできる大衆食堂の冷やし中華でちょい呑み

そして、僕が愛してやまない「冷やし中華」のイメージにもっとも近い一杯を提供しているのが、高砂にある「大衆食堂 うっちゃり」です。ここは昼夜ともに約20種類の定食が食べられる”ザ・大衆食堂”ですが、夏場には「冷やし担々麺」や「もりそば」といった冷たい麺類も提供しており、その一つが「冷やし中華」(800円)です。

かん水が効いたツルツルの中華麺に、キュウリ、錦糸卵、ハムの三大具材をのせた一杯は、僕が高校の学食でよく食べていた冷麺を思い出させてくれる懐かしい味。その当時は思いもしませんでしたが、この具材がビールによく合うんですね。そう、冷やし中華はビールによく合います。大事なことなので、2回言いました。
居酒屋使いもできる食堂で「ちょい呑みセット」(1,100円)なども用意されているので、暑い1日の終わりにビールやハイボール、レモンサワーでクールダウンするのも最高です。
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店舗名
中国飯店(店舗写真)
ジャンル
- 中華料理
住所
福岡市中央区平和5-9-23
電話番号
営業時間
11:00〜OS14:00/17:00〜OS22:00
定休日
木曜、第3水曜
席数
- カウンター4席
- テーブル8席
メニュー
醤油ラーメン660円、ちゃんぽん869円、冷麺979円、五目汁そば1,045円、辛肉味噌天津飯979円、ギョーザ(5個)385円、酢豚1,540円、ランチ1,100円〜
喫煙について
店舗名
らーめん あんゆう亭(店舗写真)
ジャンル
- ラーメン
住所
福岡市東区箱崎1-12-14
電話番号
なし
営業時間
11:00〜OS14:30/17:30〜OS20:30(日祝日は11:00〜OS17:00)
定休日
水曜、第2・4火曜
席数
- カウンター4席
- テーブル8席
個室
なし
メニュー
塩らーめん880円、チャーシュー塩らーめん1080円、汁なし担々麺880円、トッピング50円〜、チャーシューごはん350円
喫煙について
店舗名
大衆食堂 うっちゃり(店舗写真)
ジャンル
- 定食・食堂
住所
福岡市中央区高砂2-12-10
電話番号
営業時間
11:00〜OS15:00/17:00〜OS21:00
定休日
なし
席数
- テーブル26席
個室
なし
メニュー
唐揚げ定食(3個)650円、チキン南蛮定食(3個)750円、鉄板ナポリタン780円、しょうが焼き定食800円、手作りハンバーグ定食900円、焼肉鉄板定食980円、ちょい呑みセット1,100円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
記事に関する諸注意
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