グランドメゾン presents 「ハレの日レストラン」【第78回】
あの「とり田」が西中洲に新店舗を開業。風流な空気の中で味わう、2つの絶品鍋

ラーメン、焼鳥、もつ鍋などと並ぶ福岡名物の一つ、水炊き。このソウルフードを扱う老舗や専門店は多々ありますが、2012年、黄金色の丸鶏スープを特徴とした「博多水炊き とり田」の登場は特に衝撃的でした。
その後も「とり田 博多総本店」に続き、「博多鶏そば TORIDEN」「博多シーフードうお田」とジャンルを超えて展開中。今や信頼のグルメブランドに登り詰めた人気グループですが、今年5月には7店舗目となる「とり田 別誂(べつあつらえ)」を新規オープン。さて、今度はどんな美味体験を披露してくれるのでしょう?

目的地は、名店・実力店が集まる西中洲。石畳を歩いていくと、やがて古風な趣の玄関が見えました。暖簾と行燈には「とり田」ファンにはお馴染みの鶏のロゴマークがあり、“無事到着”を教えてくれます。
ここは以前「とき宗」という老舗割烹があった場所。その大将が36年間大事に使った店を「とり田」が受け継ぎ、新たな歴史を踏み出したそうです。

扉を開けるや、着物姿の女将に個室へ案内されました。屋内の空気は穏やかで、京都の町家にも通じるような心落ち着く雰囲気です。
「大切な人と特別な時間を過ごせるよう、一席一席をあつらえる“とり田”のおもてなしを──。ここはそんな想いで立ち上げた店なんです」と、淑やかな笑みを向けるのは女将の本田舞さん。「旅館にいるような感覚でおくつろぎくださいね」
その舞台となる個室は、掘りごたつ仕様を2部屋(2〜9名収容)、テーブル仕様の1部屋(6名収容)を完備。どちらも室料は不要です。

さて、ここのメニューは「水炊きコース」と「鶏のすき焼コース」の全2種類(各16,500円)。「とり田」の定番にアップデートを加えた水炊きも気になりますが、今宵はここでしか味わえないすき焼きを選びました。
いずれのコースも、1品目には八女市「星野製茶園」の玉露が振る舞われます。ゆっくり水出しすること5時間。最高の味わいを引き出した一煎目は、まるで極上の出汁の旨味の塊です。延々と続く柔らかな余韻も感動的で、一瞬にして「別誂」の世界観に引き込まれました。

梅のジュレなどを添えた養老豆腐の先付けに続き、3品目には丁寧な仕事を施したお造りが登場。この日は福岡産のタイ、カンパチ、長崎産のマグロを炒り酒と土佐醤油でいただきました。
そしていよいよ、主役のすき焼の準備が目の前で始まります。調理はスタッフにお任せなので、僕らはできたての熱々料理を待つだけです。
それでは調理スタート。まずは九条ねぎを鴨の脂で炒め、割下を鍋に投入。この時点で立ちこめる甘い香りがたまりません。割下が煮えたら鴨を軽く潜らせネギを巻き、温泉卵に付けてパクリ。
それは、言葉を失うような逸品でした。福岡県産の「はかた極味鴨」のレア&ジューシーな食感、たっぷりの出汁を使った割下、九条ねぎの風味が融合し、陶酔確実のスペシャリテに変貌するのです。
もちろん、これで珠玉の美味は終わりません。今度は同じ割下で、厳しく吟味した地鶏の胸肉とモモ肉を賞味。弾む歯応えが素晴らしく、事前に蕎麦粉をまぶすことで旨味もギュッと凝縮されています。
ちなみに、これを完食したら裏メニュー的な牛肉も追加OK(1人前1,500円〜)。地鶏と和牛の贅沢な食べ比べをぜひ!
続いて馬肉料理を1品挟み、素材の旨味が溶け出した割下を、旬の野菜で味わい尽くしました。これにも地鶏のふりそでが入っており、「鶏のすき焼」に奥行きある表情を与えています。
次に供された強肴(この日は生ハム、モッツァレラ、マッシュルームを巻いて揚げた穴子)も印象的な一品でした。

食事の〆は、炊き立てホカホカの土鍋ご飯。提供直前、客の前で強火でおこげを作り、お米に香ばしい香りをまとわせます。まずはふっくらした銀シャリを味わい、あとはお好みで特製そぼろをトッピング。このそぼろがまた秀逸で、鶏胸肉・モモ肉・砂肝・鶏皮を具にしたコク豊かな力作です。
なお「水炊きコース」の方の〆は、先ほどの玉露の茶葉を使った茶粥で、どちらの〆にするか迷う常連も多いとか。そんなときは複数で訪れ、両方のコースを頼んでシェアするのが正解でしょう。

ご飯が済んでしばらくすると、「こちらにどうぞ」と声がかかり、今度は店奥のカウンター席へ。「とき宗」時代の味わいが残る、温もり漂う空間です。21時からはバーとしても営業しており、バーのみの利用もできますよ。
ここで女将がたててくれる抹茶と甘味でコースは終了。素材の良さが際立つ料理、プライバシーが守られた憩いの個室、そして細やかなスタッフの気配りで、和みと潤いに満ちたひとときになりました。“天神の奥座敷”である西中洲の空気も後押しし、なるほど、これは確かに「別誂(※特別に注文して作らせたもの、という意)」の体現と言えそうです。
身も心も癒されて、外に出るといつもの街並み。非日常を離れる瞬間は常に切ないものですが、これは真夏の夜の、いや、西中洲の夜の夢。覚めてしまうのが惜しいから、また訪ねたくなるのでしょう。
この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。
類似の記事
店舗名
とり田 別誂(べつあつらえ)(店舗写真)
ジャンル
- 鍋
住所
福岡市中央区西中洲5-28 西中洲Mビル1F
電話番号
092-401-3092完全予約制
営業時間
17:00~OS21:00 ※BARは21:00~25:00
定休日
不定
席数
- カウンター6席
- テーブル6席
- 掘りごたつ8席
個室
2〜9名
メニュー
鶏のすき焼コース16,500円、水炊きコース16,500円 サービス料10% ※バーのみ利用の場合チャージ1,000円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
記事に関する諸注意
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
人気記事ランキング
- 24時間
- 1週間
- 1ヶ月