十人十色、福岡の餃子あれこれ【7】

カリッと焼いてジュワッと満たす。六本松を温かく包む、餃子自慢の町中華

公開日

ライター森絵里花

カメラマン森絵里花

六本松

鍛冶屋餃子(かじやぎょうざ)

  • x
  • LINE
  • お気に入りに登録する

餃子には無限の可能性とロマンが詰まっている、そう思いませんか? 皮の厚みや大きさ、餡のこだわり、焼き方も千差万別。作り手の数だけ想いがあり、人の数だけ“好きな味”がある――まさに十人十色、個性豊かな福岡の餃子を探訪します。

今回の目的地は、九大六本松キャンパス跡地・福岡地方裁判所の裏手にあたる“裏六本松エリア”。名店揃いのこの場所で、ひときわ強い個性を放つ「鍛冶屋餃子」を訪れました。外観からすでに只者ではない雰囲気が漂っているのですが……

店内はさらに個性爆発! 扉の先には80年代の香港映画を思わせるレトロポップな世界が広がっていました。壁面には古い麻雀牌が埋め込まれ、棚の上にはジャッキー・チェン主演映画のVHSがズラリ(トイレはもっとすごい!)。「食白懲嚴=食い逃げ禁止」や「店内禁止酔拳」といった店主お手製の看板など、思わずニヤリとしてしまうポイントが随所に散りばめられています。

“ふーみん”さん(写真右)は加治さんの同級生で、飲食歴約20年の実力派!

ジャッキー好きの店主・加治渓太郎さん(写真左)と妻の静香さん、今年春から協力助っ人として加入し店長を務める“ふーみん”さんこと伊東史訓さんが、笑顔で迎えてくれました。

「鍛冶屋餃子」は2020年11月22日(いい夫婦の日)に小笹で創業。当時はコロナ禍だったこともあり、テイクアウトの餃子専門店として営業を開始し、その味は瞬く間に評判に。2022年9月には現在の地に移転し、餃子と中華料理を楽しめる店へリニューアル。以来、昼は若者からご年配、親子連れまで集う「飯館(食堂)」、夜は仕事終わりの会社員や近隣の常連さんで賑わう「酒楼(酒場)」として愛されています。

まずはランチの定食メニューからご紹介しましょう。餃子7個セットの「餃子定食」(940円)でも十分満足できるのですが、さらにお腹いっぱい食べたいという方にはこの「満腹餃子定食」(1,250円・写真)がおすすめ。餃子14個に汁餃子2個、小鉢、ご飯、ザーサイが付き、なんとご飯の大盛りは無料! ご飯、取り皿、りんごジュースが付いた「小さなお子様用の取り分けセット(小学生2年生まで)」(300円)も用意されているので、小さなお子さん連れの方はシェアして楽しむこともできますよ。

加治さんは、熊本や福岡、大阪などにも店舗展開する人気中華料理店の出身で、静香さんとも同じ職場で知り合ったそう。互いに餃子が大好きで、2人で餃子を探求するようになり、やがて独立に至りました。10年以上磨いた中華料理の技を活かしながら、試行錯誤の末にたどり着いたのは、子どもから大人まで親しまれる“ご飯にも合う”「日本の焼き餃子」。いわゆる“博多のひと口餃子”よりもやや大きく、ひと口の食べ応えも満点です。

SPF豚やキャベツ、タマネギ、ニンニクといったこだわりの国産食材で作る餡は、肉の旨味と野菜の甘味のバランスが絶妙。特に野菜は1年を通して水分量や甘味のバランスが変わるため、季節ごとに産地や水分量、塩分のコントロールを行なっているそう。ジューシーなのに脂っこさやしつこさがなく、1つまた1つとお箸が止まらないおいしさです。

昼も夜も注文できる「焼餃子(単品)」(6個407円)。テイクアウトは冷凍「生餃子」(15個680円、水餃子10個680円)、「焼餃子」(15個710円)で販売

加えて、最初はテイクアウトからのスタートだったこともあり、“持ち帰ってもおいしい”という点にもこだわりが。やや薄めの皮は表面がパリッと歯切れ良く、冷めてもモチッとした食感が損なわれないのもポイント。「“お弁当に入れると家族みんなが喜ぶ”というお声も嬉しいです」と加治さんは笑顔で話します。

また一方で、水餃子は本場中国を思わせる本格的な味わいを追求しています。皮はもっちり弾力があり、2種類の粗さで挽いたSPF豚をベースに椎茸の出汁や紹興酒などでコクを出した餡は旨味たっぷり。口いっぱいにジュワッと溢れ出す肉汁がたまりません。

ランチタイムは定食を中心に、一部、昼飲みのお供にぴったりな単品メニューも提供。その後、平日は17時、土日は16時から本格的な中華酒場営業がスタートします。「よだれ鶏」や、低温調理レバーを特製のニラペーストで味わう「生レバニラ」にもそそられるものの……まずは絶対にハズせない逸品を注文。

昼は汁餃子2個、ご飯、胡麻団子が付いた「四川麻婆豆腐定食」(1,100円)も提供

自家製ラー油の香味がたまらない「四川麻婆豆腐」(902円)です。花山椒や五香粉の香りや辛味はしっかりあるものの、“行き過ぎない”、ギリギリのラインを攻めているところにグッときます。“花山椒が痺れすぎない”、“舌触りがザラザラしすぎない”ところが個人的にかなり好みで、これはご飯もお酒も進んでしまう〜。

続いて、新登場の「蝦吐司(シャートゥーシー)」(550円)もいただきました。香港の茶餐廳(チャーチャンテン)や夜市で親しまれている“海老パン”で、ビールやお酒との相性は抜群。サクッとしたパンの食感とプリプリの海老すり身の甘味と旨味が豊かに広がります。

ビール、サワー、ハイボール、紹興酒などアルコールも多彩で、イチオシは鹿児島「赤屋根製造所」が手掛けるクラフトスピリッツ「AKAYANE 山椒」のソーダ割り(814円)。無農薬山椒の爽やかな香りが中華によく合うんです。

嬉しいことに、入口すぐのスタンディングコーナーなら、瓶ビール以外のドリンクはすべて50円引きに! 餃子をアテにサクッと飲みたい、お得に飲みたいという時にふらりと立ち寄るのもいいですよ。

親しみやすくリーズナブルでありながら、料理は本格派。さらには香港レトロな空間でちょっぴり非日常も感じられるなんて、やっぱり「鍛冶屋餃子」、最高だな〜。なんと現在は近隣に“飲み”をメインにした2号店も計画中だそうで、これからも目が離せません!

店舗名

鍛冶屋餃子(かじやぎょうざ)(店舗写真

ジャンル

  • 中華料理
  • 餃子

住所

福岡市中央区六本松4-4-12

電話番号

092-791-4436

営業時間

11:30〜OS14:00/17:00〜OS21:30(日曜16:00〜OS20:30)

定休日

月曜、その他不定あり

席数

  • カウンター7席
  • テーブル8席
  • スタンディング2〜3名くらい

個室

なし

メニュー

餃子6個407円〜、手包み水餃子5個495円、汁餃子5個550円、牡蠣の香味辣油漬け748円、四川麻婆豆腐902円、【ランチ】餃子定食(餃子7個)940円、満腹餃子定食(餃子14個)1,250円

喫煙について

喫煙可能スペース有り/屋外
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。

記事に関する諸注意

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。

人気記事ランキング

  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
  • ワンタップでUMAGAにアクセス!
  • メルマガ会員募集