私、この店、大好きなんです【24】
平尾路地裏、家族で営む焼鳥の名店
公開日
ライター中村修治
カメラマン山田トモフミ
福岡市在住の食べることが大好きな50人が、自分が愛してやまない店について書いている書籍「私、この店、大好きなんです。 3」(聞平堂発行)からとっておきの1軒を転載しています。掲載している料理や店舗内容は、書籍掲載時のものです。
ハッキリ書くけど……パフォーマンス重視のお店やインスタ映え優先のチャラいメニューが好きじゃない。ケツがムズムズ。そそくさと帰ることにしている。ワタシが大好きなのは、取材のお願いをしたら「うちなんか何も特徴ないですからね〜」なんて言ってしまう謙虚な大将がいるお店である。
平尾駅近くの路地裏にこっそりある「焼きとりのこだま」は、まさに、そんなお店である。そっと暖簾をくぐって、目だけで合図してもらい独りカウンターに座る。いつものようにノンアルコールビールを頼むと、速攻で丁寧な仕事がされた3種盛りのお通しが出てくる。串はもちろん、サイドメニューも派手さはないのだが実にうまい。無駄口はない。ひたすら食べて、そぉーっと帰る。

男前な大将は、脱サラ組の現在47歳。5年間、長崎の有名焼鳥店で修業して40歳を機に福岡で独立。宮崎県の生産者さんから銘柄鶏「霧島鶏」を直接仕入れ、串のすべてがなんともジューシー。ワタシの舌が確かならば、焼きの腕が年々極まっている。特に「こだまのつくね」は絶品だ。
路地裏の名店で、もうひとつ伝えておきたい「ゆうこ母さんの今日のおばんざい」メニュー。ゆうこ母さんとは、大将の実母。鹿児島の大隅半島の家から片道5時間をかけて鹿児島市内の料理学校に毎日通ったのは55歳のとき。長男坊である大将が福岡で焼鳥店を始めるので2ヵ月だけ手伝ってと言われて早7年の月日が経った。大隅半島の郷土料理を礎としたおばんざいメニューは、美味いだけでなく心に沁みる。

40歳から独立開業した長男坊と55歳から料理学校に通った腕を試しはじめた76歳のゆうこ母さんのお店。裏じゃケンカは絶えないようだけど……。親孝行が中途半端なワタシには、その姿が目にも沁みる。
「こだまのつくね」と「ゆうこ母さんのおばんざい」を少しだけ残して、最後に、「塩おにぎり」を注文する。最高のマリアージュ。これが染み渡る〆。インスタ映えなど期待しちゃダメなのだ。
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店舗名
焼きとりのこだま(店舗写真)
ジャンル
- 焼鳥
住所
福岡市南区大楠2-19-4
電話番号
営業時間
17:00〜OS23:00
定休日
日曜
席数
- カウンター12席
- テーブル4席
- 掘りごたつ6席
個室
なし
メニュー
豚バラ220円、砂ズリ170円、ねぎま270円、手羽先210円、こだまの月見つくね330円、椎茸230円、にんにく丸焼き400円、しそ巻き200円、アスパラチーズ巻き250円、酢もつ380円、焼きおにぎり270円
※金額は税別
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
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