「今飲むべき」ブルゴーニュを、地下のワインダイニングで

世界に冠たるワイン王国フランスで、ボルドーに並ぶ二大産地がブルゴーニュ地方。その代表的な銘柄である「ロマネ・コンティ」の名前は、ワインに詳しくない人でも知っているのではないでしょか。醸造所である「DRC（ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ）」はブルゴーニュに多くの畑を持っており、同社の銘柄は世界中のワイン愛好の垂涎の的となっています。その「DRC」社のワインを、福岡で最も多くストックしているといわれるのが「ル・フラマンローズ アムリタ」です。

警固四つ角のすぐ傍に建つタワーマンションの地下にある、秘密めいた場所。階段を降りてドアを開けた先には、ブルーグレーをベースにした色調の空間が広がっています。北欧スカンジナビアデザインのヴィンテージ家具と照明器具を設えた店内は、カウンターとテーブル席の他に、ゆったりとソファーで寛げる個室も用意されています。ラグジュアリーな雰囲気の中、柔らかな物腰で迎えてくれるのはオーナーの牛島治さん。福岡のブルゴーニュワイン愛好家なら、まず知らぬ人はいないソムリエです。

牛島さんは、2003年に同じ警固にある別のビルの地下で初代「ル・フラマンローズ」を開店。カジュアルなワインバーとして人気を博し、当時ワインの勉強中だった筆者も足繁く通っていました。ちょうど10年間営業した後に、さらなるステップアップとして現在の店に移転。店名にサンスクリット語で”この世で最高の飲み物”という意味を持つ「AMRTA」の名を付し、自身が愛してやまないブルゴーニュワインだけを提供しています。

料理はアラカルトでも注文できますが、ブルゴーニュワインに合わせた6品で構成された「ペアリングコース」（8,500円、ワイン4杯＋3,000円・8杯＋5,000円）がおすすめです。
写真はアミューズに続く前菜の「河豚のカルパッチョ ズワイ蟹とコンソメジュレ」。牛島さんがペアリングで合わせるのは、ブルゴーニュを代表する造り手の一人ミシェル・グロのシャルドネです。ほどよいミネラルと酸味のバランスが、魚介を食べた後の口中をさっぱりとしてくれます。

温前菜の「ほうれん草のポタージュ 帆立貝のソテーとパルメザンクリーム」には、白ワインの最高峰といわれるピュリニー・モンラッシェの生産者エティエンヌ・ソゼのシャルドネを。独特の風味と長い余韻が後に残り、グラスで注文すると結構なお値段になるとのこと。いろいろなワインを少しずつ、リーズナブルに楽しめるのも嬉しいですね。

メインの肉料理は「和牛のソテー根セロリのピュレ トリュフソース」（＋1,000円）をセレクトしました。こちらの赤ワインは、最初に飲んだミシェル・グロの妹であるアンヌ・フランソワーズ・グロの手によるピノ・ノワールで、女性らしいエレガントな軽やかさが魅力的な1杯。ブルゴーニュの様々な醸造所や造り手による個性を飲み比べできるが、ペアリングコースの楽しみです。

店内のセラーをはじめ、倉庫にある在庫を含めると数千本は下らないというストックは、まさにブルゴーニュ愛好家垂涎のコレクション。しかし、ここ数年天候不良によるブドウの不作が続き、生産量が激減しているとのこと。世界的な需要は高まる一方で、「以前は普通に仕入れていた銘柄も、今は手が出ません」というほど価格が高騰しているそう。
今後も当分は高値が予想されるため、「ブルゴーニュを飲むなら”今”です！」と牛島さん。ほど良いヴィンテージのストックがある今のうちに飲むのが良さそうです。