東京の人気スペイン料理店が九州初進出。本場公認の絶品パエリアも！

近年、県外組の出店も増えている福岡ですが、この５月末には、新たに要注目の洋食居酒屋「カルボ」が参戦。今泉の閑静なエリアに活気や賑わいを呼びこんでいます。
オーナーは東京でスペイン系のレストランやバルを３軒営み、人気店に育てあげた由利拓也さん。本場スペインで学んだ料理人でもあり、「カルボ」ではパエリアやタパスの国際コンペで受賞した逸品も出すというからそそりますよね！　そんな期待の“大型新人”をさっそく訪ねてみました。

場所は「サウスインディアン106」「ハングリーヘブン」の入ったビル２階。カウンターとテーブルを備える店内は奥に細長い間取りですが、オープンキッチンと大きな窓ガラスのおかげで、見た目以上にゆったりした空間です。
目を引いたのが、壁に貼られた青と白の綺麗なアンティーク風タイル。わざわざ伊万里で焼いてもらった特注品だそうで、「スペインの市場にあるバルのイメージを再現したものです」と店長の髙田遼太さんが教えてくれました。

「カルボ」はスペイン語で炭を意味し、店の看板料理も炭や藁を使った“原始焼き”を柱にしています。「メニューのベースは、由利のレシピによるスペイン料理と、僕が学んできたイタリア料理。できるだけ価格は抑えつつ、味は常にレストランクオリティを心掛けています」と髙田さん。
九州の食材を用い、産地の郷土料理を「カルボ」流に再構築するのもテーマの一つ。髙田さんも「これから各地の生産者さんと交流を広げたいですね」と意気盛んです。

蓮根の炭焼きに豚足のテリーヌを挟んだ「辛子蓮根カルボstyle」（880円）は、そんな「炭＋九州料理」を巧みに体現した好例。揚げずに焼くことで蓮根のシャキシャキ感が際立ち、その風味を包むハニーマスタードの優しい刺激も相性抜群です。あの熊本名物を「カルボ」が解釈するとこうなるのか……と思わず感心。「トリュフ薫 鉄鍋餃子 ラビオリ仕立て」（1,100円）や「Carboのイワシ明太」（550円）などと並んで、九州リスペクトが伝わる一品でした。

東京の姉妹店で一番人気だという「鮮魚のパリパリ包揚げマッシュルームソース」（２本1,000円）も忘れ難い味です。刺身でもイケる鯛をカダイフで包み揚げした串物で、パリパリ衣の下から顔を出す、ふっくらした白身のうまさについつい破顔。そこへトリュフ＆マッシュルームソースの香気が絡み合い、華やかに五感をくすぐります。そう、これが2020年の「全世界タパス大会」で審査員特別賞に輝いた傑作。ぜひ皆さんもオーダーを！

そして今宵一番の楽しみだったのが、この「イカスミのパエリア」（2,200円）。なにせ２年連続「国際パエリアコンクール」で準優勝し、スペインパエリア協会が公認した“パエリア師”＝由利さん渾身の一皿なのですから。そのレシピと技を託された髙田さんが作るのは、シンプルゆえにどこまでも旨味が深いアダルト味。香ばしいイカの炭火焼きもインパクト大ですよね。
髙田さんによると、美味しく仕上げるコツはこまめな火力調節。家庭では決して真似できない、プロフェッショナルの味をたっぷり堪能しました。

最後のシメには、髙田さん自慢の手打ちパスタをオーダー。イタリアン時代の経験が生きた「鯵とししとうのペペロンチーノタリオリーニ」（1,375円）は、これまた期待を超える美味しさです。麺をあえて不揃いの太さに切ったり、ハーブなどのアクセントを加えたりと、最後まで飽きさせない食感を計算した仕上がりも上々。味付けの塩梅がまた絶妙で、夢中で頬張ってしまいました。

その道のプロが作る本気の料理や、豊富なワインをバル的空間で楽しめる「カルボ」。夏には価格が10％OFFになる立ち飲みスペースもできるとあって、長く気軽に付き合える店になりそうです。ようこそ福岡へ‼︎