春吉の隠れ家で4種から選べる鉄板焼きコースに舌鼓

春吉の路地を歩いているとさまざまな飲食店が軒を連ねており、どんな店なのか気になるということは多いと思います。そんな隠れた名店の宝庫、春吉エリアで人気の鉄板焼き店があります。それが今回お邪魔した「田中屋」です。
店構えは洗練されたシンプルな造りで、高級なイメージがある鉄板焼きということもあり、扉を開けるのは少し勇気がいりそうです。

ただ安心してください。こちらの店ではコースはすべて7,500円で統一。全4種のコースがあり、今回は本日の海鮮鉄板焼き、5種の焼き野菜、ステーキ、ベーコンガーリックライスなどが付くAコースを注文しました。ちなみにメインのステーキは200gのサーロインか、150gのヒレが選べるようになっており、ヒレにした場合はプラス500円かかります。

グリーンサラダをいただている間に用意されたのは本日の海鮮鉄板焼き。この日はコウイカを日本酒でさっと蒸し焼きにし、バジルソースをかけたものです。熱を加えることでプリッとした食感に仕上がっているのですが、その柔らかさにびっくり！　風味高い自家製バジルソースは塩気がちょうどよく、イカ本来の旨味を引き立ててくれます。これは白ワインが進む味わいですね。

店主の田中裕二さんは大学生の時にアルバイトで入った鉄板焼きの店が飲食の入口。サラリーマンになるか料理人になるか考えた末、卒業後もその店で働くことを選んだそうです。アルバイト時代を含めるとおよそ15年にわたり鉄板焼きの店で腕を磨いた田中さんは2016年に独立し、「田中屋」を開業しました。

そんな話をしているうちに5種の焼き野菜、そして主役のヒレ肉が鉄板の上にお目見えです。今回選んだヒレは150g（サーロインだと200g）と、ステーキはしっかりボリュームがあるのが同店の鉄板焼きの特徴。その理由を田中さんは「鉄板焼きを食べに来られたということは、ステーキが一番のお目当てだと私は思っています。そう考えると、肉の量が少ないとがっかりされるかなと思い、このg数にしています」と教えてくれました。

この日の野菜はサツマイモの紅はるか、赤タマネギ、赤ナス、オクラ、ほうれん草。焼きの技術が高さからか、どの野菜も素材本来の味わいがギュッと凝縮し、何も付けずに食べてもおいしいです。
そして主役のヒレステーキの柔らかいこと！　噛むほどに旨味を感じ、至福のひと時とはまさにこのこと。出汁醤油ベースのステーキソース、柚子胡椒ソース、岩塩を用意し、好みの味で楽しめます。なかでも2種の自家製ソースは肉との相性抜群。どちらもさっぱりとした味わいで、150gと結構なボリュームがありますが、ペロリとたいらげました。
ちなみにステーキの下に敷かれた食パンは肉から出る脂を吸い取り、それにプラスして保温の役目があります。ステーキや野菜を食べ終わったあとに鉄板で焼いたモヤシを食パンで挟んで食べるのですが、それがまたおいしいんです。

最後はベーコンガーリックライスです。鉄板焼き店では定番ですが、こちらのガーリックライスは細かく刻まれたベーコンが混ぜ込まれており、ふんわりとベーコンの旨味、風味が広がる技ありの一品。叩いた2種の梅干しと、香り爽やかな大葉が添えられているので、途中で味変して楽しむのもおすすめです。
シメまでいただいて思うのが、「田中屋」のコースはどの料理も素材本来の味を活かしているということ。十分にお腹は満たされているのに、胃はもたれず、お腹が重たい感じが不思議としないのです。一つ一つの料理がおいしいのはもちろん、トータルのバランスに優れた鉄板焼きコース。ちょっと贅沢したい日におすすめの一店です。ちなみに4名以上であれば貸切もできますよ。