リレーエッセイ「トマトラーメン三味のここが凄い!」

「三味」のトマトラーメンがインバウンド客に支持される理由

公開日

ライター毛利智子

カメラマン毛利智子

三味_

住吉

元祖トマトラーメン 三味 キャナルシティ博多ラーメンスタジアム店

  • x
  • LINE
  • お気に入りに登録する

今年10周年を迎えた「トマトラーメン三味」。この10年間で豚骨の聖地・博多でラーメンの新ジャンルを確立しました。その魅力をUMAGAのライターがそれぞれの視点で紹介するリレーエッセイを10回の連載でお届けします。

第9回目は毛利智子さんです。

三味キャナル 店内

 今回お邪魔したのは、この記事がアップされるころには改修のため全店舗が休業している「キャナルシティ博多ラーメンスタジアム」内のお店。「もう閉まっちゃうのに、いいんですか?」と広報の内山翔太さんにたずねたところ、「屋台風の店舗はここだけで、クローズに際してこの店の記憶を残しておきたかったんです。また、この店を選んだもうひとつの理由は、「三味」のトマトラーメンが海外の方にも支持されていることを知ってもらいたいと思ったからで、ここキャナルシティ博多店はそのきっかけとなった店なんです」とのこと。
 これまでの連載記事を読むと、社長の宮下将司さんの思い切った経営戦略や仕掛けづくりなど、先手必勝だったのは理解できますよね。インバウンド向けにも何かあるに違いないと思い、お話を伺ってみました。

三味_人

 「実は、このお二人との出会いがコロナ後にインバウンド客がたくさん来るようになったきっかけになりました」と紹介されたのが、日本を紹介するYoutubeチャンネル(3分旅行/@everydaytrip)を配信している李鎮宇(イ・ジンウ)さんと名嘉原里奈さん。(写真は左から社長の宮下さんと息子の煌士くん、李さん、名嘉原さん)。
おふたりが運営されているチャンネルは韓国語なので詳細はわかりませんが、セレクトされているお店や紹介している内容がなかなか濃くて、言葉がわからなくてもとても興味深く拝見しました。
 このように日本と韓国の橋渡しをしているおふたりと「三味」との出会いは5年ほど前。韓国最大の通信会社が携帯ユーザー向けに海外店舗でさまざまなサービスを提供しており、日本での提携店開拓をおふたりが担当していました。その中で、日本で最初に提携の相談をしたのが「三味」の宮下さんだったのだそうです。

三味_ラーメン

 「三味」に「SK Telecom」の話をしたのは、もともとおふたりが「三味」のトマトラーメンの大ファンだったため。「豚骨に比べて塩分控えめでヘルシー」「女性がひとりでも入りやすい」「朝の“酔い覚まし”スープとしてもぴったり(これは韓国の食習慣のひとつだとか)」など、様々な理由からトマトラーメンを推薦したところ、「SK Telecom」の厳しい審査をクリアし、すぐに協力店として認められたのだとか。

三味_キャンペーン
三味_キャンペーン

 また、今年8月には、数ある協力店の中から飲食店としては唯一「SK Telecom」とのコラボブランドとして「三味」が選ばれ、「元祖トマトラーメン」(680円)と「〆のチーズリゾット」(300円)を「SK Telecom」がユーザーに無料で提供する特典を実施。割引やドリンクやデザートのサービスは他店舗でもあるそうですが、ここまで充実した内容は全国でも「三味」だけだったのだとか。取材中にも何組かの韓国人旅行者が携帯を提示して特典をもらっている光景が見られました。ちなみに、プラス1000円で「博多スタミナRedトマトラーメン」へのグレードアップ、生ビールか角ハイボールがセットになるというかなりお得な内容でした。

三味_店

 オープン当初から中国や台湾からの旅行客に人気だったという「三味」。これを機に韓国人旅行者がグッと増え、コロナ前のインバウンド集客を超えました。確かに「ここは海外なの⁉」と思うほど、店内は外国人旅行者ばかりです。今やキャナルシティ博多は外国人観光客が必ずといっていいほど訪れる福岡のランドマーク的な存在で、ラーメンスタジアムもキャナルシティ博多を訪れる主な目的のひとつ。「キャナルシティ博多さんに出店させていただいたおかげで海外のお客さまからの認知が飛躍的に拡大したと思ってます」と宮下さん。キャナルに来てラーメンを食べる外国人は数知れずですが、中でも「三味」は、韓国人には必須のネイバーブログでのクチコミは、豚骨系を抑え不動の一番人気だとか。そもそもこちらの店舗は、博多をはじめ、福岡市内、県内、九州に至るまで、大小さまざまなエリアにおけるインターネットメディア(ITmedia)のランキングで幾度となく1位を獲得しており、地元民からの支持の厚さは言わずもがな。 
 さらに、2023年には世界160ヶ国・地域の3億世帯に向けて放送されている「NHK WORLD – JAPAN」の『RAMEN JAPAN』という番組の福岡編で宮下さんのインタビュー映像が放送されたことも世界中の人が「三味」を知るきっかけに。「この番組がアジアだけでなく、欧米からのお客さんが増える起爆剤になったと思います。テレビやSNSを通じて興味を持ち、実際にトマトラーメンを食べに来てくれて美味しいと思ったお客さんたちが、どんどん拡散してくれて「三味」の輪が広がっていきました。海外の人にもトマトラーメンの美味しさが伝わったことをうれしく思っています」と宮下さん。

三味_トマトラーメン

 今回の取材を機に私も10年前に「三味」の「元祖トマトラーメン」を初めて食べたときのことを思い出しました。ラーメンにトマト?と、疑いから入ったにもかかわらず、食べてみると「え、合うじゃん!」。和風のような洋風のような中華風のような、でもどれでもない、不思議な感じだったことを覚えています。私の勝手な想像ですが、海外の人にもウケがいいのは、そんな“何風でもない”ところじゃないかなと。魚介系の出汁や強い香りにあまり馴染みがない欧米系の人(今はもうそんなこともないのかもしれませんが……)もトマト味ならすんなり受け入れられそうだし、醤油ラーメンがスタンダードで、豚骨も食べたことがあるという日本慣れしたアジア系の人たちにとってもトマトラーメンは鮮烈で革命的な味なのではないでしょうか。

三味_料理

 話は変わりますが、「三味」がオープンしたのは10年ほど前。思えば、私もオープン間もない時からのお付き合いで、現在中学生の子どもが幼稚園年中の頃から通っています。当時、同じ幼稚園にも「トマトラーメンによく行ってるよ」というファミリーがいて、ママ&子どもでランチするとき、「三味」に行くこともしばしば。豚骨系だったら「遠慮しとく……」というママでも、トマトラーメンなら「行く!」というケースが多く、しかも子どもはトマトラーメン1杯330円なので、安さ、気軽さともに、とてもありがたい存在でした。

三味リゾット
三味_チャーハン

 10年経っても学生のラーメン1杯330円は変わりないのですが、なんせ、食べ盛り真っ只中。もちろんラーメンだけで済まされるわけもなく、以前はシェアしていた「チーズ餃子」(390円)もひとり占め、「〆のチーズリゾット」(300円)も必須、時には「三味特製チャーハン」(550円)もプラスして、炭水化物をどっさり摂取。食べる量からも成長を実感しています。彼らにとって「三味の元祖トマトラーメン」は青春の味になるのでしょう。
彼らが大きくなって、またその子どもたちを連れて行くようになって……、末永く「三味」のトマトラーメンが味わえるよう、お店のますますの発展をお祈りしています。

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。

記事に関する諸注意

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。

人気記事ランキング

  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
  • ワンタップでUMAGAにアクセス!
  • メルマガ会員募集