昨年11月にUMAGA記事〈だーひーのB定食〉に登場した西新の「洋食ランド」。シェフを務める熊本明彦さんが平尾で開いていたビストロ「ル・ブルジョン」で、私もその腕前を実感しているだけに、「あの熊本さんが洋食を!?」と衝撃が走りました。間違いなく美味しいと確信できますが、果たして洋食をどう表現しているのか……この目と舌で確かめるべく訪れました。
お店は西新のプラリバ1階にあります。西側の商業施設ではなく、東側のタワーマンション1階なのでお間違えのないように。広々としたお店の前身はイタリアン「フローリッシュ」でしたが、リニューアルを機に熊本さんをシェフに迎え、業態も洋食レストランに変わりました。
「『ル・ブルジョン』はフランスの地方料理が中心で、それはそれでコアなお客様に喜んでいただき嬉しかったのですが、もっといろいろな人に料理を食べてもらいたい気持ちもありました。洋食だったら幅広い層に楽しんでもらえるし、洋食店で働いた経験もあったのでオーナーに提案したところ、賛同してもらえました」と熊本さん。福岡で洋食といえば、メインにスープ、サラダ、ライスorパンがセットになった定食スタイルが主流で、「洋食ランド」もランチはそのスタイルですが、夜はワインと一緒に楽しめる大人向けの洋食レストランにしていきたいと話します。
メニューを見ると、なるほど、前菜、サラダ・スープ、フライ、主菜、麺・飯、サイドディッシュと、カテゴライズされています。「ル・ブルジョン」時代のメニューもちらほら組み込まれてあり、そそられますね。
前菜から順にいただくか迷いましたが、今日はメインの後に食べたいお目当ての品があるのでぐっと我慢。友人とシェアすることにして、主菜2品からの進撃です。
まずは、白ワインに合わせて「ミックスフライ」(2,200円)をオーダーしました。大きな白い皿に盛り付けられ、なんてエレガントな佇まいでしょう。フライの内容はメンチカツ、エビフライ、本日のお魚、カニクリームコロッケでした。粗挽きで肉々しく味わい深いメンチカツ、ふんわり仕上がったタイのフライに早くも頬がゆるみます。そして洋食の王様、エビフライ。私、エビが大好物でよくエビフライを食べますが、このまっすぐピンとした姿からもう「お主、只者ではないな」と目がきらり。疑うべくもなくカットするときの弾力、口に入れたときのプリプリ感は抜群でした。
カニクリームコロッケは、自家製ベシャメルソースに本ズワイガニの身が惜しみなく使われた贅沢な一品。ソースとカニの甘みの後、表現しがたいよい香りがふわっと訪れコク深さが増します。聞くと、隠し味にペルノ(リキュール)を入れているそうです。この発想たるや!
続いて赤ワインに合わせてオーダーした「和牛タンシチュー」(5,200円)です。赤ワイン、ポルトワインとともに4時間ほど煮込むというタンは、驚きの柔らかさ!柔らかいだけでなくなめらかで、中心部分に至っては筋繊維をどこにも感じられないほどとろんとしています。「仕入れている肉屋から『和牛のタンをシチューにするのはもったいない』と何度も言われましたが、一度これを味わうともう外国産に戻れなくて」と熊本さん。国産の牛タンからでる旨味によって、シチューの深みも増すと話します。
主菜を堪能し、最後にお目当ての「オムライス デミグラスソース」(1,620円)をオーダーしました。ぷりんと膨らんだオムレツと艶やかなデミグラスソースの美しいこと!黒に近い茶色をしたデミグラスソースは、なんと10日ほどかけて作られるそう。行儀が悪いと思いつつも衝動を抑えられず、先にソースを少しだけペロリ。おぉ、かなりコクがあるうえカラメルソース的なビターさも感じます。
オムレツはカットせず、そのまま食べ進めるのがおすすめです。「その方がとろみも温かさも長持ちするし、卵の風味もより感じられます」と熊本さん。スプーンでライスと卵、ソースをすくって頬張ると、卵の優しい風味、チキンライスのケチャップの酸味、ソースの苦味が合わさって実に見事な味わいです。お米の粒感が立つライスはピラフを炊いてケチャップに和えるという手間のかけようも、この美味しさにひと役買っています。
洋食って家庭料理にもなっていて、誰もがどんな料理か知っているし味もだいたい想像つきます。だからこそ「熊本さんの手にかかるとこうも変わるのか」と驚かされました。
この日はワインとともに大人洋食的に楽しみましたが、もちろん夜も子連れでも気軽に利用できます。また、記念日などハレの日にぴったりなディナーコース(5,500円)もあり、アミューズ、本日の一皿、前菜、スープ、フライ、メイン、デザート、コーヒーor紅茶という構成で、フライとメインは数品から選べます。
最後にもう一つ、耳寄りな情報を。「洋食ランド」にはメインホールとは別にバルスペースがあるんです。ホールと同じメニューも頼め、バル用に別途「マッシュルームフライ」(600円)、「明太バタートースト」(400円)などのおつまみも用意されています。バルは昼から夜まで通し営業なうえ、15時から19時までは「せんべろタイム」として、おつまみ1品+ワイン2杯、あるいはつまみなしのワイン3杯を1,000円で提供しているそうです。
誰にも開かれ、いろいろなスタイルで洋食が楽しめる、まさに「ランド」なお店。次は誰と一緒に来ようかな。
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店舗名
洋食ランド(店舗写真)
ジャンル
- その他レストラン
住所
福岡市早良区西新4-1-1プラリバ1F
電話番号
営業時間
11:30〜OS14:30/17:30〜OS21:00(バルは11:30〜OS21:00)
定休日
火曜
席数
- カウンター22席
- テーブル28席
個室
なし
メニュー
パテドカンパーニュ1,100円、マグロとアボカドのタルタル1,420円、南仏ニース風サラダ1,440円、エビフライ(3尾)1,800円、ミックスフライ2.200円、ハンバーグステーキ デミグラスソースorポルチーニクリームソース1,980円、和牛タンシチュー5,200円、オムライス デミグラスソース1,620円、欧風カツカレー2,680円、ディナーコース5,500円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
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