天才職人が考案したハード系パンに福岡オリジナルの限定商品も

パン好きを自認するなら、パリ発祥の有名ブーランジェリー「メゾンカイザー」の名を知らない人、いや、食べたことがないという人は、おそらくいないのではないでしょうか。天才パン職人といわれる創始者のエリック・カイザー氏は1996年にパリで自らの名前を冠したブーランジェリーを立ち上げ、「ルヴァンリキッド」と呼ばれる液化天然酵母を使った製法でフランスパンの歴史に革命を起こしました。その名声はまたたく間に世界中に広がり、日本では2001年に東京・高輪に１号店をオープン。ハード系のパンをメインにしたラインアップで、我が国のベーカリー業界に与えた影響は計り知れません。

日本各地で店舗展開をする中、地方都市でいち早く2005年にオープンしたのが「福岡天神大丸店」です。今回はその真価を改めて味わうべく、地下２階の売場を訪れました。

今や世界20カ国でおよそ150店舗を展開する「メゾンカイザー」ですが、マネージャーの大里敬太さんによると、「世界中で販売している約60種類の定番パンは、エリック・カイザーによるルセット（レシピ）を厳密に守りながら作っています」とのこと。その他に、エリック・カイザー氏が監修して日本向けに開発されたパンが約20種類。さらに「明太子バターフランス」などの地元食材を使った福岡オリジナル商品もあり、どれを選ぶか目移りして仕方ありません。

両手にトレイとトングを持って悩んでいる間にも、”チリンチリン〜♪”というベルの音が店内に鳴り響き、「○○○○が焼き上がりました！」という声が掛けられます。ここはもう、値札に書かれた人気ランキングの順位から選ぶことにしました。

人気ナンバー１は、やはり「クロワッサン」（279円）。特別な製法で作られた無塩発酵バターを練り込んだ生地は、サクッとした食感の後に芳醇なバターの香りが広がるリッチな味わい。これとカフェオレさえあれば、最高の朝食になります。
「メゾンカイザー」ではフランス、カナダ、アメリカ、オーストラリアの契約農場から小麦を買い付けており、それらをブレンドして国内で製粉したのが「メゾンカイザートラディショナル」というオリジナル小麦粉。その風味をダイレクトに味わえるのが「バゲットモンジュ」（349円）です。カリッとした焼き上がりの中身はしっとりとした生地で、どんな料理にも合わせられる食事パンです。

人気ランキング３位の「パンアグリューム」（339円）は、福岡天神大丸店オープンを記念して作られたオリジナル商品。蜂蜜を使った生地に、レモンとオレンジピールの柑橘系の香りがよく合います。
種類は少ないものの調理パンや菓子パンもあります。「クロワッサンオザマント」（459円）は、クロワッサンをラムシロップに漬けてアーモンドクリームを挟んで焼いたもので、ちょっと贅沢なおやつにも最適です。

創業から30年足らずで、本場のフランスをはじめ、世界中のパン好きをトリコにした「メゾンカイザー」。様々なパン屋がひしめき合う天神のデパ地下の中でも、ちょっと別格の存在感を示しています。