あの完全予約制店が監修した予約不要のラーメン店。 雲のようにふわりとした泡白湯のトリコになる
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福岡ラーメンの新店の中でも今回の主役は「鶏白湯(とりぱいたん)」です。豚骨ラーメンに台頭する一角として九州全域でも市民権を得ているジャンルなので、体感したことのある方も多いでしょう。福岡においては2009年の「博多 元勲」(現在閉店)、「麺道はなもこし」(2011年〜)などが先駆者であり「御忍び麺処nakamLab.」(2018年〜)の登場で人気が一気に加速、昨今では「やひろ屋」「ほったて小屋」「絶好鳥」なども活躍しています。その名の通り“鶏”の“白湯(白濁)スープ”であり、豚骨ラーメンにも負けないパンチとまろやかさがあるのが鶏白湯の醍醐味。加えて鶏白湯はブレンダーでの再乳化で立つ泡の有無で大別され、合わせる具材や醤油ダレ、魚介、鶏油(チーユ)の効かせ方でも個性が出ます。
2024年12月20日にオープンした「博多鶏soba 建 TATERU」の一杯は、言うならば「“純白”の泡白湯」。味の旨さはもちろん、ラーメンファンを“くすぐる”要素が詰まった店です。
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「博多鶏soba 建 TATERU」があるのはキャナルシティ博多近くの新しいビル「MODERN BUREAU SUMIYOSSHI riva 」の1階。同ビルの2階には「つけ麺専門店がんつけ」があり、さらに歩いて“100歩”のところには「非豚骨なお人」「博多喜喜」も店を構えるなど、昨今ラーメン激戦区へと変貌したエリアです。
実はこの「博多鶏soba 建 TATERU」(以下、「建 TATERU」)、前述した超名店「御忍び麺処nakamLab.」(以下、「ナカムラボ」)プロデュースの店であり、筆者自身オープン前からとても注目していました。「ナカムラボ」といえば「那珂川市の一軒家で営む完全予約制のラーメン店」として知られています。店主の中村聡志さん(1986年福岡出身、下写真左、右は店長の山津貴志さん)は若い頃はキックボクシングにのめり込み、これまた大好きだったラーメンの世界へ転身。博多ラーメンの源流である「うま馬」で腕を磨き、アメリカ、シンガポール、フィリピンなどで店舗立ち上げにも携わってきました。「人と同じことはやりたくない」と、独立開業の際は豚骨でなく鶏を選び、あえて郊外の一軒家を店舗へと改装。先陣を切り「完全予約制ラーメン店」という新たな業態を確立しました。
念の為言っておきますと「建 TATERU」は「ナカムラボ」のように予約は必要ありません。前情報としては単純に「名店監修のバリうまラーメン店がキャナルシティ博多前にできた」と捉えていただければOKなのですが、中村さんのラーメン観はとても興味深いのでもう少し紹介します。
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「僕はラーメン店ではなくラーメンビジネスがしたいんです」。これは中村さんが2018年の開業から一貫して言っていることです。なんとなくドライな感じもしますが、要は暖簾分け、FCを通じて全国、世界への展開を最初から見据えていたということ。「ナカムラボ」を決して交通の便がいいとはいえない場所にしたのも「ここに人を呼べればどこでも勝負できる」と、ゆくゆく世界へと飛び出す決意の表れであり、尖った印象のある“完全予約制”についても、ラーメンにおいてのSDGsを体現する業態をいち早く示したもの。なぜなら、人件費を無駄なく抑えられ、食材のロスも減らすことができるなど、例えば夫婦2人でラーメン店を開業する際のモデルにもなるからです。中村さんはこのように気鋭のラーメン職人であり、ブランディングにも長けたビジネスマンでもあります。「無駄を削ぎ落とし、最高の感動体験を届ける」これこそ中村さんが編み出す全てのラーメンの設計思想。「建TATERU」は中村さんの中学生の後輩が務める会社とタッグを組み、満を持して福岡市街への出店となりました。
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さて、気になる「建 TATERU」のラーメン「博多鶏soba」(930円)ですが、まずは見た目がとても美しいですね。ブレンダー仕立てでキメの細かい泡が雲のようにふわふわした純白の鶏白湯。飲んでみると、魚介の出汁感と塩味が「ナカムラボ」とは異なる印象です。
「鶏白湯に合わせる魚介要素は『ナカムラボ』はカツオ節、『建 TATER』は煮干しが主体。『建 TATER』は場所柄、飲んだ帰りの人も多いので濃度、塩気も若干上げています」と中村さん。
「ナカムラボ」はレモンスライス、「建 TATER」はもみ海苔と具材にも変化をほどこしています。スープはマイルドで口当たりなめらか。柔らかい泡は麺にもしっかりと絡みつき、啜り心地をライトにしてくれる効果もあります。「ナカムラボ」とまた異なる鶏白湯。しみじみと美味しいですね。
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そのほか「建 TATERU」でしか食べられない「油soba」(880円)もいただきました。イメージしていた油そばとは異なる、さっぱり味で辛くない一杯。「ナカムラボ」のラーメンダレ主体に酸味も程よく加えたタレがたっぷりと入っていて、香味油もギトギトしていないのですごく食べやすかったです。麺量はラーメンの1.5倍あるのですがサラリと完食しました。
福岡でも鶏ラーメン絶賛進化中! を実感させてくれる「博多鶏soba 建 TATERU」。
中村さん自身も那珂川市の店と行き来して、厨房に立つ日もあります。
金・土曜は翌2:00まで開いているので、博多や中洲界隈で飲んだ締めにもおすすめです。
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店舗名
博多鶏soba 建 TATERU(店舗写真)
ジャンル
- ラーメン
住所
福岡市博多区住吉1-6-8 MODERN BUREAU SUMIYOSSHI riva 1F
電話番号
営業時間
11:00〜15:00、18:00〜22:00、金・土曜〜翌2:00
定休日
月曜
席数
- カウンター8席
メニュー
博多鶏soba930円、和風醤油soba850円、担々麺980円、油soba880円、替え玉150円、ネギ焼豚丼380円、茄餃子380円
喫煙について
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- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
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