天神ビッグバンによって、めまぐるしく変わっている天神の街。そんななか変わらずに、今なお食事場所として頼りになる存在の一つに挙げられるのが天神ビルの地下商店街「天神よかまち」です。
天神ビルは1960年に完成。長い歴史において店舗の入れ替わりはありますが、今回ご紹介の「Pubキリン」は、ビル開業時からずっとこの場所にあり続けているお店です。

現在の「Pubキリン」は、映画事業や外食事業を行う会社・有楽興行によって2000年から運営されています。
天神ビルが開業した当初、同ビルにキリンビール九州支社があった関係で、地下商店街の飲食店はどこもキリンビールを取り扱い、そのため「キリンビールストリート」と呼ばれていたそうです。その一つ、ビアレストランとして営業していたのがこのお店のはじまりです。
「キリンビールさんの直営店とよく間違えられるんですが、ビールを扱っていること以外、関連はありません。開業した会社も、とある合弁会社だったんですよ」と外食事業部の諸岡ゆかりさんは説明します。「その合弁会社社長と弊社会長が親しかったんです。それで、2000年に弊社に経営が移った際も店名だけ変え、ビアレストランを存続するかたちで受け継ぎました」。

赤煉瓦の壁が印象的な内装は65年前からほぼ変わらないまま。テーブルや椅子は、天板を付け替えたり座面を貼り替えながら大切に使い続けているそうです。
「Pubキリン」になって25年。ドリンクやメニューは少しずつ変化しているものの、キリンの樽生ビールが看板でありまたビールに合う料理を提供するという姿勢はずっと保ち続けています。

キリンの樽生は全7種類。グラス・中ジョッキ・大ジョッキ・ピッチャーがあり、写真はいずれも中ジョッキで左から「ラガー」(680円)、「黒生」(700円)、「ハーフ&ハーフ」(700円)、「一番搾り」(680円)です。一番搾りと黒生をブレンドする「ハーフ&ハーフ」はよそにあまりなく、これを目当てに来店するお客も多いそう。

こちらも中ジョッキで左から「キリン一番搾りプレミアム」(780円)、「ブラウマイスター」(780円)、「ハートランド」(720円)です。ドリンクはほかにハイボール、ウイスキー、ワイン、カクテル、梅酒、日本酒、焼酎、ノンアルコールドリンク、ソフトドリンクとかなりの種類と数を揃えています。

ビールが看板なだけあって、ビールを最上の味で提供することに尽力しています。たとえば、樽を冷却してビールの温度を適温に保つことで味も香りもよりよく感じられるようにしたり、黒生は小サイズの樽を仕入れて回転を早め、常にフレッシュで味わえるようにしているそうです。ほかにもいろいろ、とにかく徹底。その証として、キリンの厳しい審査をクリアした「極上生認定店」に認定されています。
料理も酢もつや枝豆などの冷菜、フライドポテトなどの揚物、ステーキやソーセージなどの肉料理、アヒージョなどの一品料理、パスタ、ピザ、ハム、チーズ、カレーやパエリアなどのご飯系、シャーベットなどのデザートと、かなり充実しています。

まずはコレ! 一番人気で、メニュー表を開く前に頼む人も多いという「ソーセージの6種盛り」(1,800円)です。パリッとソテーされたソーセージはビールに合うのはもちろん、プレーン粗挽き、チョリソー、ガーリック、バジル、ブラックペッパー、カレーと、味わいもいろいろで楽しめます。

「フィッシュ&チップス」(1,000円)も手堅いメニューです。サクサクの衣の秘訣は、生地にビールを使っていること。日によって使うビールの種類が異なり、そのときどきで違う風味で味わえるのもファンの楽しみの一つです。

ピザは10種類あり、写真は「モッツァレラピザ」(1,480円)です。「もともと既成の生地を使っていたんですが、ある日、自家製生地で出したところお客様の反応がぜんぜん違って」と料理長の島利彰シェフ。生地は毎朝、仕込んでいるそうです。「もちろん手間はかかりますが、もう戻れません。今は既製品を使うなら出さない方がいいと思っています」。

ホテルのフレンチ出身の島シェフ。フレンチ、ウェディングでの経験を経て「Pubキリン」に入社し7年になるそうです。「調理法や盛り付けなど、以前の経験を生かせるよう努めています。単にビールに合う料理ではなく、このビールにはこの料理とペアリングも考えているのでお気軽にお聞きください」と話します。
この日はアラカルトで楽しみましたが、2名から注文できる飲み放題付きコース(6品4,000円〜)もかなりおすすめ。なんと飲み放題のドリンクに樽生も含まれるので、これはビール好きにはたまりません。大人数の宴会もでき、50名以上になると貸切もできるそうです(要相談)。

また、天神でのランチにも重宝するんです。ランチは10種類ほどあり、こちらは大人気の「スペアリブ煮込み」(スープ・サラダ・ライス付き1,200円)。とろっとろに煮込まれていて、SNSでは「飲めるスペアリブ」でバズり中です。
レトロで落ち着いた空間で、おいしいビールとおいしい料理が楽しめるこの安心感。この日、夕方の開店と同時に何組ものシニア層グループがビールを楽しむ光景が見られたんですが、聞くと、以前この周辺で働いていて今はリタイアされている方たちも頻繁に来店されているとのことでした。もちろん現役で働く人々もランチやディナー、宴会で多く利用しているのは言わずもがな。65年にわたり働く人たちの喉を潤し疲れを癒している……まさに名店の呼称がふさわしくあるお店です。


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店舗名
ビアレストランPubキリン(店舗写真)
ジャンル
- その他レストラン
- ビアバー
住所
福岡市中央区天神2-12-1天神ビル地下1階
電話番号
営業時間
11:00〜OS14:30/16:00〜OS21:00(ドリンクはOS21:30)
定休日
月曜
席数
- テーブル100席
個室
なし
メニュー
豆腐と水菜の胡麻サラダ750円・スモール650円、ソーセージの6種盛1,800円、サーロインステーキ1,800円、フィッシュ&チップス1,000円、オニオンリングフライ700円、ナポリタン〜温玉のせ〜1,200円、生ハム650円、モッツァレラチーズとバジルのピザ1,500円、パエリア1,200円
喫煙について
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- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
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