グランドメゾン presents 「ハレの日レストラン」【第80回】

時を忘れる美食体験!遂に開業、凱旋シェフの新舞台「リュニック・ラボ」

公開日

ライター森絵里花

カメラマン平川雄一朗

春吉 リュニック・ラボ スペシャリテ

春吉

L’Unique labo(リュニック・ラボ)

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「フランス・ミシュラン二つ星の濵野シェフが凱旋!それも福岡にレストランを開くらしい」。
そんな心踊るニュースが飛び込んでから約1年半――2025年9月14日、遂に待ちに待ったフレンチの新星が開業しました。ハレの日に相応しいその場所へ、早速出かけましょう。

春吉 リュニック・ラボ 外観

やって来たのは、大人の雰囲気が漂う春吉のリバーサイド。このエリアを象徴する「HOTEL IL PALAZZO(ホテル イル・パラッツォ)」内のチャペル跡地に、件のレストラン「L’Unique labo」はあります。レストランのドアはゲストの来訪に合わせて開錠されるスタイル。まずはホテルの正面入口に立つドアマンに予約の名前を伝え、入口へ案内してもらいます。

春吉 リュニック・ラボ 濱野シェフ

濵野雅文

1975年、福岡県糸島市のトマト農家に生まれる。中村調理製菓専門学校を卒業後、東京「ラ・ロシェル」にて8年半修業。その後単身渡仏し、リヨンやロワール等、複数のレストランで修業後、ブルゴーニュ地方のサン=タムール=ベルヴュにてオーナーシェフとして独立。2018年にはミシュラン二つ星を獲得し、2023年に日本に帰国するまで、6年間二つ星を獲得し続ける。

扉の先には、柔和な笑顔でゲストを迎える濵野シェフの姿がありました。フランスへ渡り第一線で活躍しながらも、いつかは故郷へ……長らくそんな思いを抱いていたという濵野シェフ。「戻ってくるからには20年の経験を活かし、新しい挑戦やより深い表現に力を入れていきたい」。そんな自身の思いや理想に共鳴する「ホテル イル・パラッツォ」(ワンファイブホテルズ株式会社)との出逢いがあり、この夢のようなレストランが完成したと言います。

チャペル跡地に生まれた
白と光の静謐な空間

春吉 リュニック・ラボ 店内

店内へ足を踏み入れまず驚くのは、6メートルを超える天井高を活かした開放的な空間。緩やかな曲線美、白と光のグラデーションに包まれたフロアは静謐な空気を纏っており、体が溶け込んでいくような心地良さを覚えました。

「その瞬間ごとの空気感や没入感、ミュージカルのような感動を伝えたい」。そんなシェフの想いを汲んで空間設計を手掛けたのは、スイスを拠点に世界各地で活躍するデザインチーム「atelier oï(アトリエ・オイ)」。彼らにとっては九州初のプロジェクトであり、レストランを手掛けるのも初の試みだったそう。8席という特等席の奥には舞台のような厨房が鎮座し、調理の音や香り、シェフの所作や躍動を伝えてくれます。

春吉 リュニック・ラボ 店内

頭上に下がる特注のペンダントライトは、濵野シェフが多様に用いるエルディブフラワーの花びらがモチーフ

糸島で生まれ育ち、パリではなくブルゴーニュを選んだ濵野シェフが最も心惹かれるのは美しい田舎の景色。木々の緑や四季折々の花々、光の移ろいなど、豊かな自然の景色から料理のインスピレーションを得ることが多いそうで、空間にもその世界観を投影しています。

春吉 リュニック・ラボ ウェイティングスペース
春吉 リュニック・ラボ テーブルセット
春吉 リュニック・ラボ メニュー

左下:ショープレートは、シャガールの花束の絵をあしらうベルナルドの磁器。/右下:メニュー表には、糸島で活躍する風景画家・宮田ちひろさんが描く“糸島の季節の風景”が

入店したらまずは、ヨーロッパのガーデンをイメージしたウェイティングスペースへ。チャームとシャンパーニュを片手にゲスト同士で歓談を楽しんだ後、ダイニングテーブルへと進みます。食事の前からゆったりと時間を過ごせるのは、実に贅沢ですね。

フルーツやハーブを巧みに操る、珠玉の11品

春吉 リュニック・ラボ アミューズ

料理は全11品のコース「Menu L’Unique」(27,500円)一本で、内容は約2カ月ごとに変わります。ワインはこの道25年のソムリエ・濱邊陽平さんがシェフと共に厳選。ワインペアリングはブルゴーニュを中心としたセレクション(4グラス・13,200円)と、九州ワインのみで構成するもの(4グラス・9,900円)の2通りが用意されているのも魅力的です。

コースは“食前のお愉しみ”と題されたミニャルディーズ・サレ(塩味の小菓子)から始まります。糸島豚のリエットを挟んだ薔薇が香るマカロンをはじめ、どれも風味豊かで遊び心が満載。ジュエリーを思わせるプレゼンテーションにもときめきます。

春吉 リュニック・ラボ 前菜

エルディブフラワーやハーブは糸島「久保田農園」や、福津「ガーデンアルテ」から

濵野シェフの料理における最大の特徴は、巧みなフルーツ・ハーブ・エルディブフラワー使い。なかでも「フルーツはワインとのマリアージュを成立させるための存在」と濵野シェフが話す通り、すべての料理に織り込まれています。

続くアミューズ「はじまりの唄」もまた然り。大分県産の塩雲丹をあしらうトウモロコシのムースとジュレにゴールデンキウイを合わせ、味わいに抑揚を持たせるなど、どれも技あり!なおいしさでした。

春吉 リュニック・ラボ スペシャリテ

瞬間燻製をかけたオリーブペースト入りのワッフルにのせて味わう

続いて、セレモニー感たっぷりな濵野シェフのスペシャリテも登場。蟹と白菜のエチュべにカボチャのエスプーマ等を重ね、中央にはイタリア産のオシェトラキャビアをふんだんに。レモンのジャムや花畑のようにあしらわれたエルディブフラワーの酸味、ほろ苦さ、香りが目と舌に華やぎを与えます。

春吉 リュニック・ラボ 温前菜

イチジクの葉から作ったオイルの爽やかな青味も巧妙

コースは、オマールブルーにパイナップルやエルディブフラワーを合わせた美しい一皿へと続き、5皿目には「Éclat d’automne=秋の煌めき」と題した温かい前菜料理が登場しました。天草のホロホロ鳥とフォアグラのテリーヌは濃密美味。ポートワインで炊いた里芋、キャラメリゼした“とよみつひめ”の艶っぽい甘味が重なり、トリュフ香るペリグーソースが深みと広がりを与えてくれます。

フランス料理の矜持と
九州のテロワールが響き合う

春吉 リュニック・ラボ 魚料理

さらに、この日の魚料理は五島列島「いでぐち鮮魚」の出口さんから届く、放血神経締めを施したハタが主役。魚の質を高める的確な仕立てと徹底した温度・水分管理、繊細な火入れにより、そのおいしさを最大限まで引き出しています。

ソースはブールブランと渡り蟹のアメリケーヌという贅沢かつクラシカルな取り合わせ。久保田農園のハーブサラダやカボスペーストの酸味、香味が全体の重心を引き上げ、ワインもまた進みます。

春吉 リュニック・ラボ 肉料理

そして「Terroir(テロワール)」と名付けられたメインディッシュも格別。濵野シェフがロワールでシェフをしていた時代に作ったのがはじまりというこの料理は、ロワール地方の最高級食材・ラカン産の鳩、リンゴ、ジロール茸、ニンジンやスモモなど、土地の恵みがしっかりと息づいています。

日向備長炭の炭火焼きで仕上げた鳩の火入れは完璧。ロゼ色に輝く胸身はきめ細やかで、モモ身の歯触りはサクッと軽妙です。ほろ甘く、深く、それでいて濁りのないサルミソースにも惚れ惚れしました。

春吉 リュニック・ラボ 肉料理

この日のペアリング赤ワインは、なんとドメーヌ・デュジャックのシャンボール・ミュジニー(2022)で、このマリアージュはまさに至福。極薄のリンゴのコンポートのほのかな酸がデュジャックのエレガントさと結び付き、うっとりするような余韻を落としてくれます。

コースが進むごとにクラシカルさが薫り立ち、一皿ごとに上り詰めていく構成に感激した旨を伝えると、「コースは必ず最初にメインから考えています。そして、いかにクラシックをうまく盛り込むかを命題にしています」と濵野シェフ。

春吉 リュニック・ラボ 濱野シェフ

「2012年から2017年まで一つ星が続き、もう一つ壁を越えるためには何が足りないのかと悩んでいた時、パリで出会ったジャーナリストに“今の料理はほとんどがアッサンブラージュだ”と言われたんです。『素材重視で、重ねて寄せ集めただけでおいしさを重視している。でも、フランス料理ってそうじゃないよね』。そう言われてハッと我に返りました。先進的なものや革新的なものも良いけれど、守るべきものは守りたい。そこから、“クラシックを大切にしよう”と、原点に立ち返りました」。

春吉 リュニック・ラボ デザート

調理の様子、香りと共に料理やワインを味わい、時にシェフやソムリエの話に耳を傾け、ゲスト同士の会話にも花が咲き……気づけばコースは終幕。目の前にトリを飾るグランデセールが運ばれてきました。仏ヴァローナ社のホワイトチョコレートで作るドームに温かいパッションフルーツのソースをかけると、中から洋梨のコンポートやミルクジェラート、カシスのソースがお目見え。秋らしいあしらいにも心惹かれます。

春吉 リュニック・ラボ ミニャルディーズ

加えて、お重に入って登場する自家製のミニャルディーズも秋らしさと愛らしさ満点でした。食後のドリンクとして「マリアージュフレール」の紅茶を選べるのも嬉しいポイント。

ハレの日だからこそ手に入れたい
時を忘れる美食体験――

そうしてレストランを出る頃、時刻は21時を過ぎていました。あまりに楽しくて時を忘れていたけれど、3時間も経っていたなんて――。
そう驚きと感謝を伝えると、濵野シェフは笑顔でこう応えました。

「僕が一番提案したいのは、その“時間”です。フランスでは“おいしかった”という感想は二言目であって、最大の賛辞は“今日は良い時間を過ごせた”なんです。料理やサービスはアシスト役に過ぎません。実験的なことも自由に取り入れて、“最高の時間”を届けていきたいです」。

ここはまさに「唯一無二(L’Unique)の実験室(labo)」。現在、枠を開けている2カ月先まで予約はほぼ埋まってしまっているそうですが……この特等席はなんとしてもゲットしたいもの。オンライン予約ページをチェックして、ぜひ時を忘れる美食体験を!

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名

L’Unique labo(リュニック・ラボ)(店舗写真

ジャンル

  • フランス料理

住所

福岡市中央区春吉3-13-1(HOTEL IL PALAZZO敷地内)

電話番号

なし(WEBサイトからの完全予約制)

営業時間

12:00〜OS13:30/18:00〜OS19:30

定休日

不定

席数

  • カウンター8席

個室

なし

メニュー

Menu L'Unique(11品)27,500円、ブルゴーニュワイン中心のフルペアリング(4グラス)13,200円・ハーフペアリング(4グラス)7,700円、九州ワインペアリング(4グラス)9,900円、ノンアルコールペアリング(4グラス)7,700円 ※サービス料10%

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。

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