


2022年4月に読まれた記事ベスト10発表。1位は「豚骨王国・福岡のうまい醤油ラーメン5選」に決定!
記事検索
人気記事ランキング
2022年4月に読まれた記事ベスト10発表。1位は「豚骨王国・福岡のうまい醤油ラーメン5選」に決定!
〈博多駅直結の魅惑のグルメ〉博多駅地下の食堂街は地元の人気店が大集結!
〈居心地抜群の大衆酒場〉多彩なメニューとコスパの良さで世代を超えて愛される酒場
福岡の人気イタリアン「Cernia」、田主丸移転の真相
豚骨王国・福岡のうまい醤油ラーメン5選
ありえない集中度。いつのまにかそば屋が薬院に集まってきた
〈博多駅直結の魅惑のグルメ〉博多駅地下の食堂街は地元の人気店が大集結!
〈Made in KYUSHU 物語〉明太子屋さんが作る本気のめんたいパスタを食べてみた!
〈博多駅直結の魅惑のグルメ〉博多駅で買う、博多みやげの決定版
〈Made in KYUSHU 物語〉できたてめんたいと釜炊きご飯。究極の博多ランチ見つけました
極小パスタ屋から始まった 「アマム ダコタン」平子劇場のストーリー
〈コスパ抜群のご褒美ランチ〉味、ボリュームともに完全ノックアウト。予約必須の人気ランチ
〈博多駅直結の魅惑のグルメ〉博多駅地下の食堂街は地元の人気店が大集結!
福岡の人気イタリアン「Cernia」、田主丸移転の真相
〈2021〜2022年〉福岡最旬スイーツ手みやげ5選
ラーメンライターオススメの「絶対に食べるべき!穴場の博多豚骨ラーメン5選」
〈酒場ポテサラ巡り〉「鮨・酒・肴 杉玉」の「杉玉ポテトサラダ」
〈ラーメンライターおすすめの豚骨ラーメン〉天神・博多駅界隈で食べるべき豚骨ラーメン5選
記事検索
グランドメゾン presents 「ハレの日レストラン」【第15回】
公開日
ライター葉山巧
カメラマン平川雄一朗
小説・絵画・映画などの芸術作品は、触れる人の感情を揺さぶり、生きる意味や幸せに気づかせてくれます。「同じことが料理にも可能だろうか?」──そんな想いで自らの“作品”に挑み続けるのが「Restaurant Aréna」のオーナーシェフ、有馬亮さんです。かねてより評判の美味を味わいに、今宵西中洲へ足を向けました。
店舗より提供
ここは、フランスの星付きレストランやシャトーなどで研鑽を積んだ有馬さんが営むレストラン。1品ごとに物語性やテーマを持たせる10品のコースは県外でも知られ、「ミシュラン2019」で一ツ星、「ゴエ・ミ・ヨ2022」では3トックを獲得しています。
店内はほぼ白一色で、浮遊感のあるモダンなスペース。着席すると、期待のディナーの始まりです。在庫ワインは1,000銘柄以上もありますが、1品目にぴったりとの勧めもあり、1杯目はシャンパーニュを頼むことに。
その1品目とは、この店のシグネチャーディッシュ「ラムレザン」。スペイン産アーモンドの粉を使う自家製ビスキュイにフォアグラのアイスを挟んだもので、香ばしさと甘味と塩味が口の中で優雅に膨張。柔らかく立ち昇る幸福な陶酔は、かなりクセになりそうな魔性を秘めています。フランボワーズのエッセンスを振ったハーブや、カンボジアの秘境で採取された蜂蜜を口直しに置くというセンスにも唸りました。
続いて現れた「ラ・プスヴェール(緑の芽吹き)」は、草原の一部を切り取ったような鮮やかさ。野菜の出汁で温めたカブに、冷たいアスパラガスとハーブのサラダを合わせた温度差が魅力の一皿です。「地面を割って現れる春の生命力」というモチーフは微笑ましいだけでなく、この時期の野草の苦味やえぐみにはデトックス効果も含まれているとか。完食後の澄んだ余韻はそのせいでしょうか。
先の料理は“大地の上”でしたが、こちらは“大地の下”をモチーフにした「ラシーヌ・ブランシュ(白い根)」です。冬の間に土の中で育まれた素材を潜ませ、暖かな春の予感を表現しているそう。発酵させたゴボウ、ほっこりした里芋、トリュフなどを、西洋ワサビとホワイトアスパラガスのムースが包みます。軽やかでクリーミーなソース、素材の快い食感、野趣あふれる香りが奏でるのは力強い春の滋味。様々な楽器が鳴りながら、不協和音の一切ない透明な仕上がりが見事でした。
一品一品が創造的な輝きを放つ「Aréna」の料理は、粒揃いの作品を集めた短編小説集かベストアルバムのよう。料理のインスピレーションを絵画、音楽、哲学書などから得ることが多いという、有馬さんならではの感性・知性が伝わります。
「この仕事の面白さは、頭の中の理想の味を形にすること。それを正確に具現化できた瞬間の喜びは他では味わえないですね。もっとも没になる料理の方が多いのですが」と微笑む有馬さん。「でもそんな積み重ねの先に、人々の琴線に触れ、何十年経っても古びない料理を作れたらと思います」。
さて、次なる一皿は魚料理の「オンデュラシオン(さざ波)」。皿全体を春の海岸線に見立て、陸地部分に産卵前のマナガツオを配しています。パリッとした皮とレアな中身の対照的な食感。カルダモンとパセリの風味を3種の塩でまとめたソース。それらが織りなす重層的な味や香気は、どこか深い“旨味の森”に踏みこむような感覚でした。
これら一連の“作品集”は、春季限定の「アニョー・パイユ」で最高潮を迎えます。主役の食材は仏のリムーザン地方で育った臭みのない極上仔羊。焼きあげた後に藁で軽く燻した赤身と、スジ肉にポムパイユ(ジャガイモ=ポムを細く切って揚げ、藁=パイユに見立てる仏料理の技法)を巻いたもののペアで提供されます。
「香りはするのに藁は見えない赤身=見えない実像」と「見た目は藁なのに、その味や香りはしないポムパイユ=見えている虚像」という、哲学的テーマを感じながら味わうと、脳内の別な回路が開いていく気がしました。古典フレンチの美学も備えた、筆舌に尽くし難い秀作です。
この「アントワネット」も春季ならではの定番デセールで、無論あのフランス王妃にちなんだもの。彼女が故国・オーストリアから持ち込んだとされるクロワッサンを模した薄い生地に、チョコレートガナッシュとフレッシュのイチゴ、さらに木苺のエスプーマとバラのエスプーマを重ねた精妙な一作です。ホワイトチョコの輪っかは帽子のツバに見立てたものだとか。有馬さんいわく「フランス革命ばりの激しさで」全体をかき混ぜ平らげました。なんと優しく艶めいた甘さ。コースの幕切れとしてこれ以上のものはないでしょう。
「Aréna」のコースに流れるものを、あえて言葉にするなら「詩的」だと思います。五味五感を上品にくすぐる技巧は緻密にして大胆、かつアーティスティックで、それに驕らない親密さや温かさも好感触。少なくとも、ここでの滞在が非凡な体験になるのは確かでしょう。
最後にアドバイスを一つ。厨房では全工程を有馬さん一人で行うため、必ず3~4時間の余裕をもって訪れてください。そうする値打ちのある食事ですし、これは間違いなく“すぐに醒めてほしくない夢”の一つなのですから。
この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。
店舗名
Restaurant Aréna(アレナ)
ジャンル
住所
福岡市中央区西中洲10-3 N B.L.D 1F
電話番号
092-406-4437(前日までに要予約)
営業時間
18:00~OS22:00
定休日
不定
席数
個室
なし
メニュー
ディナーコース18,000円 ※サービス料込み
記事に関する諸注意
人気記事ランキング