年中食べたい博多の水炊き【3】

白濁スープの元祖。創業110年を超える博多名物「水だき」の老舗

公開日

最終更新日

ライター江月義憲

カメラマン濱田陽守

新三浦メイン

石城町

新三浦 博多本店

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博多の名物料理・水炊きには、2つの流派があります。コンソメのように透明に仕上げたスープと、長時間グツグツと炊いて白濁したスープ。その白濁スープの元祖が明治43年(1910年)に創業した「新三浦」といわれ、この店では「水だき」と呼んでいます。そんな博多のソウルフードともいえる味を求めて、久しぶりに三笠川沿いにある本店を訪れました。

「初代が考案した製法を今も忠実に守っています」というのは、5代目にあたる白井俊正さん。その作り方とは前日から丸鶏を半日以上炊いたスープにその日の朝締めた新鮮な鶏をさっと炊いた透明なスープを毎日「重ねる」ことによって、他の店には真似のできない深みのある味になるのです。毎日同じことの繰り返しを、110年以上続けるのは並大抵のことではありません。

窓から川沿いの風景を眺められる部屋を予約すると、仲居さんが迎えてくれました。一部屋に一人仲居さんが付いてくれるので、水だきの調理はすべておまかせです。鍋を火にかけてグツグツと炊くと、やがて部屋の中に鶏独特の匂いが立ちのぼってきます。丁寧にアクをすくってくれた後、鹿児島・小宝島の温泉塩をひとつまみ入れたスープをまず一杯。香りの中に鶏のくさみはまったくなく、濃厚ながらもあっさりとした後味。ス〜ッと身体に染み入るような滋味深さを感じます。

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新三浦04

鍋に入った鶏肉は骨付きのもも肉のみで、生後2ヵ月以内の雄鶏だけを使っています。皿に取り分けもらった肉に箸を入れると、すぐに骨から身がホロリとはがれる絶妙の煮上がり具合。自家製のポン酢は大分県産の有機栽培カボスに数種類の醤油をブレンドしたもので、スッキリとした生姜の絞り汁がアクセントになっています。さらに細かくみじん切りにされたコウトウネギが肉にまとわりつき、思わず「あ〜これこれ、この味」と声が出ました。これぞまさに博多のソウルフード、「水だき」の真味です!

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長く使い込まれた朱塗りの皿に盛られてくる野菜は白菜、椎茸、エノキ、ブロッコリーにチンゲン菜(冬場は春菊)で、豆腐と餅が添えられています。しばらく煮込むと白菜の芯やブロッコリーの花弁にまでしっかり鶏の出汁が染み込むと同時に、スープにも野菜の甘み、苦みが加わってさらに深みのある味になっていくのが分かります。こうして時間とともに変化を楽しめるのも、鍋料理の醍醐味ですね。

新三浦09

シメのご飯ものも、この店ならでは名物「スープご飯」。鍋に残ったスープを茶碗に軽くよそった白ご飯にかけて、サラッとお茶漬け感覚でいただきます。すでにこの段階でお腹一杯ですが、これなら別腹感覚でいけちゃいます。

新三浦10

メニューは昼、夜ともにコースのみの提供で、昼は鶏の湯引きや前菜などが付いたコースが4,400円から。夜は先付や八寸、手羽の唐揚げなどが付いたコースが7,150円から用意されています。

新三浦店内

平成17年の福岡西方沖地震で被災して建て直したという店舗の客室はすべて個室。可変式の間仕切りで2名から60名まで収容でき、普段づかいから会食や宴会まで様々な利用シーンに対応してくれます。御笠川沿いの水辺にあるシチュエーションも含め、来福客をもてなすにも最適です。

店舗名

新三浦 博多本店(店舗写真

ジャンル

  • 郷土料理

住所

福岡市博多区石城町21-12

電話番号

092-291-0821

定休日

日曜

席数

  • テーブル5席
  • 掘りごたつ70席

個室

2〜60名

メニュー

昼のコース4,400円〜、夜のコース7,150円〜(※サービス料10%別途)

喫煙について

喫煙可能スペース有り/屋外
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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