最近、居酒屋などで飲める熱燗の種類が増えた気がします。もっとも江戸時代は日本酒=燗酒が常識で、ある意味原点回帰かも。ともあれそんな動きを感じる福岡で、先駆けの一軒となったのが「かんすけ」です。オープン当初から熱燗を猛プッシュする人気の酒場で、それとよく合うガッツリ系のアテも充実。5年前からは価格が若干値頃な薬院店も営業しています。
こちらの本店は路地裏感たっぷりの高砂1丁目。玄関を開けると、大衆酒場のお手本のような飾らぬ空気が出迎えます。古い蔵を思わせる、土壁の温かみも良い味わい!
2011年に「かんすけ」を構えたのは守田信太朗さん。開業のきっかけは、ある宴会で熱燗を7合も飲んだことでした。「なのに不思議と翌朝悪酔いしておらず、熱燗ってこんなに気持ちよく飲める酒なんだなって」と振り返ります。「酒の旨みが花ひらく感じも大好き。あのときの感激を他の人にも伝えたくて、熱燗専門店を作ったんです」。
そんなわけで、酒のメニューはほぼ熱燗。“燗酒の聖地”山陰地方の銘柄を中心に、雑味の少ない「綺麗な日本酒」を選んでいるそうです。
さっそく守田さんの解説も参考に、選んだ日本酒がこの4種。(左から順に)1杯目は、甘み・酸・キレのバランスに優れた万能酒「日置桜/生酛玉榮」。どんな料理にも合う安定感に、守田さんも「さすが日置桜、燗酒界のキングです」と絶賛を惜しみません。
「竹鶴」は昔ながらの生酛造りを採用した広島の酒で、どっしり感の中にも澄んだ飲み口を感じます。紹興酒のような色ですが、実際に中華料理とも相性抜群とか。
鳥取の「辨天娘」は複雑な味わいが特徴で、守田さんいわく「良い意味で分かりにくい酒」。ジビエや苦味のある山菜など、噛むほどに味が出る料理と合いそうです。
最後の「玉櫻」は、飲んだ途端に豊かな香気がふわり。それでいて余韻は短いため、料理の味を邪魔しない理想的な食中酒でした。
※「辨天娘」は1合850円、他の生酛造り3銘柄は900円。
こうして久々に向き合う熱燗は、懐かしくて温かく、心に染みる癒しの味です。そんな陶酔を楽しんでいると、「熱燗の魅力はそれだけじゃないですよ」と守田さん。「酒の熱さが脂を溶かすので、肉料理でもサッパリと味わえるんです」。それもあって、ここでは熱燗を熱めの70℃で振る舞っています。
その特徴を確かめたくて、料理もコッテリ系中心で頼んでみました。最初の「スペアリブ」(小680円)は豚肉を酒粕に漬け込み、柔らかな肉質と香り高さを与えた一品。看板料理だけあってさすがのうまさです。とともに、豚の脂やオイリーなタレも熱燗効果で後口さらり。「ほらね?」という表情で、守田さんが微笑んでいました。
オイリーさにかけては「牛テールの塩焼」(1,500円)も譲りません。国産牛テールを圧力鍋に1時間入れ、シンプルに塩で焼き上げたものです。確かな弾力を持ちながら、ホロッとほぐれる繊維質の快い歯応えはヤミツキレベル! 野生味あるテールの脂と、仕上げのガーリックオイルの好アシストも見逃せません。
こちらは一番人気の「まぐろ四種刺身盛り」(1,400円)。右上から時計回りに、頬の炙り、目の裏のスジ肉、ネギトロ、カマの脳天と、なかなかマニアックな顔ぶれで魚好きのツボを突いてくれます。マグロらしい脂の乗り具合で、どのネタもトロッとした舌触り。これもまた、やっぱり熱燗が最高の友となるのでした。
最後は個人的に大好物の「まぐろカマ焼」(1,200円)でフィニッシュ。長浜からほぼ毎日届くというマグロの頭から取った素材は、ホクホク感もジューシーさも完璧でした。
これも熱燗の効能か、食後の気分は夢心地。そんな多幸感に包まれて、ふと「熱燗を冬場だけ飲むのはもったいない」と気付きました。それに応えて守田さんも「夏場も冷房で冷えた内臓を温めてくれる、体に優しい酒なんです。一年中楽しんでほしいですね」。ただし適度な酸味が食を促すので、くれぐれも食べ過ぎにご注意を(笑)。
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店舗名
かんすけ(店舗写真)
ジャンル
- 居酒屋
- 日本酒
住所
福岡市中央区高砂1-18-1
電話番号
営業時間
11:30~OS13:30/17:30~OS22:30
定休日
水曜
席数
- カウンター8席
- 掘りごたつ10席
個室
なし
メニュー
牛すじ大根600円、うきは大豆揚げ出汁豆腐580円、合鴨ロース500円、カキガーリックオイル漬680円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
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- ※OSはオーダーストップの略です。
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- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
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