福岡屈指のパティスリー、「ジャック」に新たなギフトスイーツ登場
大切な人に何かを贈りたいとき、手土産にもっていきたいとき。選ぶのが悩ましいほど魅力の品々があふれている福岡では、「あの人には、これ」「こんなときには、これ」というようにマイ贈り物リストをもっている人も多いでしょう。そんな方にもそうでない方にも間違いなくおすすめできる強力なギフトスイーツが、あの「ジャック」に新しく登場しました。
もはや「ジャック」は説明不要、全国にも名を馳せる福岡屈指のパティスリーです。1996年の創業から26年。オーナーシェフの大塚良成さんが、これまでの菓子職人人生を振り返り、思いを込めて生み出したのが、本記事の主役「フールセック缶」です。
フランス語の「フールセック」は「窯で乾燥させた」という意味で、いわゆるクッキーともいえるのですが、大塚さんによると、私たちが一般的に思うクッキーとは似て非なるものだといいます。「窯(オーブン)の余熱を利用して小さいお菓子を焼いたことを語源とするフールセックは、ショートニングは使わず、バターやナッツといった高品質で新鮮な材料を使うところにクッキーとの違いがあります」と大塚さん。「この世界に入ったときから、フールセックもパティシエの仕事の魅力の一つとして惹かれていました」と話します。
ご存じの方もいらっしゃるはず。実は「ジャック」では、かつてフールセック缶を販売していたことがあるんです。私もファンの1人であり、遠方の友人への手土産に、明太子でも博多ラーメンでもなくそのフールセック缶を何度か買っていっては、福岡のパティスリー自慢をした記憶が鮮明に残っています。2010年に大濠店のオープン、百貨店への出店準備が重なり多忙になったこと、鮮度を保つこと、またギフトのバリエーションを考慮し、缶から個別包装での販売へと切り替えられたという経緯があります。
そもそもフールセック缶は、大塚さんの修行先の1つ「オーボンヴュータン」の焼き菓子詰め合わせ「プティ・フール・セック」からインスパイアされて作ったものだそうです。そのフールセック缶の販売を終えても、「僕にとってフールセックの原点はやっぱり缶だなとずっと思っていて」と大塚さん。落ち着いたところでもう一度フールセック缶をやりたいと抱えていた積年の思いが、ついに今回果たされたのです。
缶のデザインはもちろん、中身のフールセックもすべて今回のために新しく考案されました。何度も試行錯誤を重ね、商品化するまでに5年ほどかかったと話します。その成果を、とくとご紹介します。(写真はサンプルのため、シートは実際の物とは異なります)
開けて思わず「うわ〜!」と声を上げてしまいました。中央の黄色の丸いお菓子がまず目に飛び込み、「可愛い!」「美味しそう!」と次々に言葉が出てきます。
今回のフールセック缶で大塚さんが表現しかったことは「40年を超えたパティシエ人生で、お世話になった人々への感謝の思い」、そして「自分の生き様」。5種類のフールセックのうち4種類は3人の恩師へのオマージュとしてそれぞれから学んだレシピをもとに自分流にアレンジしたもの、1種類はフランスでの思い出を表したものだといいます。
恩師へのオマージュを込めた1つ目は「クロッカン・ノア・エラブル」。
「オーボンヴュータン」河田シェフの「クロッカン・オ・ザマンド」をもとに考案した一口サイズの小さなお菓子。
メレンゲのサクッ、クルミのカリッの楽しい食感。カナダ産の上質なメープルシュガーの味と香りがふわっと口に広がります。
2つ目は「パレ・オ・レザン」。
「シェ・クァノ」加野シェフから学んだクラシックなお菓子を今風にアレンジ。口に運ぶその前に、ラム酒がふわっと香ります。薄く軽い生地に、1週間ラム酒に漬けたレーズンとラム酒のグラスアロー(糖衣)をトッピング。しっとりとした口当たりで口に馴染みます。
3つ目は「サブレ・シトロン」。
こちらも「オーボンヴュータン」河田シェフの「サブレ」のレシピをもとに、素材をレモンとして考案したものです。驚くほどのレモンの香りと酸味! フレッシュなレモン果汁と、すりおろした皮を生地に練り込んでいるそうですが、これほどレモンそのものの味を感じるスイーツは初めて。「フールセックは鮮度も重要」という言葉をまさに実感しました。
最後は「サブレ・オ・ショコラ」。
フランス、アルザスの「ジャック」バンヌワルトシェフへのオマージュになるこのお菓子には、フランス産の上質なチョコレートとゲランドの塩「フルール・ド・セル」が生地に練り込まれています。ザクザクっとした食感と、濃厚なチョコレートの味がなんとも印象的!
そして、思い出をテーマにした一品「フルール・ド・ミモザ」。
フランス「ジャック」での修業時代、3月初め頃の休日に家族で訪れたスイスのバーゼル。大塚さんはそこで、黄金色のミモザの花が街を埋め尽くし、また開かれていたカーニバルで道ゆく人々にミモザが配られている様子を目にしたそうです。「それはまるで幸せを分かち合っているかのように、見えました」。その思い出のミモザをイメージに。生地を小さく丸めて、黄色いカボチャのパウダーを纏わせています。3種のナッツが入った生地は軽やかで口溶けがよく、カボチャの風味とあいまって、まるで甘いポタージュスープを食べているようです。
ミモザの花言葉の1つに「感謝」があります。恩師たちへの感謝を込め、缶の中心に「フルール・ド・ミモザ」を据え、そして缶の蓋には、福岡で活躍するフランス刺繍家・荒津輝美さんによるミモザのブーケ柄の刺繍作品がデザインされました。「荒津さんにこの企画を相談すると、ミモザ缶のコンセプトに共感をいただき、荒津さん自ら図案を起こし、一針一針、丁寧に刺繍を施し、気持ちを込めた仕事をしてくださいました。それを、私の旧知の友人であるカメラマンの久高良治さんが陰影をつけながら撮影をする。まさに、職人の集まりで作った缶です。その皆さんへのリスペクトと感謝もここに込めています」。このようにして出来上がったミモザ缶。「このお菓子を手にした人から人へ、感謝の連鎖がつながっていくことを願っています」と大塚さんは語ります。
ミモザ缶は4月21日に、大濠店、大名店の両店にて販売開始されました。今回紹介した「フールセック5種缶」(2,980円)が先行発売となり、6月には「フールセック7種缶」(5,680円)の発売も予定しているそうです。
今回、ミモザ缶に込めたなみなみならぬ思いを語ってくださった大塚さん。最後は、「でも、これはあくまでも僕の中の思い出。お客様には、ただただ『かわいいね』『おいしいね』って感じていただくのが一番です」と照れくさそうに微笑みました。
お話を聞き終えたとき、私の脳裏にはあの人やあの人の喜ぶ顔が思い浮かび、このミモザ缶を贈りたいな、私も感謝の連鎖をつなげていきたいなとつくづくと感じました。でもまずは、自分へのご褒美用に1つ……。
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店舗名
Jacques(ジャック)大濠店(店舗写真)
ジャンル
- スイーツ
住所
福岡市中央区荒戸3-2-1
電話番号
営業時間
10:00〜12:30/13:40〜18:00
定休日
月・火曜
メニュー
フールセック5種缶2,980円、フールセック7種缶5,680円、ドゥミセックアソートメント2,880円〜、クグロフマロン3,700円、ジャック500円、ピスタアンタンス620円、マロンロワイヤル560円
喫煙について
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- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
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