多彩な料理から寿司まで楽しめる薬院六つ角の名酒場

大正通りと上人橋通りが交差する薬院六つ角周辺エリアは、新旧合わせて数多くの飲食店が集中する福岡市内でも屈指のグルメスポット。中でも六つ角から南東方面に斜めに下る通りには、角打ちで有名な「木庭酒店」、老舗もつ鍋屋の「幸」、とり皮の「粋恭」などの店が軒を連ねています。その中の一軒「仙八」は、この場所で20年以上にわたって提灯を掲げる魚料理が自慢の酒場です。

「一〇〇八」と描かれた白提灯横の暖簾をくぐると、店内は入ってすぐのカウンターと奧に小上がりだけのこぢんまりとした造り。大将の高尾正昭さん、喜代子さん夫婦と息子の大祐さんの３人で切り盛りするアットホームな雰囲気です。小倉の魚屋を皮切りに寿司屋で修業した後「仙八」の屋号を掲げて35年になる大将の魚の目利きと扱いに惚れこみ、多くの常連客が提灯を目指してやって来ます。

カウンターの上には昼過ぎから開店直前まで時間をかけて丁寧に仕込みをした大皿料理と、ネタケースの中に捌きたての新鮮な魚がズラリ。一品目の突き出しは、大皿料理の中から好きなものを２〜３品選べる嬉しいシステム。この日は「ゴーヤチャンプルー」「ナス味噌」「スパサラ」などが並んでいました。

ホワイトボードにビッシリと書き込まれたメニューから選んだのは、筆者が大好物の「アジフライ」（800円）です。刺身でも食べられる新鮮で大ぶりなアジを使い、箸を入れるとサクッと音がするほどの揚げ具合。ホクホクとした白身にパセリを刻み込んだ自家製タルタルソースをたっぷり付けて食べるのは何とも幸せな瞬間です。皮付きのまま揚げてあるのも好みで、ビールのお供にもピッタリですね！

「豚ロースステーキ」（900円）は固すぎず柔らかすぎず、モチッと歯に心地よい弾力がある絶妙な焼き加減。玉ネギにショウガを効かせた和風のソースがよく合い、一人でもペロリといけちゃうほどのうまさです。つけ合わせにたっぷりと添えられた生野菜と自家製ドレッシングがまたいい味で、家庭料理を思わせるホッとするような安心感のある一皿です。

そして、この店で絶対に食べておきたいのが握り寿司。その日の仕入れによって日替わりのネタが約20種類ほど揃い、大将が目の前で握ってくれます。注文は1貫250円からで、写真は左上から時計回りに中トロ（400円）、天然鯛（350円）、五島のサバ（350円）、水イカ（400円）。小ぶりなシャリに大きく引かれたネタの組合せはバランスが良く、食べ応えも充分。モッチリとして噛めば噛むほど旨味が味わえるのは、魚好きにはたまりません！

巻き物や押し寿司も人気で、特にキラキラと輝く新鮮なサバを使った「バッテラ」（1,300円）は見逃せない名物。わざわざ、お土産に買って帰るお客さんもいるほどです。

「田中六十五」や「喜多屋」など地元・福岡の銘酒をはじめ、季節ごとに全国の酒蔵から取り寄せる限定酒もあり、日本酒党も納得のラインアップ。一年を通じて好きな魚と酒をお手頃な値段で楽しめる、薬院六つ角の名酒場です。