本格フレンチから大人の洋食まで、行きつけにしたい鉄板焼きバル

　思えばシェフ加藤智之さんの料理に初めて出会ったのは、1995年ごろ天神にできたレストラン「KIHACHI」でした。クラシックなフレンチが主流だった当時の福岡で、「KIHACHI」の料理の新鮮さに感動した人も多かったのではないでしょうか。その後独立されて「TOM KOON」「Restaurant KATO」「ル・サンク」と、店名や場所、業態を変えつつも、いつもワ～ッと歓声があがる美しくて美味しい料理を食べさせてくれる加藤さん。福岡のフレンチ界を盛り上げてきたシェフのひとりです。

　この店はそんな加藤さんが切り盛りするカジュアルな“鉄板フレンチ”バル。目の前でシェフ自ら料理を作ってくれるなんて、なんと贅沢な！　一枚の鉄板からどんなメニューが生まれるのか楽しみ……。カウンターに陣取って、鉄板越しにあれこれ聞いちゃいます。

　まずは、ほぼ全員が注文するという「お試しセット」（1,480円）からスタート。10種から３種の料理と1杯のドリンクが選べます。私は「姫サザエのガーリックバター焼き」「叩き海老の揚げ春巻き」「自家製イワシのマリネ」をセレクト。加藤さんファンにとってはお馴染みのメニューです。

　どの料理もアラカルトで楽しめますが、「お試しセット」だと量が少なめでちょうど一人でいただくのにぴったり。これに合わせる食前酒も「スパークリングワイン」に「自家製サングリア」「樽詰め生ハイボール」など、魅力的なラインナップです。

　前菜は鉄板を使わない料理ばかりだったので、メインには鉄板メニューをと、シェフイチ押しの「豚足のホットパテ」（1,680円）をお願いしました。こちらのメニューは鉄板があるからこそ生まれたメニューだとか。豚足のテリーヌに粉をまぶして、香ばしく焼きあげます。ジュ～ッと音を立てながら、テリーヌから出る水分や脂と粉が混ざって餃子でいう羽のようなものができてきました。カリ、トロ、ジュワの見事なハーモニー！　添えられたマスタードやグリビッシュソース（オイル系のタルタルソース）との相性も抜群です。

　食欲に拍車がかかり「フォアグラのスパイシーハニーソース」（2,400円）もオーダー。香ばしく焼かれたフォアグラや玉ねぎの甘み、そしてスパイシーなハニーソースが口の中に広がり、赤ワインが進みます。ほかにも、加藤さんらしいフレンチのメニューが揃っていますが、お腹がすいているならご飯やパスタもオススメ。デミグラスソースの「オムライス」（1,400円）や懐かしの「スパゲティ ナポリタン」（1,400円）など、大人に食べて欲しい洋食メニューも充実しています。

　シメのデザートには、個人的に愛してやまない「ヌガー グラッセ」（800円）を「コーヒー」（500円）と一緒にいただきました。ナッツやドライフルーツがたっぷりのアイスデザートで、私はシーズン問わず食べますが、夏にピッタリ！
　カウンター越しに話も弾み、お腹もいっぱいに。ふらりと立ち寄って気軽に一杯もよし、がっつりごはんを食べるのにもよし、使い勝手がよく馴染みになりたい大人のバルです。