和食出身の店主による、現地の味を再現した多彩なスペイン料理

平尾駅から徒歩約5分の場所にある「Bar BaBa（バル ババ）」。店主の馬場勇輝さんが迎えてくれる、オープン以来多くの人に愛されて6年目を迎えるスペイン料理店にお邪魔しました。

ドアを開けると白を基調とした木の温もりを感じられる空間が広がっています。実は6月末に店の入口部分をリニューアルし、テラス席が増えるなど、ますますパワーアップしています。

壁には馬場さんが撮影したスペインの風景写真も飾られていて、本場を訪れたような気分に。500円からラインナップしているタパス10種類、アラカルト15種類など、お酒と一緒に気軽に味わえる料理が揃っていて、最後にパエージャをいただくという楽しみ方ができます。

まずいただいたのは「マッシュルームの生ハム詰めガーリック焼」（880円）。「スペインにこの料理の専門店があって、行列に並んで通い詰めて味を盗みました（笑）」と馬場さん。マッシュルームに、生ハム、ニンニク、タマネギ、マッシュルームの軸の部分を塩のみで味付けしたタネを詰め、オイルで焼いた超シンプルな一品なのですが、なんとも美味！　北海道産の肉厚なマッシュルームが、プリプリしていてとってもジューシー！　ヤミツキになる味なんです。

次はコロッケを注文。スペインのコロッケらしくサクサクの衣の中は、ポテトではなくトロトロのベシャメルソースがたっぷり。「生ハム入りクリームコロッケ」と「イカスミのクリームコロッケ」（各660円）の2種ありますが、写真のようにハーフ＆ハーフにしてもらうこともできます。
生ハム入りは、塩っけの塩梅が絶妙！　珍しくて印象的だったのがイカスミのコロッケ。美食の街・サンセバスチャンで馬場さんが衝撃を受けたという味を再現していて、イカスミのコクとソースの調和が最高です。小皿で添えられたアイオリソースも、マヨネーズ発祥地のメノルカ島で作り方を伝授してもらったという自信作。味変しながらアツアツを頬張りましょう。

毎年のように「世界パエリア選手権」に参加して研磨を重ねる「ガチのパエリア好き（笑）」という馬場さん。今回はイチオシの「イカスミのパエージャ」（２〜3人前3,630円）をオーダーしました。春に旬のコウイカを大量に仕入れて作るイカスミペーストを使った漆黒のパエージャはインパクト大！　「海沿いの街・バルセロナでは、よくパエージェにイカスミが使われているんです。この味をぜひ楽しんで欲しくて」。イカスミの独特の風味が鼻腔をくすぐり、一口味わうと驚くほど濃厚なコクが広がります。

スペインでは通常、パエージャを作る時に出汁をとらないのですが、馬場さんは和食店「久岡家」での経験を生かし、パエージャにオマール海老や甘エビ、白身魚、昆布、鰹節による出汁（ブイヤベース）を使うという、和の要素を取り入れています。これが味に深みを与えているんですね。本場の味をリスペクトしつつ、さらに美味しさを追求する馬場さんに脱帽です。

「パエージャは、私にとってお袋の味なんです」と馬場さん。お母様がラテンダンスをしていたことから、食卓にスペイン料理がよく登場していたそう。幼い頃からスペインに魅せられている馬場さんは、毎年3週間ほど休みをとってスペインをめぐり、まだ見ぬ味や人気店の味を求めて食べ飲み歩いているのだとか。今のスペインの空気を取り入れた料理と、「毎日二日酔いです」というほどお酒好きな馬場さんが選んだ自然派ワイン、スペインビール、自家製サングリアは相性抜群！　楽しい夜を約束してくれます。