自家製ハムやソーセージが美味なスパニッシュバル

薬院の凸版印刷の裏手にある「IBIZARTE」は、オープンして約20年。福岡のスペイン料理店を語るうえで外せない存在です。ワイン片手にタパスを選んでサク飲みができるカジュアルな雰囲気が魅力で、ディナーも16時からオープンしていて明るいうちから飲めちゃいます。

緑に包まれたロケーションも素敵な「IBIZARTE」。スペインの画家の作品など、アートを配した店内には、カウンターとテーブルが1つあり小ぢんまりとした雰囲気。テラスにテーブルが2つあり、そちらも気持ちが良くておすすめです。さらに階段を降りるとレストラン&バー「シロッコ」となっていて、週末を中心に不定期でライブやD Jイベントを開催しています。

「IBIZARTE」といえば、自家製の生ハムやソーセージ！　「うきはの山奥にある工房＆姉妹店『イビサスモークレストラン』で手作りしています」と教えてくれたのは店主の尾花一平さん。うきはの「リバーワイルド」から仕入れたみのう豚を使い、保存料や着色料を一切使わない昔ながらのスペイン式製法で手間ひまかけて作り続けています。

その味を楽しめるのが「イビサハムと半田ファームチーズの盛り合わせ」（1,800円）です。まるで生ハムのようにしっとり柔らかな「ロースハム」、うきはの山桜のチップで燻した香りがたまらない「スモークチキン」、そして「ハモンセラーノ」、「イベリコ豚のチョリソ」……どれも肉の旨味がしっかり出ていて、ビールやシェリー酒がグビグビ進んでしまうキケンな味です（笑）。

そして尾花さんの奥様のご実家である北海道「半田ファーム」のチーズは、熟成タイプでコクのある「ルーサン」、やわらかでクリーミーな「チモシー」など個性豊かなチーズを堪能できます。チーズをワインの搾りかすに漬け込んだ「清見ワイン粕漬け」は、ブドウの香りがふわっと広がる一品で、私のお気に入りのチーズになりました。

もちろんハムやソーセージは単品で購入もできます。生産量に限りがあるので品数が揃っていたらラッキー。今度、ホームパーティに誘われたら持って行こうかな。ギフトにしてもいいですね！

次に頼んだ「イビサのベーコンと季節の野菜サラダ」（1,000円）は、ズッキーニやベビーコーンなど、うきは産を中心にした夏野菜がてんこ盛り。さらに三枚肉を燻したベーコンや「半田ファーム」のチーズもたっぷりのっていて満足度大です。からしの実をワインや香辛料に1年以上漬け込んだ自家製粒マスタードの豊かな風味とプチプチ食感がいいアクセントになっています。

そしてお待ちかねの「魚介のパエリア」（２〜3人前2,600円）が登場です。有頭えびやムール貝がゴロゴロ入って見た目も華やか。仕上げにオーブンで焼き上げることで表面にもじっくり火を通しながら、米とチキンブイヨンの旨味を一体化させています。米の一粒一粒がしっかりとスープを吸った黄金色のパエリアは、素材の旨味が凝縮した濃厚な味わいで、こちらもワインが進んでしまいます。

「以前はコーススタイルだったのですが、数年前からもっと気軽に使ってもらえるよう、バル風のスタイルにしています」と尾花さん。実は尾花さんはイビサ島の出身！　先代であり画家のお父様が現在もイビサ島在住のため、尾花さんは毎年のようにイビサ島を訪れ、その時々のスペインのムードを料理で表現しているそうです。「スペインの活気や陽気を、店を通して感じてもらえたら」と気さくな笑顔を見せてくれました。