話題のラーメン店が始めた、予約制ガストロノミーコースを体験!
今年4月、福岡にまた一つ注目のラーメン店がデビューしました。昨年まで「La Maison de la Nature Goh(ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ)」に在籍したフレンチ職人、安藤寛さんが早良区野芥に構えた「めんとスープ」です。これまで磨いた技術をラーメンというフィールドでどこまで表現できるのか。その挑戦は「中華そば」と並ぶ定番「オマールエビラーメン」や、1~2種の日替わりラーメンとなってイノベーティブな愉しみを広げています。
そんな独自の個性が光る新星で、先ごろ興味深い動きをキャッチ! 7月末から小粋なアテだけで組み立てたガストロノミーコースを出しているというのです。シメのラーメンを含む8~9品構成の、その名も「あてとめんとスープコース」(7,000円・8,500円。2日前までに要予約)。早くも界隈で注目される“ラーメン専門店のコース料理”を探ろうと、「Goh」のオーナーシェフ・福山剛さんとともにお邪魔しました。
ここは内装も独特で、客席は6名まで座れるステンレステーブルが1卓きり。無機質な輝きが厨房を思わせますが、実際にコースの場合のみ、安藤さんがこのテーブルで料理の仕上げを行うのだそうです。これぞ究極のシェフズテーブルでは?
着席すると、さっそく“愛弟子”と笑顔で挨拶する福山さん。「Goh」がアジアのレストランベスト50に選出された時期に入社した安藤さんは、店が劇的な進化を遂げた「激動の5年」を共に歩んだ信頼厚い仲間だと言います。これに応えて安藤さんも「多忙な毎日でしたが、接客や経営面など本当に色々学ばせていただきました」。そんな“師匠”への感謝も込めた噂のコース、開幕です。
1品目はべルギー産根セロリ×北海道産ズワイガニ×フランスのキャビアの夏らしい爽やかな一皿。サッパリした余韻に胃袋の準備が整うと、続いて通常営業でも人気のスペシャリテ「トリュフ玉子」の登場です。
味玉に刺した注射器にはトリュフオイルが入っており、注入すると比類なき美味の塊になるアイデアものの秀作。しかも冬トリュフをたっぷり削り、焼きナスを合わせたコースならではの豪華版でした。「このトリュフオイルは『Goh』でも使っていたもの。僕なりの福山さんへのリスペクトです」との言葉に、福山さんも「嬉しいなぁ」と思わずニッコリ。
3品目はドライハーブでソテーしたズッキーニと、中トロを合わせた安藤さんバージョンのニース風サラダ。素材ごとの食感や温度差を計算した美味しさが絶妙で、金沢産の魚醤“いしる”ベースのソースも日仏の食文化を巧みにまとめていました。
フレンチ寄りのものが続いたあとは、中華に寄せたアワビとじゃがいもの春巻でホッと一息。これにカラスミやアワビの肝バターを合わせるセンスも心憎く、「おざなりなものは何一つ出さない」という安藤さんの志さえ伝わってきます。
そして、今回もっとも座を沸かせたのが鴨の燻製。なんと「燻製にもっと没頭できるように」と、まず安藤さんがスモークガンで僕たちにスモークを浴びせたのです。ラベンダーの香りの煙に包まれ頬張った鴨は、なるほどスモーキーさを増してるような? ムードに流されたのかもしれませんが(笑)、こんな遊び心あるサプライズならいつでも大歓迎です。
が、続いてオマール海老が供されると空気は一変。極上の弾力を生む完璧な火入れと、高級食材の贅沢な食味が今度は一同をうっとりとさせます。そこにカレー風味のオイルソースや桃も加わって、皿の上にはまろやかな辛味、酸味、清涼感がたっぷりと凝縮されていました。
このように、どのアテにも確かな存在感を宿らせる安藤さんの腕には一点の曇りもありません。「安藤くんはクラシックをしっかり作れる料理人なので、どれも安心して食べられますね」と福山さんも喜色満面。懐深い味ゆえに、どんな酒でも合いそうですが、迷ったら安藤さんにペアリングを任せるのも一興。ナチュール、日本酒、ジンなど酒類も豊富ですよ。
いよいよコースも終盤戦。メインを張る肉料理は佐賀牛のザブトンで、今日はタマネギと赤ワインのソース、ホットサンド、水キムチと共に──という手の込んだ3種類の料理での提供です。古典技法を生かした赤ワインソースも相性抜群ですが、僕的にはベシャメルを挟んだホットサンドのユニークなうまさが実に印象的でした。
それを平らげると、ついにシメのラーメンが! この日はカッペリーニを意識したという混ぜそばです。「製麺屋 慶史」に特注した縮れ麺に、オリーブオイルを加えた冷たい出汁が快く絡みました。やっぱり麺で締めるのってなんか良いよなぁ。直前にすりおろした香り高いカラスミは、関東の著名カラスミ職人の手になる希少品だとか。
本格フレンチの風格が潜む「めんとスープ」のコースは、こちらの期待を文句なく超えてくれました。「野芥じゃなければもっと通えるのに」という福山さんの恨み節(笑)にも納得。「お子様連れも大歓迎」という貸切にも向いた親密な空間、シェフが間近で調理するライヴ感、それに良い意味で作り込みすぎないアテの数々には、何度も足を運びたくなるフランクな魅力が詰まっていたのですから。
年末には新店舗「GohGan(ゴウガン)」オープンを控える福山さんも刺激を受けたようで「ここに負けない臨場感のある店にしますよ。安藤くんとも一緒にコラボイベントをしたいね」。すると安藤さんも「いつでも声掛けてください」と即快諾。こちらの師弟競演もお楽しみに!
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店舗名
めんとスープ Ando Noodle Gastronomic(店舗写真)
ジャンル
- フランス料理
- その他レストラン
- ラーメン
住所
福岡市早良区野芥3-14-17
電話番号
092-863-1755(コースは2日前までに要予約。1名から可。4名からは貸切対応)
営業時間
◎コース18:00〜20:30/20:30〜(2部制) ◎ラーメン12:00~15:00/18:00~OS20:30
定休日
木曜
席数
- テーブル6席
個室
なし
メニュー
コース/あてとめんとスープ7,000円、オマールブルーを加えたコース8,500円(各2日前までに要予約。他バースデーデザートなどのオプション追加可) ラーメン/中華そば900円、オマールエビラーメン1200円、オマールブルーラーメン時価 ※
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