肉を肴に酒を呑む酒場で知る、焼肉×燗酒の新しい世界

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ライター木下貴子

カメラマン木下貴子

清川

焼肉酒場かんすけ

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日本酒に合わせるなら、やっぱり魚介! さて、この考えは常識でしょうか?
答えは、否。もちろん日本酒×魚介の相性は言わずもがなではありますが、その固定概念を覆させるお店が誕生しました。清川のロータリー交差点からやや南側にできた「焼肉酒場かんすけ」です。

店名にピンときた読者も少なくないでしょう。そう、以前UMAGAでご紹介した、燗酒を軸にお酒と料理を楽しめる人気居酒屋「かんすけ」の姉妹店なのです。

お店は1階がカウンター席とテーブル席、2階がテーブル席です。カウンターでは一人焼肉を楽しむお客が多く、また深夜3時まで営業しているので2軒目、3軒目として利用するお客も多いようです。

お酒は「かんすけ」のコンセプトを継承し、こちらでも燗酒を推奨しています。焼肉ってビールやハイボールなど炭酸系を合わせるイメージがありますが、なぜ故、燗酒×焼肉のお店にしたのでしょう。店長の久冨耕平さんに聞くと、「もともと僕が、焼肉屋で働いていたことがきっかけですね」と答えてくれました。

久冨さんと「かんすけ」のオーナー・守田信太郎さんは旧知の間柄。「4〜5年ほど前から、燗酒と焼肉は絶対に合うからそんな酒場を開きたいねって話をしていました。コロナ禍で飲食業界全体が厳しくなり、僕もこの先どうすべきかと考えていたタイミングで守田さんから声がかかって実現したんです」。

いわゆる焼肉屋は食事メインでがっつり系のメニューが主体になりますが、ここはあくまでも酒場であるため、つまみとしてちょこちょこ焼肉が楽しめるメニュー構成になっています。

前菜的に何かつまみたいなと見ていて、目に止まったのが「ホルモン刺」の文字。「ひと手間かけた味を、ぜひお試しください」と久冨さんのおすすめもあり、即注文しました。

単品もありますが、せっかくならと「ホルモン刺 三種盛り」(980円)を選びました。左からガツ刺、白センマイ刺し、ミノ刺です。丁寧に下処理されていて、どれもツヤツヤ。センマイに至ってはあの黒い薄皮を剥ぐという、さらにもうひと手間がかけられています。

ホルモン刺はすべてポン酢でいただきます。ガツは下味にゴマ油が使われてあり風味よく、噛むほどにほんのりした甘さが口に広がります。また、白センマイは薄皮一枚の差でこんなに上品な味になるのか、との驚きが。そして、ミノはフグ刺のような弾力と旨味を楽しめます。どれもホルモン特有の臭みをまったく感じないのですが、その秘訣は前述の下処理に加え、低温調理が施されているから。ホルモンが苦手という方にもぜひ食べてもらいたい一皿です。

さてビール好きの私ですが、ここはお店のコンセプトに倣って1杯目から燗酒を注文しました。ホルモン刺のさっぱりした甘みを燗酒がまろやかに包みこんでくれ、なるほどよく合います。が、ここまではまだ想定内。本日のメインディッシュ、焼肉へと進みます。

焼肉も単品がありますが、いろいろ食べたくて「肉ちょこちょこ盛り」(1,680円・写真は2人前)を頼みました。カルビ、ロース、イチボの定番3種類、ほか仕入れで替わる赤身肉3種類という計6種類のお肉を一度に楽しめる一皿です。
出された瞬間、「おお!」と声がでました。見た目からよいお肉というのがわかります。

タレは久冨さんがお酒に合う焼肉をイメージたもので「あっさりタレ」と「こってりタレ」の2種類があります。まず、最初に焼けたロースに塩を少しかけ、昆布出汁がベースの「あっさりタレ」にくぐらせてパクリ。甘みも旨味も、エレガントな美味しさです。
すかさず、燗酒を含んでみると……思わず目を見張ってしまいました。お肉の美味しさをお酒が喉まで届けてくれ、ごくりと飲み込んだ後、口の中が一旦リセットされたような心地よさを感じたのです。つまり、お酒の温かさが脂を溶かして後味さっぱり、旨味の余韻だけが残るということでしょうか。こちらの反応を見ながら、「おっしゃるとおりです」と久冨さんは笑顔を向けます。ほかのお肉も文句なしの味わいです。

久冨さんはこのお店を開くまでに食肉卸店で半年ほど修行され、捌き方、仕入れ値、人気の部位などいろいろ勉強されたそう。「塊肉を仕入れて自分で解体するので、仕入れ先にはその手間が省ける分、値段を下げるのではなく上質なお肉を入れてもらうようお願いしているんです」。扱うのは和牛のみ。このクオリティでこの値段は、間違いなくハイコスパです。

ほろ酔い気分になったところで、シメに「熱々テールクッパ」(880円)を注文。いくら熱々といってもこれは熱すぎるでしょ、と突っ込みたくなるほどのグツグツ具合で出てきました。

6〜7時間かけて炊いたテールスープに昆布出汁と塩のみで味付けしたクッパは、軽やかなのにコク深く、身体にジンと染み渡ります。そして、テールがこれでもか!というぐらいゴロゴロっと入っているんです。「なにしろ酒場ですから」と久冨さん。シメのつもりだったのに、ここでまた燗酒をもう一杯……。これまた合うし、後味も心地よいし、再びお酒とお肉の無限ループに陥ってしまいそう。

初訪問の本日は、欲張って盛り合わせでいろいろ食べてしまいましたが、お店ではこんなお酒とお肉のペアリングも提案していました。次回は、これらを試したい!

焼肉には炭酸系のお酒派がほとんどでしょうけど、ここではそれをぐっと我慢して、ぜひ燗酒でスタートしてみてください。焼肉とお酒の世界が広がることを約束します。

店舗名

焼肉酒場かんすけ(店舗写真

ジャンル

  • 焼肉・ホルモン焼き
  • 日本酒

住所

福岡市中央区清川3-31-3

電話番号

092-791-8383

営業時間

18:00〜OS翌2:00

定休日

木曜

席数

  • カウンター5席
  • テーブル24席

個室

なし

メニュー

肉ちょこちょこ盛り1,680円、ホルモンちょこちょこ盛り880円、両方ちょこちょこ盛り1,280円、ネギ塩タン980円、赤身780円、シマ腸580円、さっぱり酢もつセロリ450円、ホルモン刺 三種盛り980円、ガツ刺580円、焼肉屋のアヒージョ680円、濃厚テールラーメン980円、熱々テールクッパ880円

喫煙について

店舗内喫煙可(分煙:1階禁煙・2階喫煙可)
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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