料理と切っても切れない関係の器。お気に入りの器があるだけで、料理をすることや誰かをもてなすことがより一層楽しくなるものです。作家ものや民芸、アンティーク、世界各国の器まで、収納場所に困るほど器を集めてしまうライターの森脇美奈さんが、こだわりのセレクトが光るお店を紹介していきます。
福岡の器のお店といえば、こちらが頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。1956年に早良区飯倉で創業し、67年もの歴史をもつ「しょうざんどう」です。飯倉と高宮に店舗があり、今回は西鉄高宮駅の近くにある高宮店におじゃましました。
器に興味を持った20年近く前から、仕事やプライベートで足を運んできた「しょうざんどう 高宮店」。初めて訪れたのは若い頃だったので、ギャラリーのような店構えに少し緊張しながら扉を開けたのですが、とても快く対応してくださったことを覚えています。いまも変わらず店内にはおもてなしの器から普段使いの器まで、さまざまなアイテムが素敵なコーディネートで並んでいます。さりげなく飾られた季節の植物も心を和ませてくれますね。
創業当初は、主に漆器を扱っていましたが、時代の流れに合わせて陶器や磁器、ガラスなどを取り入れ、現在はテーブルの上を楽しむためのものがセレクトされています。結婚後に携るようになった代表の有光利恵さんは、「若い頃は漆器のよさがわからなかったのよ」と言いながらも、実際に使うことでその価値を感じられるようになったそうです。
高宮店のオープンを検討していた約35年前は、素敵な器に料理を盛り付けた料理本が流行し、人々が器に興味を持ち始めていた頃。そこで、有光さんは器選びを楽しめる店づくりをしようと全国の作家を訪ね、器作りへの情熱や人柄を感じ、少しずつ取り扱う作家を増やしていったそうです。「いい器は使うほどに魅力が増してくるんですよ。自分自身も気に入って使うことで、作家さんとのお付き合いも深まっていきます」と有光さん。現在は、全国はもとより海外も含め50~60名の作家作品が紹介されています。
店内を見渡すと、幅広いテイストの作品があることに気づきます。シンプルなデザインや装飾があるもの、カラフルなものやモノトーン、エレガントなものやポップなものなどなど、バリエーションがとても豊かです。作家も熟練から若手まで扱われているので、さまざまな年代や好みの方の目に留まるものがありそうですね。
有光さんがいま注目しているのは木の器。軽くて扱いやすく、使っていくうちに味わいが増す木の器は、最近作家も増えているそうです。すでに店頭に並んでいるものもありますが、これからのラインナップも楽しみですね。また、こちらのお店のルーツである漆器の器も、手軽な価格のものから高価なものまでが揃っています。
そして、まるで現代アート作品のように個性溢れる器も。「こういうお皿は見ても使っても楽しくなるでしょう」と有光さん。どうしても料理を引き立てるシンプルなものに目が行きがちな私ですが、器自体の存在感を楽しむことも教えていただいた気がします。
さて、今回も私が気になった器を紹介します。まずは、石川県金沢市に工房をもつ奥の麻衣子さんの漆器です。左から「花丸椀」(7,700円)、「花ぐい呑み」(各4,180円)。お皿ではよく見かける輪花のデザインも漆器では新鮮に感じます。木地作りから漆仕上げまですべての工程を自身で手がける奥のさん。長く使い込み、傷んだ時には修理もお願いできるそうなので安心して使えますね。9/29(金)~10/5(木)には展示会が予定されていて、さまざま漆器が並びます。脚付のアイスクリームカップなどもあるそうで、聞いているだけでワクワクします。
次は兵庫県丹波市に窯を構える大杉康伸さんの作品です。手前から「粉引台皿」(5,500円)、「スープカップ」(2,750円)。シンプルなデザインのなかに豊かな表情があり、どんな料理と合わせるか想像力を膨らませてくれます。特に台皿は何を載せても絵になりそう。こちらも10/27(金)~11/12(日)に展示会が予定されていて、多くの作品を見ることができるので楽しみです。
「しょうざんどう」では作家へ別注したオリジナル商品も多く、佐賀市富士町の川本太郎さんの白いお皿(5,500円)もそのひとつ。元のお皿はもう少しサイズが小さく、厚みがありましたが、写真のように小皿などと組み合わせても使えるよう大きめに、そして軽く仕上げてもらったそうです。リムの装飾が華やぎを添えるお皿は和にも洋にも合いそうです。
長い歴史がありながら、現代の流れを取り入れつつ新しい挑戦も忘れない「しょうざんどう」。そういった柔軟性が、長く続き愛される理由なのだろうと改めて感じました。
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店舗名
しょうざんどう 高宮店(店舗写真)
ジャンル
- 物販店
住所
福岡県福岡市南区高宮3-2-24 パーソナル高宮1F
電話番号
営業時間
11:00~18:30
定休日
木曜、第3水曜
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- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
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- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
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