魚料理の可能性を広げてくれる和食店が大橋にオープン

お店を切り盛りするのは、店主の桝本修平さん。西中洲の和食店やホテルオークラ福岡で長年経験を積んだ料理人です。「ゆっくりと食事を楽しんでほしい」との思いから、一人でもサービスが行き届きやすいようにカウンターとテーブル2卓という、あえてこぢんまりとした空間を意識したそうです。厨房との距離が近いカウンターは、気のいい店主と会話を楽しめる“ソロ活”にぴったりな場所だなと感じました。

お客のペースでじっくりと味わえるようにコースを主体としているのも、「自分の手の行き届く範囲で確実なサービスをしたい」という観点から。
コースは、4800円と6800円というグレード違いのほか、4300円のお酒のアテをメインに構成するコースも用意されています。繊細に盛り付けされた八寸をはじめ、丁寧にダシを取った吸い物、刺身など、季節感を意識した一品を存分に楽しめる内容です。

写真の八寸は、一皿で季節感を表現。この日は旬の牡蠣を中心に、秋の訪れを目と舌で楽しめるような内容に。一つ一つのしっかりとした味つけながら、全体にまとまりを感じる食べ心地でした。

また、丁寧に取った出汁が自慢の吸物「帆立湯葉真丈」（600円）は、真丈の優しい味わいとほどけるような食感がたまらない一品。コースの中盤でお腹を落ち着けつつ、後半に向けて体制を整えてくれる頼もしい一杯ですね。

もちろんアラカルトもあるから、ふらりと立ち寄るのもあり。まず押さえておきたいのが、桝本さんが最もこだわっているという魚料理です。「独自のルートで、新鮮な魚を仕入れていますし、魚には妥協したくないですね」と桝本さん。

「御造里盛合せ」（1人前1200円　※写真は2人前）をはじめ、その時の旬の魚を、刺身、焼き物、煮物など、魚種に合った調理法で提供しています。その魚を中心に、一品料理や吸い物、肉料理、シメのご飯ものが、バランスよく脇を固めています。
これ以外にも、コースで出される八寸やメイン料理も単品での注文が可能。取材したこの日に完成したという、「海鮮と海老芋のトマト味噌鍋」はコースの中の料理ですが要望があればアラカルトでも提供してくれます。

魚の骨を使ってじっくりと煮込んだ出汁を活用し、トマトと味噌で奥行きのある味わいを表現した、なんとも滋味深い一品。スープがしっかりと染みた海老芋の優しい食べ心地と海鮮の旨味もしっかりと堪能できる、桝本さんの自信作。これはもう、日本酒か焼酎が恋しくなりますね〜。
メイン料理で食すのもよいのですが、食事を十分に楽しんだ胃袋を優しく包み込んでくれる、シメとしても味わいたい一品です。

ランチ営業もやっていて、ミニコースのような御膳（1300円・2500円　※ごはん、味噌汁、デザート付き）、海鮮丼（1300円）という3種類をラインナップ。隠れ家のようなお店だから、時間に追われずゆっくりとランチを楽しみたい人にもおすすめしたいですね。

「調理を一人でやっている分、食材やサービスにはできるだけコストを還元できるように、これからもとことんこだわっていきたいですね」と桝本さん。和食の基本を大事にした素直な料理はもちろん、トマト味噌鍋のようにオリジナリティを表現した料理にまで、今後のメニュー展開にも期待が高まるばかりです。