グランドメゾン presents 「ハレの日レストラン」【第62回】

フランス帰りのシェフが披露する、斬新で独創的な“福岡料理”

公開日

最終更新日

ライター葉山巧

カメラマン平川雄一朗

3104アスパラ

六本松

3104(サントス)Fukuoka

  • x
  • LINE
  • お気に入りに登録する

食材が「ほぼ九州産」という店は昨今珍しくありません。けれど、それが「福岡産」になると(高級店なら尚のこと)数は一気に減るでしょう。
だからこそ「福岡産」を堂々掲げ、今春オープンした「3104 Fukuoka」は気になる存在でした。それが本当なら、このレストランの登場は“福岡LOVE”なグルマンには大事件なのですから。

3104外観
3104店内

所在地は、裁判所横の静かな住宅街。外から半地下の店内を覗くと、隠れ家風の洒脱な空間が見えました。客席はモダン&シンプルで、窓際のハーブ畑とコンクリートの天井が温かいコントラストを描いています。広めのオープンキッチンと9席のカウンターもスタイリッシュ。テーブル席もありますが、こちらはカフェタイムのみの利用です。

3104店主

着席すると、宗像出身のオーナーシェフ・聡司さん(写真左)が迎えてくれました。20歳からフランスに12年滞在し、数々の星付きレストランで腕を磨いた37歳。「店名は、フランス時代の僕の愛称です。あちらの人には“サトシ”が発音しにくいようで」と微笑みます。
帰国後は東京の人気店でシェフを務めますが、あるとき福岡に戻ろうと決心。東京で知り合ったパティシエの大地さん(写真右)を誘い、「3104」を構えたと言います。

3104メニュー

「ある時期、福岡と東京を往復していた頃、徐々にこの土地の魅力に惹かれました」と聡司さん。「熱い生産者が素敵な食材を送りだす福岡で、新たに勝負したいと思ったんです。郷土料理を自分なりにアップデートしたり、生産者さんのストーリーも語れる店を目指してます」
その情熱を示すのが、席に置かれた1枚のペーパー。表には今宵の料理の食材名、裏にはその産地と生産者の名がびっしり書かれています。ジビエ、果物、オリーブオイルに醤油、酒……これほど多くを福岡産で賄えるとは驚きでした。「他にもここに載ってない食材がありますよ」との言葉に二度びっくり。このペーパーは生産者の汗の結晶であり、それに敬意を払う聡司さんとの交流記録なのです。

3104アスパラ

そんな<メイド・イン・福岡>を突き詰めたディナーコース(13,200円)は13~14品で構成。この日はアミューズ4品、前菜3品、魚、肉、シメの一品、デザート2品、小菓子、ドリンクという内容です。聡司さんの語りも期待通りの楽しさで、朝倉産ウイスキーで香り付けした豚骨スープや、卵の殻を器にしたニンジンのポタージュなど、次々と明かされるレシピやトリビアに興味が尽きません。

また、愛らしく美麗なビジュアルも“聡司料理”の大きな特長。田川産紫アスパラの前菜はその一つで、自宅の農園で採れたハーブや花々の香りも艶やかでした。「茹でる前は紫色なんです」と調理前のアスパラを見せるなど、客と生産者を繋ぐ気遣いも好印象です。

3104鹿肉
3104豚骨ラーメン

ジビエ好きなら感涙必至の肉料理も見事でした。今宵は聡司さんが「天才」と仰ぐ宮若市の猟師が仕留めた鹿で、極上の歯応えがなんとも鮮烈。周りに添えた鹿の生ハム・ベーコン・サラミも上出来で、なんとこれらは聡司さんのお手製とか。フランスの食肉加工場で学んだ技で、こうしたシャルキュトリーを常時10種は作っているそうです。

続くシメの一品は、最近の定番だという豚骨ラーメン。うきは市「リバーワイルド」の豚バラ肉や、生クリームなどで仕立てる特製スープが絶品で、上品な野趣を秘めた日仏融合の傑作です。 細切りじゃがいもを使ったバリカタ麺もユニークでした。

3104デザート

ラストのデザート2品は、聡司さんが信頼を置く大地さんの独壇場です。1品目のデザートは、飴のプレートとフルーツの間に挟んだクリームが秀逸。大牟田の「オーム乳業」製サワークリームとマスカルポーネも加えてありました。2品目の八女煎茶のスフレ共々、文句なしのスイーツです。

こうしてすべての食事が終わり、最後に残ったのは「丸ごと福岡を味わった!」という満足感。この余韻はちょっと他になく、しかも料理は日々進化中というから楽しみです。なにしろ暇さえあれば生産者の手伝いに行き、山で山菜を摘んだり宗像の海水で塩を作ったり、果ては狩猟免許まで取るエネルギッシュな聡司さん。こうした経験に磨かれた、無類の“福岡料理”は人々にどんなインパクトを与えるのでしょう。
「先のペーパーにも書いていますが、“感謝と愛を込めて”──これが僕のモチベーションです。生産者さんやお客様、店に関わるすべての方が幸せになれる場所を作りたいですね」。例えるならば、それは食と人を心地よく結ぶラボ(実験室)。無性に応援したくなる店が、また一軒増えました。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名

3104(サントス)Fukuoka(店舗写真

ジャンル

  • フランス料理

住所

福岡市中央区谷1-12-35 ザ・ガーデン1F

電話番号

070-8515-3104 完全予約制

営業時間

ランチ12:00か13:00の一斉スタート/カフェタイム14:30〜17:00/ディナー18:00か20:30の一斉スタート

定休日

水曜

席数

  • カウンター9席
  • テーブル12席

個室

なし

メニュー

ランチコース/6,600円・ペアリングコース12,100円、ディナーコース/13,200円・20,000円、ペアリングコース24,200円・35,500円 サービス料10%

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
デビ高橋の肉まみれ 11/3(日)~11/4(月)

人気記事ランキング

  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
  • ワンタップでUMAGAにアクセス!
  • メルマガ会員募集