九州最大のシェアキッチンに飲食のプロと潜入！

EC販売やデリバリー、テイクアウトサービスの需要が高まると同時に注目を集めている「シェアキッチン」。一つの厨房施設を複数のオーナーでシェアし、料理を提供できる施設のことですが……。そのメリットや設備、特徴とは？　11月より入居を開始した「エコア天神キッチン」に潜入し、気になるサービスをチェックしてきました。

しかし、私一人では心もとない……。そこで今回は、今泉や中洲の「Bar Vita（バールヴィータ）に加え、福岡市内でベーカリーカフェなど5店舗を展開する「株式会社アンセストラルK」の樋田馨嗣郎社長（写真左端）を助っ人に迎えて潜入することに！

「エコア天神キッチン」は、ガスや電気の供給・販売を行う「株式会社エコア」と、東京や京都でシェアキッチン事業を手掛ける「株式会社BeChef」がタッグを組んで生まれたシェアキッチン。株式会社エコアの岡本臣央さんと中村梓さん（写真中央）、株式会社BeChefのCEO・戸邊将文（写真右端）さんにもお越しいただき、ズバッと疑問に答えていただきました。

まずは、中村さんより「エコア天神キッチン」の契約システムと特徴をご紹介。わかりやすく箇条書きにまとめてみました。

「飲食店を一から開業する際、一番のネックとなるのが初期コスト。家賃や厨房機器の導入費を抑えられるのは、シェアキッチンの大きなメリットですね。それに加え、ガス・電気代といった日々の運用コストを抑えられるのもいいですね」と樋田さん。

「エコア天神キッチン」は、デリバリー＆テイクアウトに特化しているのも特徴。「韓国屋台フードをはじめ、揚げ物を看板商品に掲げる店舗が多いことから5区画それぞれにフライヤーを設け、コンセントの数も従来より増やしました。受け渡しがスムーズにできるレイアウト・動線にもこだわっています」と、BeChefの戸邊さん。その他、コンロ・ガス炊飯器も各スペースに設置されています。

包装資材を収納する棚や、料理を盛り込む作業台にもなる業務用台下冷蔵庫も各スペースに完備。縦型冷凍庫やスチームコンベクション1台、コンベクションオーブン2台も設置されており、入居者は最新の厨房設備を自由に使うことができます。洗い場の蛇口はセンサーで動く自動水栓であるなど、衛生面への配慮も行き届いています。

実店舗としての実態を持たず、デリバリーを専門とする飲食店「ゴーストレストラン」の場合、“どんなところで作られているのか？衛生的であるか？”は、いち消費者として気になるポイント。設備の整ったシェアキッチンを利用することは、お客さんの信頼にも繋がりそうですね。

「腕が良く、美味しい料理が作れるのに、店舗の運⽤コストや原価率の計算といった経営⾯に⾏き詰まり失敗してしまうケースを数多く⾒てきました。そんな料理⼈の⽅々の⼒になり、経営⾯でのサポートをしたいと⽴ち上げたサービスです。⼩さく初めて、経営感覚を養いながら⼤きく展開していく⽀援をするのが私たちの仕事。フードビジネスのスタートアップの地として使ってもらえたらと考えています」（⼾邊さん）

「確かに、こういった施設やサービスを利⽤してスタートアップし、販売実績を作るのは賢いと思います。実績があった⽅が融資も受けやすいですし。そして今後は、すでに飲⾷店を経営している⼈も活⽤できるようなEC販売に特化した施設や、各スペースをカスタムできる施設もできると嬉しいなぁ。急速冷凍機や真空包装機、最新の機器が使⽤できる……となれば、もっと展開が広がりそうですね」（樋⽥さん）

「そうですね。また、設備利⽤や経営に関することだけでなく、空間をシェアする⼈同⼠で交流・繋がりが⽣まれるのもメリットです。⼊居者同⼠でコラボメニューを開発する事例もあるんですよ。そして、樋⽥さんのおっしゃるように、今後店舗展開をするにあたり、急速冷凍機や真空調理機など⼊居者の細かいニーズに応えられるようなシェアキッチンに進化させていく事を考えています」（⼾邊さん）