グランドメゾン presents 「ハレの日レストラン」【第8回】

西中洲で出会った、和テイストの優しいイタリアン

公開日

最終更新日

ライター葉山 巧

カメラマン平川雄一朗

鶴ノ荘

西中洲

鶴ノ荘

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初めて「鶴ノ荘」という屋号を聞いた時、その風雅な響きに「大人の街=西中洲にぴったりだな」と思ったものです。ただ一つ予想と違ったのは、そこが和食店ではなくリストランテであることでした。

鶴ノ荘

その店のドアは、石畳が細く延びた小路の奥にあります。まさに非日常への入口といった趣で、なかなか心ときめくアプローチ。ここは3年前まで「GRAZIA(グラーツィア)」という秀抜なイタリアンが入っていた場所ですが、装い新たな「鶴ノ荘」ではどんな美味が待つのでしょうか。

鶴ノ荘

カウンターと半個室状のテーブル席を完備した店内は「GRAZIA」時代とほぼ同じ。懐かしいレイアウトを眺めていると、端正なスーツ姿の男性が「お久しぶりです」と声をかけてきました。その人こそ、かつてイタリアンの名店「Sala Carina(サーラ・カリーナ)」でマネージャーとソムリエを担当していた原田勲さんでした。
再会を喜びつつ話を聞くと、オーナーとして2018年にこの店を構え、「GRAZIA」のオーナーシェフだった田原聖凡さんをそのまま料理長に迎えたとのこと。「料理も前より進化してますよ」と微笑む原田さん。お二人の実力は周知なだけに、強力タッグの結成に期待値は跳ね上がるばかりです。

鶴ノ荘

今宵のチョイスは全10品の11,000円コース。まずは味噌、魚醤など和の素材を生かした前菜に「おや?」。以前は古典寄りだった田原さんの料理ですが、和とフュージョンすることで料理に奥行きや広がりが増していたのです。これが原田さんの言う「進化」なのでしょう。とにかく1品1品に隙がなく、忘れ難い美味のオンパレードでした。

「GRAZIA」で絶品だったパスタも健在。この日はトマトペーストやフュメ・ド・ポワソンなどのソースで和えた、南イタリアのショートパスタ“トルーチェリ”が供されました。厳選した食材と調味料から生まれる、包容力に満ちた旨味がたまりません。合わせた中トロがうまさの中にもゴージャス感を添えています。

鶴ノ荘

モン・サン・ミシェルのムール貝を添えた、魚料理の完成度も出色です。素材に用いたアラは芯温が50℃になるまで真空調理し、心地よく歯が食い込む弾力を醸成。そのうまさを、サフランや発酵バターなどが香る濃厚ソースがさらに上書きします。“引き算の料理”も良いけれど、このように卓越した“足し算の料理”には抗えない無類の贅沢がある。あらためてそんなことを思う一皿でした。

鶴ノ荘

肉料理は嘉麻市の赤崎牛イチボのロースト。低温調理でベストな食感を得た極上肉は、これまた素晴らしいソース(フォン・ド・ボーと名古屋コーチンの出汁を煮詰め、マスタード、粒マスタード、ニンニクオイルを合わせて作る)をまとって完璧の域に達します。豊かな旨味と歯応えは快楽そのもので、これは今年食べた肉料理でもベスト級の美味しさ!

鶴ノ荘

珠のように輝くデザートは、スープ、ジェラート、コンポートなど5通りの調理法で青森産リンゴを味わわせるデクリネゾンで供されました。これも手数をかけた労作で、一口ごとに異なる美味が波のように押し寄せる体験に圧倒! 1個のリンゴにこれだけの表情があるのかと、食材が秘めたポテンシャルに感動すら覚えた傑作です。

鶴ノ荘

シンメトリーの苗字も何かの縁でしょうか、息の合った原田さん(左)と田原さん(右)がつむぐ時間は期待以上のクオリティでした。胃もたれの少ない食後感も、その余韻を大きく後押しします。
「高齢の方でも気軽に召し上がれるよう、オイルなどは控えめにしています」と料理長の田原さん。「その軽やかさを出すための『和テイスト』でもあるんです」。肉料理の後の茶漬け風リゾットもその一つで、ユニークな試みだと思いました。それを受けて原田さんも「和を取り入れると、日本の四季もより表現しやすいですね。私たちなりのやり方で表現する、優しい料理をお楽しみいただければ嬉しいです」

そういえば、まだ気になる“謎”が。福岡のリストランテには珍しい和名屋号の由来を尋ねると、「私の祖母が昔営んでいた料亭の名前を継いだのです」と原田さん。あぁ、だから「鶴ノ荘」の空気はとても心地いいのかもしれません。屋号とともに継承された厚いもてなしの心。業態は変わっても、それは今も西中洲で息づいています。

鶴ノ荘

なお2階ではバーも営業中。もちろんバーのみの利用もOKで、豊富なイタリアワインとウイスキー、バーテンダーの作るカクテルが楽しめます。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

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店舗名

鶴ノ荘(店舗写真

ジャンル

  • イタリア料理

住所

福岡市中央区西中洲3-5

電話番号

092-791-9120(前日までに要予約)

営業時間

12:00~OS13:00/17:30~OS20:30 ※バーは20:00~翌3:00

定休日

日曜、他不定休あり

席数

  • カウンター6席
  • テーブル8席

個室

なし

メニュー

ランチコース6,050円、ディナーコース8,250円・11,000円・14,300円 ※夜は要サービス料10%

喫煙について

店舗内喫煙可(分煙:1階禁煙、2階のBarは喫煙可)
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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