夏休みのドライブで訪れる予定の方も多いであろう、言わずとしれた人気スポット「糸島」。糸島でのランチ候補といえばやはり、おシャレなビーチカフェやメイドイン糸島の海山の恵みを生かした和洋折衷の食事処が真っ先に挙がるだろうが、特に糸島観光のリピーターに向けてこう声を大にしたい。
「糸島はラーメンもうまいのだ」と。
糸島には革新的な塩&醤油ラーメンもある。地元産の鮮魚を使った鯛ラーメンもある。一方、古(イニシエ)の豚骨ラーメンもある。同UMAGAで過去「福岡の王道ドライブルート・糸島で食べるべきラーメン5選」という記事を展開したが、その後もラーメン店は増加傾向。「糸島ではラーメンも“絶対に”あり」を印象付ける凄麺がさらに充実してきた。今回は、糸島ラーメンに新たな風を吹かせる「ラーメン佐竹」(糸島市前原西)を紹介する。

「ラーメン佐竹」があるのは前原西「ダイレックス前原店」の前。店先に掲げた“ラーメン”そして“自家製麺”の大きな白い文字が通りを走る車窓からも目に入る。ココは元々「寿し竹」という店があった物件。店構えも、カウンターと畳敷きの小上がりからなる店内の雰囲気も落ち着いた“寿司店っぽさ”が残る。
筆者はこの「ラーメン佐竹」をえらく気に入っている。特に2025年4月に夜の営業も始めてからは利用頻度が増し、バラエティ豊かなラーメンのほとんどを食べた。
特に“おもしろみ”を感じている点。それは、糸島ではもちろん福岡、九州全体で見ても珍しい「東北地方のラーメン」をベースにしているということだ。

店主は佐々木卓郎さん(秋田県出身)。とても興味深いキャリアをもっている人で、幼少時は秋田県の醤油ラーメンに親しみ、その後12年間を過ごした山形県ではバンドマン、彫師をしながら、好きが高じて自宅にてラーメンを研究。山形県新庄市にて独学のラーメン店「ロックオブエイジズ」を立ち上げ好評を博す。なぜ糸島に?について、
「糸島に移り住む多くの方と同じように僕も“自然に魅せられて”というところが大きいですかね。糸島に住んでいた友人を訪ねて旅行をしたこともあったので魅力は知っていましたから。約5年間やっていた山形の『ロックオブエイジズ』の常連さんには申し訳ない気持ちもありましたが、ちょうど子どもが生まれるタイミングでもあり『子育ては糸島でしたい』と移住を決意したんです」と佐々木さん。
山形「ロックオブエイジズ」から糸島「ラーメン佐竹」へ。「急に和テイストな屋号になりましたね」と素朴な疑問を佐々木さんに聞いてみたが、「自分の名前・佐々木と、ここで以前やられていた『寿し竹』から取ったもの。“佐竹”は秋田県の藩主の名前でもあるので新天地でさりげなく故郷愛を掲げるのにもぴったりだとも思いまして」と話してくれた。
さて、「佐竹」のラーメンスペックを紹介しよう。ラーメンは夜限定メニューも含め現在全7種。豚骨や鶏ガラではなく“豚肉”の旨味を詰めた清湯、一方ゲンコツを白濁させた白湯の2種のスープ、青森の醤油や九州の醤油、そして中太&太の自家製麺をメニューによって使い分ける。中でも「煮干しラーメン」(900円、下写真は+煮卵1個入りとチャーシュー丼)が筆者としては一番ツボであった。

青森県産の濃口醤油で煮込んだチャーシュー汁が溶け込む濃い茶色のスープ。ひと口飲むと分かるが僕ら九州人には馴染みのない、いい意味での驚きがある。甘さとキレのバランスが良く「あ、なんか珍しい醤油テイスト」だと感じるのではないか。そして、煮干しがいいあんばいだ。煮干し油が蓋をしている熱々のスープは、粉末にした煮干しも溶かしてあるのでニボ感もしっかり。昨今、福岡での煮干しラーメンも多岐にわたりドロ煮干し系と比べると二ボっぷりは“中”ぐらいにあたるのだろうが、老若男女が食べやすいような煮干しラーメンだと感じた。
そして“自家製麺”と看板にも大きく掲げているだけあって麺がとにかく秀逸。多加水で程よいウェーブをかけた中太麺は、プリンプリンと弾むようなコシがあり、みずみずしくとてもなめらか。
「製麺は山形時代も含め7年間やってきたので自信があります。“熟成麺”だけでなく、“打ち立て”を出せるのも自家製麺ならではの強み。気温、湿度を見ながら小麦の配合や加水率を変え、また熟成、打ち立てと、その時々で最良な麺をお出ししますので、変化も魅力の一つとしてお楽しみください」と佐々木さん。
現在は「煮干し」や「醤油ラーメン」などに使うこの中太麺と、スープを選べる二郎系に用いるより力強い太麺のおもに2種を製麺している(本記事トップのラーメン写真は中太麺の「濃厚塩ラーメン950円、煮卵1個入り+100円)。

糸島の地で、秋田出身者が作るラーメン「佐竹」。
東北では日常的であり、福岡でも昨今取り入れる店が増えてきている「朝ラーメン」も
タイミングをみて始める予定だ。
糸島グルメの選択肢の一つとして覚えていてほしい。
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店舗名
ラーメン佐竹(店舗写真)
住所
福岡県糸島市前原西1-15-16
電話番号
営業時間
11:00〜14:30/17:30〜22:30(金曜は夜のみ営業)
定休日
不定
席数
- カウンター8席
- テーブル16席
個室
なし
メニュー
醤油ラーメン900円、黒醤油ラーメン900円、朱(辛)ラーメン900円、煮干しラーメン900円、二郎1,100円、濃厚塩ラーメン950円、夜限定味噌ラーメン1,000円、お子様ラーメン300円
喫煙について
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- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
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