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「わざわざ行きたい北九州の名店」オススメ3選

公開日

ライター江月義憲

カメラマン江月義憲

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北九州は食の宝庫!その中でも選りすぐりの名店を紹介する「わざわざ行きたい北九州の名店」シリーズの中から、厳選の3店をご紹介します。

小倉北『Trattoria Viola(トラットリア・ビオラ)』シェフの誠実な人柄が表れた、心から美味しいと思えるイタリアン

「アペリティーヴォ」は夕食前に軽い酒を楽しむイタリアの食習慣で、食欲を増進し料理をより美味しく味わえる。北九州・旦過市場近く、神嶽川沿いに店を構える「トラットリア・ビオラ」では、このアペリティーヴォから始まる本格イタリア料理が楽しめる。小倉城を望む立地は夕暮れ時がとりわけ美しく、訪れた日は夕陽が城の脇に沈み、まさに最高の“食前の一杯”の時間だった。まずアペロールのソーダ割りを飲みながら、旧知の辻聡シェフとマダム真由美さんとの軽い会話が、豊かな食事の序章となる。

辻シェフは小倉出身、名店「アトル」で修業した30年以上のベテラン。誠実に素材と向き合い、技術に裏打ちされた料理はどれも滋味深い。真由美さんの細やかなサービスも相まって、店全体に温かい空気が流れている。料理はアラカルトのみで、黒板には季節の食材を使う料理が並ぶ。徒歩圏の旦過市場や信頼できる仕入れ先から食材を厳選し、ランチ営業を行わず仕込みに時間をかける徹底ぶりだ。

この日はまず、スペシャリテ「昆布締め真鯛のカルパッチョ仕立て」を注文。旬野菜やハーブを組み合わせた一皿は、苦味や香りが幾層にも重なり、アペリティーヴォで刺激された胃に心地よく収まる。続くプリモピアットは「スパゲッティ鮎とキュウリのアーリオオリオ」。鮎とキュウリを三種の調理法で使い分けた涼やかな初夏の味で、辛口白ワイン・トレッビアーノとの相性も抜群。メインには宮崎県産「南の島豚」のローストを選択。きめ細かくジューシーな肉質は驚くほど上質で、サンジョヴェーゼの赤ワインとよく調和した。

食後、小倉城のライトアップを眺めながら帰路につき、料理の素晴らしさとお二人の温かい人柄に、また訪れたいと強く思わされた。

『Trattoria Viola』の詳しい記事は、https://umaga.net/shop/79867/

八幡西『旬季 琳太郎』山道の途中にある古民家で、驚きのハイコスパ創作料理を

北九州市中央にそびえる皿倉山は、神功皇后の伝説に由来する歴史を持ち、市内のどこからでも望める象徴的存在。その西麓・帆柱連山の山道に佇む古民家を改装した和食店が「旬季 琳太郎」だ。宮大工による堂々たる純和風建築で、書院造りの違い棚や彫刻入りの鴨居など、建築好きには堪らない意匠が随所に光る。二間続きの客室で創作和食を提供するのは、店主の茅原康充さん。企業勤めから24歳で脱サラし、京都の割烹で修業後、地元の料亭系ホテルで腕を磨き、20年前に独立。8年前に現店舗へ移転し、丁寧な仕事で多くの常連を魅了してきた。

現在は昼のみ営業で、料理は旬の食材を使う創作和食。「楓」(2,100円)は前菜4種、蒸し物、魚料理、ご飯、味噌汁、漬物、コーヒー、デザートが付く基本の献立で、驚くほどコスパが高い。今回は刺身と肉料理が加わる「山茶花」(3,500円)を注文。前菜には蕎麦ずし、鴨ロース、海老にミョウガやオクラなど季節の味が彩りよく並ぶ。刺身はタイ、ヒラス、本マグロの3種。椀物はもっちりとした馬鈴薯饅頭に生姜香る餡がかかり、京風の品が漂う。立秋の頃の訪問で、秋鮭と大根を蒸した一皿や無花果の添えが季節の移ろいを感じさせた。窓の外には山の緑が広がり、街中では味わえない四季の風情もご馳走の一部になる。

メインの牛ステーキの後は、ご飯、コーヒー、デザートで締め。料理、建物、自然の景観が一体となった高い満足度のランチが楽しめる。

予約必須の人気店で、駐車場は約10台だが満車になることも多い。福岡市内から車で約1時間と、ドライブがてら訪れるのにも最適だ。

『旬季 琳太郎』の詳しい記事は、https://umaga.net/shop/82847/

黒崎『裕の輪』和洋のジャンルを軽々と超える独創的な料理を黒崎で

「ミシュランガイド」で用いられる“フュージョン”は、ジャンルを越えて食材や技法を融合させた料理を指す。しかしその具体像は曖昧で、福岡県では「ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎2019」で3軒のみ。その一つが八幡西区黒崎にある「裕の輪」で、ミシュランプレートに選ばれている。JR黒崎駅から離れた人通りの少ない場所にありながら、客が絶えない実力店だ。

料理は「おまかせコース」のみで、今回は7,700円を選択。オーナーシェフ・髙橋裕輔さん夫妻が切り盛りする小さな店で、まず提供されたのは一見刺身の盛り合わせだが、見た瞬間にただの造りではないと分かる。マダイ、地ダコ、ヤリイカ、タチウオ、クリガニ、ホウボウ、キンメダイなどの鮮魚に、それぞれ全く異なるソースや薬味を組み合わせているのだ。サワークリーム×梅肉、タコ×フェンネル、カニ×摺り下ろしキュウリなど、発想の豊かさが光り、冷前菜として圧巻の完成度を誇る。

髙橋さんは定期的に福岡・長浜市場へ赴いて魚を熟成させ、野菜は若松や岡垣の生産者から直接仕入れるなど、手間を惜しまない姿勢が料理の質を支えている。続く天然鯛のソテーは、旬の若松産スイートコーンと赤ナスのソース、パルミジャーノで構成され、自然派白ワインと好相性。肉料理はA5鹿児島黒毛和牛のローストビーフで、デストロイヤーという甘味の強いジャガイモやズッキーニと合わせ、味わいの情報量に圧倒される一皿だった。

さらに桜海老とイカ、若松トマトを、鰹節・昆布・ハマグリの出汁をベースにしたソースで和えたパスタが登場。

和洋の境界を軽々と超えた独創性に、“フュージョン”の真意が腑に落ちる。ほぼ独学でここまでの世界を築いた髙橋さんのセンスには驚くばかりで、今後のさらなる進化が楽しみな店である。

『裕の輪』の詳しい記事は、https://umaga.net/shop/80991/

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。

記事に関する諸注意

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
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