豚肉料理が名物の気さくなイタリアンバール

清川の路地にある２階建ての外壁に描かれているのは、手描き風の店名とワインを持った豚のイラスト。海に面した港町である福岡では魚介類を使ったイタリアンが人気ですが、ここ「da FUMINO Bar Italiano」は山岳地帯であるスイスのアルプスに近いイタリア北部の料理が食べられます。豚肉を使った郷土料理をつまみながら、ワインが楽しめる気さくな雰囲気のバールです。

オーナーシェフの野田文昭さんは29歳の時に脱サラして料理の道を志し、福岡市内のホテルを経て本場のイタリアで修業。もっとも長く滞在したのがイタリア北部ロンバルディア州のブレーシアで、「現地でよく使っていた食材が豚肉でした」といいます。帰国後は博多区役所近くで「da FUMINO」を開業してから３年程前に現在地の清川に移転し、足かけ20年の間に多くのファンを獲得しています。

常連をはじめ、多くの客がまず注文するのが、「フミーノプレート」です。約10種類もの前菜の盛り合わせが660円というだけでもかなりお得ですが、グラスワインか生ビール、ハイボールのセットでも1,100円というのは超お値打ち価格！　写真はトウモロコシの冷製スープ、ジャガイモとインゲン豆のジェノベーゼ、アンチョビとブロッコリー、アンティチョークのブルスケッタ、カボチャとローズマリーのオーブン焼き、フリッタータ、鶏のハム、ナスとトマト、生ハム、サラミなどなど。冷えた辛口の白ワインが、グイグイと進んでしまいます。

豚肉料理を名物にしているだけに、その食材は厳選しています。使っているのは熊本県菊池市のやまあい村で放牧されている「走る豚」と、糸島市の雷山イデア牧場で飼育されている「伝助豚」。それぞれの持ち味を生かしながら、料理によって使い分けています。
「走る豚のボロネーゼ」（990円）は、豚肉本来の旨味と肉々しい食感を残したラグーに手打ちのタリアッテッレを合わせた野性味のある一皿です。レギュラーで10種類以上あるパスタは、具材によってスパゲッティかショートパスタ、手打ちパスタ（＋150円）、あるいはリゾットに変更できます。

メイン料理として注文したのは「伝助豚のポルケッタ」（1.100円）で、「走る豚」に比べてコラーゲンたっぷりのサッパリとした肉質が特徴です。バラ肉を巻いて長時間かけて蒸し焼きにした塊はナイフがスッと入るほど柔らかく、うまそうな肉汁がジワッと染み出てきます。大きめに切り分けて口に頬張るとローズマリーとニンニク、マスタードソースの香りが広がり、これは果実味が凝縮された赤ワイン・バローロに合わせたいですね。

ワインのラインアップはイタリア産を中心に50種類ほど揃い、グラスは550円から、ボトルは2,500円からというリーズナブルな値付けです。これから盛夏を迎えるこの時期は、「キリッとしたジョージアのオレンジワインも入れています」とオススメしてくれました（左から２本目）。

縦に細長い店内はオープンキッチン前のカウンターとハイテーブルがメインですが、奧には隠れ小部屋っぽい個室もあります。また、月に２回の日曜日は「ピッツェリア」として営業し、５種類のローマ風ピッツァ（800円〜）を食べることができるので、こちらも要チェックです。