「業態変更に伴い、新しくお店を造りました。」
長年お付き合いのある料理人の方から、そんなお知らせが届きました。ずっとその味に惚れ込んでいますが、本格和食ゆえなかなか頻繁には行けません。ですが、今回、新しく始めたお店はなんと「定食屋」というではないですか! 場所は飯倉。中心部からやや外れていますが、なんのその。あの味を定食というスタイルで気軽に味わえるなら構いません。バスに乗って、いざ出陣です。
202号線と早良街道のあいだの住宅街、飯倉4丁目の交差点の角にお店はありました。
「ニチゲツ」は、和食料理人のご主人と息子さん、女将の家族3人で経営されています。ここのオープンを機にご主人は裏方に徹し、息子の香月調さんが店長をまかされることになりました。調さんのお店として一からのスタートという信念で、以前の店名は公表していません。
「父が培ってきた味やメニューを踏襲しつつ、新しいメニューを開発したりしながら『ニチゲツ』の色を出していきたい」と香月店長も意気込みを見せます。
メニューは魚、鶏、合鴨をそれぞれメインにした定食が複数あるほか、カレーセット、クリームチーズの西京焼き、出し巻き玉子(夜限定)などの一品があり、また、本日の限定メニューも用意されています。
魚の種類だけみても、サバ、サーモン、銀ダラ、タイがあり、さらに塩たれ焼き、黄金焼き、味噌炊き、鯛刺しなどいろいろな調理法で提案されています。これは悩む〜。
迷いに迷いましたが、福岡人としてここはサバを食べておくべきでしょう。「鯖の黄金焼き定食」(1,150円)をお願いしました。
定食はメインにご飯、味噌汁、小鉢、野菜の炊合せ、漬物がセットになっています。
まず、メイン以外が運ばれてきましたが、この時点でもうびっくり。なんて立派なお膳なのでしょう。
続いて運ばれてきたサバの黄金焼きは、「え、量を間違ってないですか? 肉厚の切り身が2切れも!?」と思ってほかのお客さんたちのテーブルをチラ見すると、どの定食もメインの量が半端ありません。間違っていませんでした。
驚いている場合じゃありません。熱いうちにいただきましょう。パリッと焼かれたサバは、口に頬張るとジュワッと旨味が広がります。これです! 新鮮な魚はもちろん、焼きの技術の高さ。そこに自家製ソースやアーモンドの味が加わり、求めていた以上の美味しさです。
お味噌汁は羅臼昆布・焼きあご・鰹節・鰯節・鯖節・国産椎茸から出汁をとり、さらに手作り味噌を使っているそうです。それだけでも味わい深いのに、細かく刻んだ豆腐やわかめ、なめこなどの具材もたっぷり入って、滋味に富んでいます。
炊合せは旬の野菜を中心に、それぞれの食材に合うお出汁と味付けで上品に炊いているため、一つひとつ素材の味や食感をしっかりと感じます。小鉢は日替わりで、この日は小松菜の白和えでした。
ご飯も熊本県山鹿から無農薬玄米を直接仕入れるという徹底ぶり。自家製のお漬物にまでも唸らされ……。
正直、定食で1,150円は贅沢だと思っていましたが、このクオリティ、ボリュームでいうと逆。かなりのハイコスパです。なんでもサバは丸で仕入れてお店でさばくため、このボリュームをキープできるのだとか。「お客様に喜んでいただけるよう、できる限りコストを抑えるよう工夫しています」と香月店長。サーモンや銀ダラも内蔵と頭を除いただけの状態のものを仕入れているそうです。
もちろん完食、お腹もいっぱい! ですが、せっかくなので、ほかのメニューもご紹介します。
こちらは、女将オススメの「とり丼セット」(950円)。自家製熟成鶏たれに漬け込んだお肉、厚揚げ、シイタケ、タマネギを焼き、さらにたれを塗ってもう一度焼かれています。ぷりっぷりのお肉、味の染み込んだ厚揚げやシイタケやタマネギに、とろ〜り温玉が加わって、ご飯との相性は抜群! セットには味噌汁、小鉢、漬物が付きます。
そしてこちらは異色の「バターチキンカレーセット」(1,200円)です。香月店長がまかないでよく作っていたカレーが好評で、お店で出せるように改良し、この度、晴れてオンメニュー。みじん切りのタマネギをたっぷりとじっくり炒め、ニンニク、トマト、ヨーグルト、スパイスなどとともに、鶏スープで煮込んでいます。スパイシーでありながらタマネギの甘みでマイルドな辛さ、バターによってエレガントな味わいに仕上がっています。セットには鶏スープと漬物が付き、また、小鉢か炊合せのどちらかを選べます。
ため息が連続する料理の素晴らしさはもちろんですが、器づかいもお見逃しなく。店主が以前の和食店で使っていた名品が惜しげもなく使われていて、これまた私は、ほかのお客さんの器をチラ見しては、「おぉ!」と心の中で叫び、一緒に行った友人も「お水が江戸切子のグラスで出てくるなんて」と驚愕していました。
「ほかの定食屋さんとは一線を画しながら、長く愛されるお店にしたい」と香月店長。「でも、一番は値段も含めて気軽に和食を楽しんでいただくこと。そのためにも、もっともっと工夫していきたい」と語ってくれました。
ちなみに夜は、ビールor日本酒or焼酎+天然鯛刺しor鴨塩炙り+小鉢がセットになった「酒肴セット」(1,100円)、生麩田楽(2本380円)、「(天然)すっぽん鍋セット」(1,880円〜)など、呑兵衛の心ときめくメニューも多数あり。次はぜひ夜に来ようと誓いました。
もちろん家や職場の近所にあって欲しいと思っちゃいますが、そうでなくとも何度でもわざわざ食べに行きたくなること疑いないお店です。
《ニチゲツ》
福岡市早良区飯倉3-9-7 Ringstone7 1F
092-981-3971
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店舗名
ニチゲツ(店舗写真)
ジャンル
- 定食・食堂
住所
福岡県福岡市早良区飯倉3-9-7 Ringstone7 1F
電話番号
営業時間
11:30〜OS14:30/17:30〜OS20:30
定休日
月曜、第1日曜
席数
- カウンター5席
- テーブル16席
個室
なし
メニュー
玄米だし粥の定食770円、鯖の黄金焼き定食1,150円、サーモンの塩たれ焼き定食1,400円、銀だらの西京焼き定食1,680円、(天然)鯛刺し定食1,550円、とり丼セット950円、鶏のじぶ煮の定食1,300円、バターチキンカレーセット1,200円、【夜限定】合鴨鍋のセット1,600円、酒肴セット1,100円、出し巻き玉子450円、焼きおむすびもずく雑炊450円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
記事に関する諸注意
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