ブームに終わらず、定着つつあるクラフトビール。いまや全国には550を超える小規模の醸造所(マイクロブルワリー)があり、ここ福岡でも徐々に増えてきているなか、またもや新しいマイクロブルワリーが誕生したというニュースが入ってきました。これは、ビール好きの私にとってはたまらない吉報ではありませんか!
情報を受け、さっそく訪れたのは7月1日にオープンした「あおぞらブルワリー」です。冷泉公園の横筋から1本入った裏通り、ビルの2階にありました。
店名はブルワリーですが、飲食もできるブルーパブです。店内はカフェのように明るくおしゃれな印象で、一人でも躊躇なく入れます。気軽に利用できるようカウンターはスタンディング仕様。一方、テーブルはゆったりと配置され、腰を据えて楽しめそうです。
隣接した醸造所を見てみると、3つの大きな発酵タンクをはじめとする立派な醸造設備がありました。
オーナーは千代でホステル「NEKOKURA」も運営している森ご夫妻。その近くに「あすなろブルワリー」というブルワリーパブがあるのですが、ビールが苦手な奥様の信子(しなこ)さんがそこのビールを飲んでみたところ「こんなに美味しいビールがあるんだ」と驚いたそうです。それから、「あすなろブルワリー」店主・村井真吾さんの造るビールに惚れ込み、通ううちに村井さんとも親しくなったといいます。
そして訪れたコロナ禍。この場所はもともと階下で森ご夫妻が営む居酒屋「博多 酒佳蔵(さかぐら)」の宴会場でしたが、「コロナ禍で宴会が難しくなり、さてどうしよう……と考えたときにピンときたのが『あすなろブルワリー』さんの生ビールの量り売りでした。同じように私たちもコロナ禍でもビールが楽しめ、また念願でもあった自分たちでビールを造るお店にしようと思い立ちました」と信子さんは話します。オープンにあたって村井さんに監修をしてもらい、手始めに3種のオリジナルビールが生み出されました。
さっそくオリジナルビールをいただきましょう。3つとも気になったので、ハーフサイズで飲み比べてみることにしました。
「あおぞらブルワリー」のオリジナルビールは、泡を薄めにする事で適度に蓋をしつつ一口目から充分に香りが楽しめるよう、あまり泡立てず丁寧に注がれていきます。見るからに美味しそうで喉が鳴ります……。
注がれたビールの美しいこと! それぞれ「店屋町」のTENYAが名前に付けられていて、左から「TENYA WHEAT ALE」(ハーフ600円、パイント900円)、「TENYA SESSION IPA」(ハーフ600円、パイント900円)、「TENYA IPA」(ハーフ650円、パイント950円)です。今回は飲み比べでより特徴を味わうために、飲む順を指南してもらって飲んでみました。
まずは「TENYA SESSION IPA」から。アルコール度数は4.5%と低めで飲みやすいスタイルです。軽やかでフルーティー、爽やかな味わいですがホップの苦味もしっかりと表現されています。
お次は、タンパク質を多く含む小麦の麦芽を使用した「TENYA WHEAT ALE」です。コクのある麦芽の風味に加え、泡がとても細くて、クリーミーなまろやかさ! アルコール度数は5.0%です。
最後の「TENYA IPA」はアルコール度数が6.0%で、力強いアタックと独特のホップの香りや苦味が表されていてなかなかの個性派です。なのに、後味はすっきりとした清涼感。ファンが多いというのも頷けます。
ビールの醸造を行うのは、ビール醸造歴4年の若き醸造責任者・渡邊雄介さん(写真左)です。「あすなろブルワリー」の村井さんが考えたレシピをベースにしつつ、「軽くて飲みやすく、また小麦の甘みを感じてもらえるように。まずはオーセンティックなビールで楽しんでもらいたい」と第一弾となる今回のオリジナルビール3種を造りました。ちなみにいま4種類目を仕込んでいるところであり、今後は季節のビールやさらなるオリジナルに挑戦したりと、徐々に種類を増やしていく予定だそうです。
また、お店ではオリジナルビール以外にも、常時入れ替えのゲストビール5種類を樽生で用意。こちらはクラフトビールにハマり全国のブルワリーを渡り歩いたというホール責任者の日野稔之さん(写真右)がセレクトしています。「うちのビールにほどよく被せて比較できるようなものを中心に出しています。同じ材料でもこんなに味が違うんだと楽しんでいただければ」と話します。
そしてフードは階下の「酒佳蔵」で作られていて、ホテルでの洋食経験もある実力派の料理長が腕をふるっています。
ビールといえば「フィッシュ&チップス」(780円)ですよね。白身の鮮魚を使うため日によって魚の種類が変わり、この日は贅沢にもタイが素材に。ぷりぷりの食感と、上品な甘みのフィッシュフライ、またチップスもホクホクの出来栄えです。
おすすめの「ラムチョップ グリーンマスタードソース」(1,200円)は、外側はカリッとグリルされてますが、お肉はとってもやわらか。グリーンマスタードがラム特有の香りを和らげ、「ラムがあまり得意でない私でも、これは大好き!」と森さんも激推しです。ほかにも、鮮魚のカルパッチョ、名店「和田門」の味を引き継いだ「典(てん)」のカレー、ナポリタンなどが用意されています。
醸造されたビールをその場で飲めることの贅沢さは、フレッシュさだけでなく、実は運搬時にゆさぶられるストレスがビールにかからないというのも大きなポイントなんです。ぜひ、ストレスフリーのビールをここで味わってみてください。
なお、8月にはオリジナルビールの缶も販売されます。おうちでも味わえるし、また手土産にも喜ばれそうですね。
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店舗名
あおぞらブルワリー(店舗写真)
ジャンル
- ビアバー
- 立ち飲み
住所
福岡市博多区店屋町4-28 WE冷泉公園2F
電話番号
営業時間
17:00〜OS23:00(土曜は15:00〜)
定休日
日曜
席数
- テーブル10席
- スタンディング5名くらい
個室
なし
メニュー
TENYA IPAハーフ650円・パイント950円、TENYA SESSION IPAハーフ600円・パイント900円、TENYA WHEAT ALEハーフ600円・パイント900円、鮮魚のカルパッチョ800円、フィッシュ&チップス780円、ラムチョップ グリーンマスタード風味1,200円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
記事に関する諸注意
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