ありえない集中度。いつのまにかそば屋が薬院に集まってきた

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ライター弓削聞平

カメラマン弓削聞平

いまとみ

弓削聞平

「UMAGA」編集長

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今さら言うまでもありませんが、福岡は麺においてはラーメンとうどんの街です。私が若い頃、そばはうどん屋さんのメニューにうどんと並んで書いてあるものの、そばを頼む人はほとんどいませんでした。当時冷たいうどんメニューがほとんどなかったこともあり、夏になるとざるそばを頼む人が増えるというくらいの存在でした(ざるはうどんよりそばの方が圧倒的に人気でした)。もちろん当時はうどん居酒屋もありませんでしたから、そういう店で酒を呑むという文化も皆無でした。
そんななか、当時須崎にあった「むらた」あたりから徐々にそば専門店、それも酒を呑めるそば屋がぽつぽつとできてきました。20年くらい前でしょうか、福岡における第一次そば屋ブームともいう時期があったのですが、その頃なぜか住吉あたりから南薬院あたりまでの城南線周辺にそば屋が集中してて、個人的に「城南線はそば街道」と言ったりもしてました。そういえば、三瀬峠にいく道もそば屋が集中していて、こちらもそば街道のようだなあと思っていた記憶があります。
その後、城南線沿いの店もいくつかなくなりそば街道とは言い難くなってきたのですが、最近、その流れを引き継いで薬院エリアがそば屋集中エリアになってきたのです。薬院と聞くとまず薬院駅を思い出すと思いますが、実は薬院駅は町名でいうと薬院の一番端にあり、位置的な中心はむしろ薬院大通駅です。ここから徒歩10分圏内にそば屋が10軒以上あります。そば屋がまだまだ多いとは言えない福岡でこれはありえない集中度です。

まず薬院六角のすぐ近くには「むらた」出身の「蕎麦 おざき」があります。つまみもたくさんあるし、通し営業なので休日に昼から呑む粋なお客さんをよく見かけます。夏の期間限定のオリジナルメニュー「冷汁そば」は季節になると必ず食べたくなる逸品です。

おざき冷汁

「蕎麦 ひら川」は薬院大通駅から徒歩5分ほど。モダンな内装でスタイリッシュな感じがします。カウンター、テーブル、小上がりがあって、どんなシチュエーションでも安心なのは出身の「むらた」と同じです。ちなみにぼくの年越しそばはいつもここです。持ち帰り用を買って実家で食べてます。

そして赤坂けやき通り沿いにあるのは「赤坂けやき通り むらた」です。こちらは「おざき」と「ひら川」の店主が修業した櫛田神社前にある「信州そば むらた」の姉妹店で、創業者の息子さんが店を切り盛りしています。姉妹店ですが本店とまったく同じというわけではなく、関西でも修業した息子さんが「むらた」のスタイルを踏襲しながら、自身の路線を見いだしていくべく進化中です。

むらたけやき外観
むらたけやきそば

警固本通り沿い「わっぱ定食堂」の目の前にあるのは「いしい」です。こちらはそば屋というかそば居酒屋という感じ。伝説の和食店「たらふくまんま」で店長をしていた石井さんが、独立する前にそばを学んでこの業態を始めました。だから、そば屋のつまみというより、しっかりした和食の料理で居酒屋使いができて、もちろんそばもしっかりあります。うどん居酒屋のそば版といえばわかりやすいでしょうか。

城南線を南側に渡って浄水通りの交番のすぐ前には、コロナ禍真っ只中の昨年11月にオープンした「そばのみ やなせ」があります。ここの店主の実家は小石原のそば屋だそう。二八といえばそば粉8小麦粉2の割合ですが、ここは「外一」といってそば粉10小麦粉1の割合のそばもあるのがちょっと珍しいですね。こじんまりした店ですが、つまみもかなり充実してます。

やなせ

そして町名いうと白金ですが、薬院駅から徒歩5分ほどの路地裏にあるのが「江戸蕎麦 侘介」です。ミシュランガイドでビブグルマンを獲得してます。古民家を改築していていい雰囲気でゆったりくつろげます。この佇まいだけで一杯呑めそう。玄そばの産地はもちろん、水、醤油、みりん、料理酒など、すべての材料において細部までこだわっています。

侘介そと
侘介そば

「侘介」からあるいて2、3分のところにあるのが「赤間茶屋 あ三五(あさご)」です。こちらもビブグルマン。元々下関にあり、当時からそば好きがわざわざ遠方から食べに行く存在でした。2003年に福岡へ移転したのですが、当時は福岡のそば好き達がざわついたのを覚えてます。そば粉を使って、少量ずつさまざまな提案をしてくれます。他の店では味わえない唯一無二のそば体験ができますが、勧めに従って「うまそう!」とどんどん気軽に注文してると、値段も嵩むので御用心を。

さらに渡辺通りの方に2、3分歩いた高砂にあるのが「そばぐい いまとみ」です。「あ三五」の移転と同じ2003年にオープンしたこのエリアでは老舗といってもいい存在でしょう。この頃、福岡でそば屋がすごく増えたように思います。イベントなどにも積極的でそば文化を広めたい、そばのおいしさを知って欲しいという店主の気持ちが伝わってきます。ここは鴨鍋もうまいんですよね。食べたことはありませんがどぜん料理も用意してあります。

いまとみそば

薬院駅周辺の高砂・白金はほんとに狭いエリアにそば屋が集中してて、今年7月にオープンしたここ「山茶花そば椿」は薬院駅から一番近いそば屋です。こちらも「むらた」の出身。この薬院エリアでこれだけの人材を輩出しているのですから、「むらた」の福岡そば業界への貢献度はすごいですね。この件はまた違う機会に「むらた」の創業者インタビューという形で紹介しましょう。
「山茶花そば椿」は今回紹介したなかで最も新しい店で、席数はテーブルが4席と2人がけのテーブルが2つと最も小さな店です。ここは茶そばがあるのが珍しいんです。

高砂の懐石、寿司、焼鳥など、たくさんの飲食店が並ぶ路地にあるのが「風りん」です。こちらも12席とこぢんまりした店。他の業態の飲食店から、そば屋への転身を考え東京で江戸そばを学んだとか。

そうそう、それらの店とはまったく違うタイプですが、ラーメンが有名な「まさや」も実は店名に「そば処」とついてて、手打ちのそばを出してるんですよ。うどん・そば・丼もの・ちゃんぽんなどを出し、今も出前をやってる昔ながらのうどんそば屋です。そうそうテレビもあります。以前はどこの町にもこういう店がたくさんありましたが今は随分減ってしまいましたね。

まさや

薬院エリアがそばタウンということがおわかりいただけましたか? そば好きの方はぜひコンプリートして自分と相性のいい店を見つけてみてくださいね。

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

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