六本松で台湾に恋をして。モーニング・ランチ・スイーツも心弾む本場の味
「もっと知りたい!」と強く惹かれ、心が弾む……まさに恋のようなときめきを感じるお店に出合いました。今回お邪魔したのは六本松エリアにある「頼家台湾料理」。本場台湾の味や文化に触れることができる、素敵な一軒をご紹介します。
以前UMAGAのモーニング記事でも一度ご紹介したのですが、「頼家台湾料理」は「裏六本松プロジェクト」という木造複合施設の1階で間借り営業を行う「台灣早餐(タイワンザオツァン)=台湾朝食」のお店でした。しかしこの度、同建物の2階へお引越し。遂に実店舗を開業し、9月9日より「頼家台湾料理」の“第2章”がスタートしました。開店時間を以前よりも少し後ろに倒し、営業時間は土日月火の9時から15時まで。看板に掲げてある通り、今度は朝ごはんだけでなく、お昼ごはんや「豆花(トウファ)」を楽しめる「台灣早午餐(タイワンザオウーツァン)」のお店となっています。
優しい光が差し込む店内は居心地がよく、テラス席も用意されていました。店を営むのは、前職はデザイナーという優年さんと恵里さんのお2人。恵里さんは台湾人の父と日本人の母をもち、東京にいた頃は毎週のように友人を家に招いて台湾家庭の味をはじめとした料理を振る舞っていたのだとか。福岡へは優年さんの仕事の関係でやって来たそうですが、お2人とも料理を作るのが大好きなこともあり、最初は台湾のローカルフードやお菓子を教えるカジュアルな教室を開くことにしたのだそう。
「「鳳梨酥(フォンリースー)」などを研究していましたが、当時はこうしてお店を開くなんて考えてもいませんでした。しかし、個人的に大好きで通っている六本松の『月白』さんに『差し入れていただいているこの鳳梨酥を、うちで販売しませんか』とおっしゃっていただいたんです。そこから今度は高砂の『アジアンマルシェ』さんに『台湾料理のポップアップをやりませんか?』とお声掛けいただき、その後『裏六本松プロジェクト』での間借り営業のお話しもいただいて今に至ります。当初は仕事が落ち着いたら東京に戻る気でいましたが、たくさんのご縁に恵まれて福岡での出店を決めました」と優年さん。
「店名には、私の実家『頼(ライ)家』の味や、私達が作る台湾料理という意味を込めています。また、鳳梨酥とは台湾定番のお菓子『パイナップルケーキ』(写真)のことで、私達の原点でもあるため、お店のロゴ・看板にもパイナップルのイラストを入れました。パイナップルの甘味と酸味がしっかり味わえる自家製の餡に、その味を活かしてくれる米粉100%の生地。かなり試行錯誤して完成した逸品なので思い入れもたっぷり。食後や手土産として、こちらも楽しんでもらえると嬉しいです」と、恵里さんも笑顔で話します。
「鳳梨酥」のほろりとした食感と餡の美味しさについても書き綴りたいところですが、今回のお話しの主役は「台灣早午餐」。早速メニューをチェックしていきましょう。
まずいただいたのは、台湾朝食の代表格。甘くない生地と卵を重ねて焼いたクレープのような「酥皮蛋餅」(スゥピィダンピン)です。お店によってはもちもち食感のものもありますが、「頼家台湾料理」はパイのようなサクサクタイプ。「酥皮=サクサクの皮」という意味だそうで、この食感を生むために必要なラードから自家製しているこだわりようです。具材の組み合わせは4種類あり、私は「卵+チーズ+タロイモ+でんぶ」の「芋泥蛋餅」(750円)を選びました。油っぽさのない生地は表面がサックリ香ばしく、具材の味わいも相まってこれはクセになる美味しさ。「蛋餅」に欠かせない、みたらし醤油のような台湾定番の調味料「醤油膏」(ジャンヨウガオ)も添えてありますよ。
また、台湾朝食といえば「蛋餅」と「豆漿(トウジャン)=豆乳」の組み合わせが定番中の定番だそうで、「手工豆漿(自家製豆乳)」(400円)も一緒に注文。なめらかで飲みやすく、柔らかな大豆の香りとほのかな甘味が広がって、確かに「蛋餅」によく合います。
続いては「鹹豆漿(シェントウジャン)」と「飯糰(ファントゥアン)」ハーフサイズのセット(1,100円)もご紹介。
「鹹豆漿」は甘くない食事系の豆漿で、スープのようにして食べる台湾朝食メニューの一つ。お酢やラー油を合わせた特製ダレによって、とろみのある状態からおぼろ豆腐のように変化するのですが、この独特の口当たりが実に心地いいです。豆漿が染みた油條(揚げ生地)、桜エビやネギ、菜脯(干し大根の漬物)、花枝丸(台湾のイカ団子)、特製ダレの香味や食感も相まってスプーンが止まりません。
「飯糰(ファントゥアン)」は台湾式のおにぎりで、台湾もち米の中に、台湾の香辛料を効かせた自家製の高菜ひき肉餡と玉子焼き、菜脯(ツァイポー)、油條(ヨウティヤオ)、「魚鬆(イゥソン)」(日によっては「肉鬆(ロゥソン)」)、茹でピーナッツを挟んでいます。
「魚鬆」と「肉鬆」は、日本でいう“でんぶ”。魚や豚肉に味をつけて繊維が解けるまで火入れしたふりかけのようなふわふわの食品で、本場の味を再現するために台湾から輸入しているそう。油條は自家製で、菜脯は台湾に住んでいる恵里さんの親戚に漬けたものを送ってもらっているのだとか。
「菜脯は台湾の伝統的な漬物で、日本のぬか漬け同様に漬ける家庭によって少しずつ味も異なります。自家製や輸入ものなど、いろいろと試したものの“コレだ!”という味が出ず……。私の親戚が作る菜脯が美味しく一番しっくりくるんです」と恵里さん。「鹹豆漿」と「飯糰」はそれぞれ単品(各750円)でも注文でき、台湾腸詰めを挟んだ「香腸飯糰」(850円)もありますよ。10月中旬からは月替りのランチメニューも登場するそうで楽しみは尽きません。
最後は、新たにメニューへ加えられた「豆花」もチェック。シンプルにトッピングなし(550円)もいいですが、今回はトッピングあり(800円)の方をいただきました。近年は本場台湾でも甘さ控えめのものが増えているそうですが、「頼家台湾料理」では昔ながらの味わいと甘味を表現しています。自家製の豆乳で作る「豆花」はふるふると柔らかく、とろりと滑らか。ふわりと広がる大豆の香り、きび砂糖などで作る手作りシロップの甘味も優しく広がります。トッピングは日によって変わるそうですが、この日は北海道小豆で作る餡と、ピーナッツを煮たもの、サツマイモ粉を主体に作られる台湾の食品「粉角(フンジャオ)」が添えられていました。
また、店内の棚には台湾にまつわる本が置いてあり、料理を待っている間や食後に読みながらゆったりとした時間を過ごせるのも魅力です。優年さんが台湾で見つけたという「台湾のおにぎり文化や歴史をコンパクトにまとめたZINE(ジン)」(写真左)も販売してあり、おしゃれなデザインと興味深い内容に惹かれてこちらも購入。優年さんの翻訳も付いていますよ。
※「ZINE(ジン)」=個人や少人数の有志が自由な手法・テーマで制作した冊子
ちなみに「鹹豆漿」と「豆花」以外のメニューはすべてテイクアウトでき、台湾から輸入するテイクアウト箱(50円・写真右)や袋に入れてもらえます。台湾では昔も今も「テイクアウト箱といえばこんな感じ」だそうで、レトロなデザインにときめきます。本場の味や文化、台湾の魅力に触れることができる「頼家台湾料理」。出かける程にきっと、“台湾に恋”してしまうはずです。
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店舗名
頼家台湾料理 LAI JIA TAIWAN(ライジャー タイワン)(店舗写真)
ジャンル
- アジア料理
住所
福岡市中央区谷1-14-2 裏六本松プロジェクト2F
電話番号
営業時間
9:00〜OS14:30
定休日
水〜金曜
席数
- カウンター12席
- テラス4席
個室
なし
メニュー
酥皮蛋餅700円〜、鹹豆漿750円、飯糰750円、香腸飯糰850円、鹹豆漿+ハーフ飯糰セット1,100円、豆花550円〜、鳳梨酥(パイナップルケーキ)350円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
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