フレンチや中華など気の利いた一品も揃う、春吉のおしゃれ焼鳥店

春吉にある焼鳥店「もち乃き」をご存知ですか？　13年前に博多駅前で「もちのきそう」としてオープンし、令和元年に春吉に移転して「もち乃き」として再スタートを切った人気店です。焼鳥だけでなく、多彩な料理を楽しめると評判を聞き、伺ってみました。

築60年の古民家をリノベーションした店は、焼鳥店というよりはおしゃれなカフェやビストロのよう。１階はカウンターのみで、２階にはテーブル席が並びます。藤村良治さんと愛香さんのご夫婦が迎えてくれるあたたかい雰囲気で、はじめての訪問でもリラックスできるはず。

平尾の焼鳥店「にくしん」の卒業生である良治さんが焼鳥を担当し、春吉の和食店「蓮」で腕を磨いた愛香さんが一品料理を担当しています。

自慢の焼鳥は20種、さらに季節の巻物が5種ほどあるのですが、今回はおすすめの5本を焼いてもらいました。右から順に、まず「無菌みそ豚バラ」（275円）は、豚バラの旨味が濃厚な味噌と相性ばっちり。今回大ヒットだったのが「むね」（198円）で、プリッと弾けるようにジューシーでしっかりとした旨味を感じ、ムネってこんなに美味しいものなんだと感動しきり。「朝引きたれレバー」（198円）は火を入れすぎないようギリギリを見極めながら焼いたとろけるような味わいです。「にくしん」仕込みの継ぎ足しのタレも絶品。「鶏ももネギ間」（242円）は、もものしっとりとした旨味と香ばしいネギがたまりません。そして削ったチーズをたっぷりのせた「たれつくねパルミジャーノ」（330円）！ヤゲン軟骨入りでふわふわコリコリした食感を楽しめます。

焼鳥は脂を落としすぎないよう遠火でじっくり焼くのが良治さんのスタイル。炭に落ちた脂でスモークするように、芳しい香りをまとわせながら焼き上げます。しっとりふわっとした食感で噛むと肉汁が迸るんです。一口ずつインパクトを感じられるよう “ずんぐりむっくり”にネタを刺した串はどれも満足度が高く驚きます。

メニューを見ていると酢もつやセロリの浅漬けといったおつまみ系はもちろんのこと一品料理が大充実。「焼鳥店ってある程度メニューが決まっていますが、うちはなんでも食べられる店にしたかったんですよね」と良治さん。「牛すじ赤ワイン煮」（935円）や「大手羽のからあげ毛沢東スパイス」（770円）といったフレンチ、中華などもあり、これはいろいろ食べられて嬉しい！

次に注文したのは、一見ケーキのモンブランと見紛う「ウフマヨのポテトサラダ」（880円）です。ウフマヨとは卵にマヨネーズをかけたフランス料理のこと。出汁で炊いたジャガイモとサツマイモをマッシュして、さらに濾した超なめらかなモンブラン状のポテトサラダにナイフを入れると半熟卵がとろ〜り。ニンニクが香るマヨネーズと甘いポテトサラダのハーモニーが最高なんです。

最後は小ぶりの土鍋で登場する「うにとイクラとズワイ蟹土鍋ごはん」（1合2,310円）をいただきました。蓋を開けると昆布と鰹で炊いた豊かな香りがと広がり、つやつや輝くイクラ、ウニ、蟹に生唾ごくり。５つ星お米マイスターがいる米店から届く米に、出汁が染み込みさらに豪華食材が一体となってご飯が進むこと進むこと！　ほかにも「安納芋バター醤油」（1,430円）や「焼きサバとしその実南蛮」（1,650円）などの季節の土鍋ご飯が登場します。

ここで嬉しかったのが、「ご飯のお茶碗どれにしますか？」と籠いっぱいのお茶碗を出してもらえたこと。好きなお茶碗をなんと自分で選べるのです。「もち乃き」では、愛香さんが九州をはじめ全国から見つけてきた可愛らしい器使いにもぜひ注目したいところ。焼鳥の味、心そそるメニュー展開、かわいい器、個人的なツボに刺さりまくるいいお店を見つけちゃいました。