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味噌汁の新しい可能性を探求した本、『お味噌知る。』

公開日

ライター倉成英俊

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「お味噌知る。」 著 : 土井善晴、土井光

1975年佐賀県生まれ。コピーライターとして電通入社後、広告のスキルを超拡大応用し、各社新規事業部の新プロジェクト創出などを支援。2014年より、電通社員でありながら個人活動(B面)を持つ社員56人と「電通Bチーム」を組織。2020年Creative Project Baseを起業。2022年タイトルが良い本のみを扱う本屋「good title books」を開業。

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オランダに、Arne Hendriksという長年の友人がいる。彼はアーティストで、オランダのクリエーターたちからも彼はちょっと他と違うと言われる、つまり一目置かれている人物。 詳しくは彼のHPに譲る。 https://arnehendriks.net

2年前の、2021年秋頃。Arneから連絡。一緒にできそうなことがやっとできたから話そうと言われ、zoomを繋いだ。開口一番、質問されたのがこれ。

「なんで、東インド会社は、日本からオランダに、味噌を持って帰らなかったと思う?」

そんなこと急に言われても、、(ですよね?誰か即答できます?)続けて、「もしも、200年以上前に味噌がオランダに入ってきてたら、オランダの食文化は全然違うものになったのに!」と。そして。

「と言うわけで、今、Dutch Misoを作ってるんだ」

曰く、味噌はすごいと。彼は養豚の飼料に使われるそら豆で味噌を作っているらしく、豚を食べるよりも、豆を味噌にして直接タンパク源を摂った方が、環境負荷が低い。また、1年かけて作るから、「時間」が原材料になっている点もslowでいい。そして、合わせ味噌の文化も知っており、近所の味噌を混ぜるとなると、これは食べ物を超えた、ネットワークである、など。味噌の美点を捲し立てられた。
面白い。オランダ味噌プロジェクト。これは自分も味噌を作ってみないとな、まずは、と思いその旨伝えると、「完成したら、日本xオランダの合わせ味噌にしよう。そのプロセスを、セレモニーにしよう。味噌の結婚式に。」とのこと。なるほど。いいね。

そして、1年後、まず自分の味噌が完成する。混ぜる準備はできた。味噌の結婚式をやるなら、日本でだろう。だとしたら、神社だな。そういえば、熊本に日本唯一の味噌の神社があると聞いたことがあるぞ。そう思いだし、熊本の味噌天神に電話。訳がわからないだろうから、一度打ち合わせに行き、日取りが決まり、Arneも味噌を携えてオランダから来て、、と、これが、2023年7月8日に、日本初、つまり世界初の味噌の結婚式を行ったいきさつ。

プレスリリースもまいたので詳しくはこちら。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000093421.html

しかし、このエピソードに含まれていないことがあって。

味噌完成から、味噌の結婚式までは半年くらい空いていて。まずは自分の味噌を食べないとなと。しかも結構大量にできてしまったわけで。どうしようかな、、と思った時に、出会ったのがこの本。味噌素人にとっての救世主だったというか。

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「だしをとらないとお味噌汁はできない、おいしい味噌汁はできないと言われてきました。味噌汁のおいしさの根拠はだし汁ではありません。おいしさはもっと複雑な科学変化と情緒によるものです。(中略)水で具材を煮て味噌を溶く、それだけで十分と心得てください」

つまり、出汁をとらなくても、味噌を溶かすだけでも、良いと。え?そうなの?ならできるかも。続けられるかも。
結果、この本の通りにじゃないけれど、かつおの削り粉と味噌をお湯で溶いて、簡単な乾燥の具材をあれこれ入れて、毎朝飲む、という習慣にたどり着き。そうしているうちに、なんと次の健康診断で、これまで高かった、血糖値やコレステロール値が下がっていた。

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さて味噌汁作りに対してのハードルを下げてくれた本書。もちろんビギナーだけに向けられた本ではなく。タイトルの通り「味噌を知れる」一冊。

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味噌汁作りの基本も書いてあるけど、改めて面白いなと思ったのは、「自立の味噌汁」「家族の味噌汁」に続く「組み合わせる味噌汁」の章。ハンバーグにトマトの味噌汁を合わせる。サンドイッチに牛乳の入った味噌汁を、ナポリタンにとうもろこしとソーセージの味噌汁を合わせる、など、味噌汁の新しい可能性が示されていたり。

そして、章を追うごとに、人生のこと、地球や自然のことへと話は拡張していき、最後は「ひと椀の中のお味噌汁の世界は、とても小さいですが、そこには無限の変化と可能性があります。それを「有限の無限」と言います。」と無限にまで繋がって。

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「どうぞ味噌汁を信じてください」との件には、「はい。信じます。」と素直に心の中で答えた次第。

ちなみにこの本は、出張中のホテルのベッドの上で、夜読み直したが、そういうシーンで開くものではないなと。お腹が空くし、唾も出る。

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ご紹介した本は、good title booksで販売中です。

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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